世界農業遺産に認定された徳島県西部の山里。転げ落ちそうな山の急斜面の畑を生かし、昔ながらの暮らしを続ける人々がいる。春は麦畑が黄金色に輝き、秋はそばの白い花が畑を彩る。山の恵みをいただく自給自足の暮らし。畑仕事は、手作業が多く、生活は決して楽ではない。そんな傾斜地集落で生まれ育った三木明美さん（８８歳）は娘と２人暮らし。大みそか、娘が打った自家製の年越しそばをすする。私たちが失ってしまった温もりが溢れていた。自然の恵みに感謝して生きる人々の一年を追う。

加賀市山中温泉大土町、赤い屋根瓦が独特の景観をつくる小さな集落は「赤瓦のマチュピチュ」と呼ばれている。明治初期には約４５世帯、３００人が炭焼きなどで生計を立てていたが、産業構造の変化とともに人口は減り続け、１０年前には限界集落の“限界”を超えて住民のいない無住集落となった。日本全国で無住集落は増え続けているというが、生まれ育った大土町に戻り一人で住み始めた男性がいる。二枚田昇さん（６８歳）だ。無住化に抗う男性の四季を追った。

生まれつき右ひじから先がないパラスイマー・一ノ瀬メイ（２４歳）。子どもの時に障害者への偏見を感じ、その悔しさから水泳に打ち込む。高校生で日本記録を複数所持する国内トップスイマーへと成長した彼女の夢は、東京パラリンピックに出場してメダルを獲得し、社会から障害者の差別をなくすこと。しかし新型コロナの影響により、パラリンピックは延期となった。様々な葛藤を抱えながら出場した東京パラリンピック予選は成績が奮わず日本代表入りを逃し、２０２１年１０月に彼女は競泳選手を引退する道を選んだ。それでも「社会から障害者への差別をなくす」という夢に向かって突き進む。

人間魚雷「回天」の基地があった山口県周南市大津島では毎年３月、小さな慰霊祭が開かれる。この慰霊祭は、回天を搭載した「伊５８潜水艦」の元乗組員有志たちが約２０年前に始めたものだ。当初は約２０人の元乗組員が参加していたが、高齢化と共に年々参加者が減少し、６年前からは中村松弥さんと清積勲四郎さんの２人だけとなった。２人は潜水艦から回天特攻作戦の現場を見てきた。回天がどのようにして出撃したか、搭乗員が最後にどんな言葉を遺したのか、戦果はどうだったのか、回天の真実を知る数少ない生き証人だ。しかし、そんな２人にも老いは襲ってくる。２人はお互いを気遣い、「どちらかが亡くなったら、慰霊祭は終わりにしよう」と約束していた。そして２０２０年、ついに１人となった。２０１６年から取材を続けた中村さんと清積さんを通して、回天の実相に迫り、戦争体験者が背負い続けているものを考える。

８つの水系が毛細血管のように大地を潤す「水の国」信州。信州の美しい映像と水の音、そして音楽で描く「水の旅」４部作の第４作目。「第４楽章　響きあう四季の歌」。◆信州の水を見つめた１年間。物語はいよいよクライマックスの第４楽章へ。春夏秋冬流れる水に寄り添うように「水の旅」をした高橋あず美さんは、その感動を紡ぎ、季節ごとのオリジナルソングを生み出してきた。過去に放送したシリーズ３回を再構成するとともに、新たな映像を追加して送る。◆ａｂｎ長野朝日放送開局３０周年記念特別番組。

今に伝わるアイヌ料理や文化をもっと知りたい。北海道平取町二風谷の出身で、アイヌにもルーツを持つ大学生、関根摩耶が北海道を旅し、モノローグでつづる。（２０２２年１月４日～３月２２日放送、全１２回）◆第７回「サモルン　エレクシ（ｓａｍｏｒｕｎ　ｅｒｅｋｕｓ）」。「サモルン　エレクシ」はアイヌ語で「隣のタラ」の意で、スケトウダラを指す。スケトウダラがよくとれる白老ではこう呼ばれていた。スケトウダラを大きな鍋に肝まで入れて「チェプオハウ（ｃｅｐｏｈａｗ、魚の汁物）」にする。山育ちの摩耶は地域や家庭で異なるアイヌ料理の奥深さをあらためて知る。※「エレクシ」の「シ」は正しくは小文字

秋田県美郷町（みさとちょう）にある小さな食堂を営んでいるのは、自称“いかさま手品師”のブラボー中谷（なかや）さんと、ブラボーさんの妻、張美（はるみ）さんだ。ブラボーさんは、ギャグと手品を組み合わせて観客の笑いをとる芸が得意で、これまで国内外でショーを開いてきた。しかし、新型コロナの影響でショーが激減。そこで、生まれ育った故郷の人たちに気軽に自分の手品を見に来てもらおうと、張美さんと一緒に食堂を開いた。ただ、食堂経営はなかなか軌道に乗らない。さらにブラボーさんに腎臓の病気が見つかり、２日に１回、人工透析を受けることになった。この先、たとえ新型コロナが収束したとしても、これまでと同じように遠くに出向いて手品を見せることは難しくなった。大きな壁にぶつかった２人だが、いつも笑顔だ。そしてブラボーさんは笑いをとることにこだわり続けている。夫婦で、そして常連客と支え合い、笑顔で暮らしていく２人の姿を描く。

テレビ愛知とミステリーイベント大手のＥ－Ｐｉｎがタッグを組み、リアルでもオンラインでも大人気のミステリーイベントを地上波とＷＥＢで同時生放送で送る。ＳＮＳへの投稿による刑事のサポートや電話投票による犯人当てクイズ、番組ホームページの本格推理など視聴者参加型推理ミステリーエンタテインメント。◆テレビ愛知の美術倉庫で、社長が変わり果てた姿で見つかり、死亡が確認された。警察は状況から殺人事件と断定し、捜査が始まった。別の事件でテレビ愛知を訪れていた愛知県警捜査１課の原田龍二警部補と愛知太郎巡査長の２人は、当時、美術倉庫が事実上の密室状態であったこと、監視カメラの映像と警備員の証言から、容疑者を４人に絞り込んだものの、犯人特定の決め手に欠き、スタジオゲストや視聴者の力を借りる公開捜査に踏み切ることにする。生放送中に提示される数々の証拠や証言を基に、原田・愛知両刑事と協力して事件を解明することができるか。