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【セミナー】  公開セミナー「名作の舞台裏」レポート:2009年度

名作の舞台裏 第23-25回『相棒』『お買い物』『アイシテル -海容-』 当日の様子をレポートします。


◇公開セミナー・第23回名作の舞台裏 『相棒』◇

日 時 : 2009年4月25日(土)
会 場 : 情文ホール(横浜情報文化センター6階)
ゲスト : 水谷 豊(出演)、輿水泰弘(脚本)、松本基弘(制作)
司 会 : 石橋 冠(演出家・放送人の会)
主 催 : 放送人の会、(財)放送番組センター

<作品の概要>
 "警視庁一の変人"と言われている杉下右京と、お人好しで熱血漢の亀山薫。この凸凹コンビが事件の謎を解いていく、テレビ朝日の人気刑事ドラマシリーズ。2000年6月、土曜ワイド劇場「相棒 警視庁ふたりだけの特命係」として放送されて好評を得、3本の2時間ドラマが作られた。02年から連続ドラマとなり、09年3月まで第7シリーズを数える。スタート時から右京の相棒を務めてきた薫は、第7シリーズの途中、退職という形で惜しまれながら番組を卒業。その最終回で新たな相棒・神戸尊を迎えた。(2000年6月3日-放送中 テレビ朝日・東映)

<セミナーのようす>
 劇場版も大ヒットした「相棒」とあって、応募者は3300名を超えた。松本は、「輿水に脚本を書いてもらうために1年待った」と誕生までを振り返る。「普通の刑事ではなく、名探偵の匂いのするものが警視庁でできないかと考えた」と輿水。右京の服装とは正反対のカジュアルなジーンズ姿で登場した水谷は、役作りにまつわるエピソードをいくつか披露。右京のトレードマークともいえる「紅茶」と「サスペンダー」についての会場からの質問には、思わぬところを熱心に見られていることに登壇者一同驚いていた。
 新しい相棒に期待が寄せられる一方、退職した薫にも熱烈なラブコールが会場から送られた。最後には水谷が、右京の決め台詞「ひとつ、よろしいですか?」「はい?」のワンシーンを客席相手に即興で演じ、会場を沸かせた。


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公開セミナー・第24回名作の舞台裏 『お買い物』◇

日 時 : 2009年11月8日(日)
会 場 : 情文ホール(横浜情報文化センター6階)
ゲスト : 久米 明(出演)、渡辺美佐子(出演)、前田司郎(脚本)、中島由貴(演出)
司 会 : 石橋 冠(演出家・放送人の会)
主 催 : 放送人の会、(財)放送番組センター

<作品の概要>
 平成19年度の岸田國士戯曲賞を32歳の若さで受賞した前田司郎が、初めて本格的にテレビのために脚本を書き下ろした。福島の農村から東京・渋谷へ向かう老夫婦の珍道中を独特のユーモアと語り口で描く、歯切れのよい痛快なテンポの作品。放送文化基金賞テレビドラマ番組賞受賞。主役のおじいさんとおばあさんを演じた久米明と渡辺美佐子は、自然でユーモアにあふれた演技が高く評価され、それぞれ同賞の演技賞も受賞した。(2009年2月14日/NHK)

<セミナーのようす>
 上映終了後、客席から自然と拍手が起こった。「新しい脚本家を開発しようという企画の中から生まれた作品。日常を演出する難しさのプレッシャーが大きかった」と中島が振り返る。渡辺は「"芝居らしいことをしない"ことに気を使った」という。前田の脚本については「セリフが純粋。説明セリフがない。自然に楽しくやれた」と渡辺も久米も絶賛。前田は「言葉に頼ると説明的で薄っぺらいものになってしまう。出来るだけ少ない言葉、つたない言葉にして、俳優さんに任せる。深みを出してくれたのは俳優さん」とキャスティングに恵まれた幸運を語る。ラストシーンの「時の流れ」については、それぞれの解釈を語りあった。人生を考える優しさに溢れた余韻の大きいドラマに、会場は終始温かい空気に包まれていた。


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◇公開セミナー・第25回名作の舞台裏 『アイシテル -海容-』◇

日 時 : 2009年12月19日(土)
会 場 : 情文ホール(横浜情報文化センター6階)
ゲスト : 稲森いずみ(出演)、板谷由夏(出演)、吉野 洋(脚本)、次屋 尚(演出)
司 会 : 石橋 冠(演出家・放送人の会)
主 催 : 放送人の会、(財)放送番組センター

<作品の概要>
 どこにでもある普通の家庭が、ひとつの事件によって運命を狂わされていく・・・。少年犯罪を真正面から取り上げたテーマ性と出演者の演技が高く評価され、海外に通用するドラマとして次々と賞を受賞した話題作。原作は、2006-07年に雑誌『BE・LOVE』(講談社)に連載された、伊藤実によるマンガ作品。「MIPCOM BUYER AWARD for Japanese Drama」、国際ドラマフェスティバル in TOKYO 2009「東京ドラマアウォード」グランプリ受賞。(2009年4月15日-6月17日/全10話 日本テレビ)

<セミナーのようす>
 「なぜこんな重いテーマのドラマを作るのか」という批判に「テーマは母親の目線で見た、親子愛・家族愛」だと何度も訴えたと次屋。難しい役に、稲森も板谷も演じられるか悩んだが、「そう簡単にできないと分かっている人に演じてもらいたかった」とも。「計算をせずにその時々の感情を表現した」と稲森。「キヨタンのお母さんと同時進行で、追体験しながら体当たりで演じた」と板谷。吉野は「二人が持ち込んで来る感情・芝居に任せ、客観的な目線で撮った」という。稲森は「ドラマを見てくれているお母さんたちと話したいと思っていた。今日はその夢が叶って嬉しかった」、板谷は「役者というより母親としてのあり方をこのドラマを通して教わった」と締めくくった。