文化庁の芸術祭で大賞を受賞した桂三枝氏の「創作落語１２５撰」の中のひとつ、「背なで老いてる唐獅子牡丹」をラジオドラマ化したもの。◆極道の世界も高齢化し、昔気質の任侠道を貫く高橋組にもその波が押し寄せていた。老いた組長の高橋は昔を懐かしむ日々を送っていたが、兄弟の盃を交わしたはずの八木組の若い衆が高橋組のシマを荒らしていることを知り、古い仁義の世界の意地を通すため、お礼参りの殴り込みをかけようとする。「まむしの銀二」と呼ばれた極道仲間を助っ人に頼むが、銀二も高齢で老人ホーム暮らし。物忘れが激しく、二人の殴りこみはとんだドタバタ劇となる。原作：桂三枝、脚色：徳田博丸。出演：桂三枝、坂田利夫、浅香あき恵ほか

戦時中の知られざる真実を明らかにし、戦争の悲惨さを伝えるノンフィクションドラマ。事実を基に、元兵士の証言などを盛り込む。◆熊本に司令部があった旧日本陸軍第六師団は、１９４３年南太平洋のブーゲンビル島に転戦し、食糧補給の絶たれた島で多くの兵士が餓死した。同師団に所属していた父の「事故死」に疑問を持った娘が、父の死の真相を追う。そして父の上官であった男性と出会い、真実を知らされる。戦闘中にジャングルで食料を探していた父は、「敵前逃亡」の疑いで終戦直後に師団上層部の命令で銃殺されていた。ＲＫＫラジオ戦後６０年特別番組。作：村上雅通。出演：佐野浅夫、朝比奈潔子ほか。

“珍獣王”こと山下純一はブルースとお笑いをこよなく愛するミュージシャン。彼は盲目で肢体不自由という障害があって車椅子での生活を送っているが、「珍獣王国」というブルースバンドで精力的に活動している。◆この番組は、彼がパーソナリティを務めるレギュラー番組「珍獣王ひとりブルース」のスペシャル版。珍獣王に密着取材し、ライブや普段の番組では分からない彼の日常生活を紹介する。盲目で肢体不自由の彼が普段どのように暮らしているかを本人に解説してもらったり、リスナーに疑似体験してもらう。そして「珍獣王国」のライブを紹介し、彼が曲に込めた思いを語る。

昭和３年（１９２８）に始まり、放送と共に国民に親しまれてきたラジオ体操の歴史と今の活動ぶりを紹介する。ゲストは２７年間体操を指導した青山敏彦氏。◆午前６時３０分からの普段の「ラジオ体操」の番組を間にはさんで、青山氏に当時の思い出を聞く。ラジオ体操は生放送、しかも放送時間が短いが、会場の具合によって進行が押してくると…など放送の裏話も披露される。また、３代に渡るラジオ体操の放送やラジオ体操の歌、全国各地のラジオ体操会の活動も紹介する。◆司会：伊丹賢太郎、佐藤純子。「ラジオあさいちばん放送８０周年特集」の枠内で放送。

ＪＲＴサンデーウェーブの「ウェーブ・リポート」。ＭＣは保岡栄二、佐藤由芽。コメンテーターは四国大学の片山義行教授。◆９０才になる徳島市の木村さんの手元には、父の形見のバイオリンが遺されている。木村さんは父の思い出のために、一部こわれているこのバイオリンを修復し、演奏家に演奏してもらうことにした。番組はバイオリンの修復を取材し、よみがえった明治の音色を紹介するとともに、バイオリンの持ち主であった明治の熱血教師、木村和蔵さんの業績にスポットをあてる。

北海道根室市で歌い継がれる『根室女工節』。歌詞にある「女工の詰めたる缶詰」とはタラバガニの缶詰のことだ。根室には昭和３０年代までタラバガニが大量に水揚げされ、港は活気にあふれていた。◆しかし今、タラバガニはひとつも網にかからない。４０軒近くあった缶詰工場も２軒を残すのみだ。現在、北海道で売られるカニはほとんどがロシアからの輸入もの。北海道大学の調査によるとその８割は密漁・密輸によるものだった。密漁・密輸は乱獲による資源の枯渇を招いた。ある鮮魚販売業者は「タラバガニは幻のカニになる」と断言する。◆北海道・食文化の代表格であったはずのカニ。かつてカニの缶詰工場で働いていた女性は「子供たちにカニで栄えた時代を伝えるにはもう『根室女工節』しかない」と断言する。ＳＴＶラジオ報道スペシャル。

渡辺一馬・１４才、栃木県鹿沼市の中学３年生、そしてオートバイ・ロードレースライダー。彼は父親から与えられたポケットバイクに夢中になり、５才からレースに出場。９才には５０ｃｃミニバイクにステップアップしてその才能を開花し、表彰台の常連になった。１４才でＧＰ１２５ｃｃクラスにデビュー、そして全日本選手権に初参戦する。◆栃木から世界の桧舞台で活躍するトップライダーが生まれるかもしれない。ライダー渡辺一馬の夢と成長、そして彼を応援する人々の人間模様を紹介するプログラム。モータースポーツ・ドキュメンタリー。ナビゲーターは鹿島田千帆。

自然派思考人・河村通夫は開拓に入った北海道栗沢町の山に住みついて２０年以上経った。２００５年春、自宅の裏山で雪解けの水に洗われた沢伝いから、絵皿や茶碗のかけらがザクザクと出てきた。以前にこの地に開拓に入り、この地を去って行った農家のものか、この裏山に捨てて行ったものと思われる。◆絵皿のうちのひとつは「三平皿」と呼ばれるもので、もともとは「なます皿」と呼ばれる九州・伊万里の焼き物だった。この絵皿が北海道に渡ったのは、鉄道の敷設が完成する以前であり、日本海を渡る北前船によって運ばれたものらしい。北前船は江戸時代よりも明治期にピークを迎えていたのだ。◆この「なます皿」にはどんな食材が盛られたのか、なぜこの大きさなのか、そして本物の「なます」とはどんな味がしたのか。河村通夫はこれを実際に作り、食してみることにする。