作家の宮本輝さんが、『蛍川』にも登場するいたち川の川辺で、自身の文学の原点を語る。◆宮本さんは神戸生まれで、小学生時代の一年間を富山市で過ごした。初期の作品に川三部作があるが、いつも人生の節目に川があったという。『泥の川』や『蛍川』で描いた思春期は、大人に向かって歩み出す魅力的な瞬間。富山で印象に残っているのは吹雪と田植えと蛍だという。『蛍川』の蛍の乱舞にまつわるエピソードも明かす。また、『流転の海』に込めた命の継承への思いを語る。

「クレムリン」は「城」を意味するロシア語だが、いつしかモスクワの城がその代名詞となった。帝政ロシア時代には皇帝の住まいであり、国の信仰の頂点たる大聖堂を擁した、政治と宗教の中心であった。そして現在もこの城壁の中で大統領が執務しており、まさに５００年を超える歴史を刻む「ロシアの心臓」である。今回は、聖域・クレムリン内で空前の規模のハイビジョン撮影を敢行。特別許可を得て、クレーンなどの特機を駆使して撮影した貴重な映像を２回にわたって送る。前編では、城壁内外の様子や大聖堂の内部、そして「武器庫」に保管された皇帝たちの宝などを紹介し、クレムリンの偉容とそこに花開いた黄金時代の文化を伝える。◆クレムリンと赤の広場

２００２年１０月、凶刃に倒れた政治家・石井紘基。日本社会が抱える問題を誰よりも早く指摘していた彼が残した膨大な資料と、遺族や関係者の話を元にその足跡を辿り、石井が「日本病」と呼んだ“日本崩壊のシナリオ”を読み解き、その正体を探る。◆若き日、学生運動に燃えた石井紘基が留学した理想の社会主義国家・ソビエト連邦。しかしそこで見たものは、官僚がすべてを動かし、税金が闇へと消えていく腐敗した政治と社会だった。日本へ戻った石井の目には、資本主義・自由経済国家であるはずの自国の姿がそれと重なり合って見えるようになった。

バーチャル空間に架空の町「ビットランド」を設定、番組を見ている子どもたちのアイデアを取り入れながら成長していく。番組の方向性を視聴者が握る、双方向の児童番組。どんなアイデアが寄せられ、反映されていくのか。

岡山県内各地で歌われている“わらべ歌”を、その地域の子どもが歌うのに合わせて、その歌に関係する歴史や風土を紹介する。◆この回は美甘町の「いちじくにんじん」。

高度成長期の１９６０年代、ほとんど誰も知らなかった四川料理の店を出し、看板メニューの「マーボー豆腐」を人気料理に育て上げた夫婦のサクセスストーリー。国際結婚した陳建民・洋子夫妻をモデルに、涙と笑いの人間ドラマを描く。原作：吉永みち子。（２００３年５月１２日～６月９日放送、全５回）◆第１回「夢はふるさとの味」。昭和３０年代半ばの東京。陽子（松坂慶子）が買い物から家に戻ってくると、夫の孝民（武田鉄矢）が勤めていた中国料理店をまた辞めてきていた。ふるさとの四川料理をなかなか認めてもらえないと、孝民は親友・山根（松平健）に愚痴をこぼす。家には孝子と孝一という二人の子供がいて、家計は火の車。孝民はどの店でも長続きせず、カナダへ移住したいと言い出す。陽子は「家族はバラバラになっては駄目、日本で私たちの店を持とう」と励ます。

突然ふってわいた市町村合併によって、創立１００年・児童２１人の小学校が廃校の危機を迎えている。個性的な学び舎を自治体合併の数合わせによって消し去ろうとする矛盾を提示しながら、画一的な教育システムが忘却したものを見つめ直す。◆日本海の小さな漁港に寄り添う兵庫県浜坂町の御火浦（みほのうら）小学校。豊かな自然と地域の大人たちの知恵に触れながら伸び伸びと育つ子どもたち。その開け広げな笑顔の一方で、廃校に反対する保護者と、教育委員会との衝突が繰り返される。

病と闘いながら生きる娘、娘を見守る父、その父の再婚相手という三者の関係を通して、親子の絆を描く。原作：小島政二郎。◆昭和３９年、鎌倉。妻に先立たれた作家・藤沢省二郎（杉浦直樹）は、税金を払うために住み慣れた家を売り、娘・みこ（一路真輝）と新居に移り住んだ。不満をこぼし続ける父に、みこは罵声を浴びせるが、心情は察する。みこは回復の見込みのない病を抱えており、父に毒舌を吐くのも心配させまいという心の裏返しだった。やがて省二郎は高野冴（竹下景子）という女性と再婚を決めるが、省二郎とみこの微妙な関係を見抜いた冴は、同居せず省二郎が冴の家に通う「妻問い婚」を結婚の条件にする。