カンカン踊りに迎えられて、映画の都ハリウッド入りしたフルシチョフ首相は、美女に囲まれて大層ご満悦だった。人波をかき分けて穀倉地帯デモインでは農場見物、畑の中まで入り込んでアメリカ式農法を熱心に見て回った。ピッツバーグの工場視察では、工員の一人一人にお互い仲間同志と愛想を振りまく如才なさ。はては製品を懐に入れるなど茶目っ気を発揮して、いろいろ話題をまいたアメリカの旅であった。（週間話題）

第３回東京国際見本市は、１９５９年５月５日、東竜太郎東京都知事がテープを切って華やかにその幕を開けた。アメリカから出品された模型原子炉。マンモスドームの下には２３カ国から出品された約１０万点の商品が展示されている。チェコの自動印刷機、アメリカの電気オルガン、カナダのアイソトープ利用ガンの深部照射機など、各国ご自慢の工業製品が話題を呼んでいる。（週間話題）

１９５９年７月３１日、国鉄ご自慢、特急「こだま」のスピード試験が、東海道線金谷─焼津間で行なわれた。沿線には風圧計や速度計など記録測定機の設置も整って準備ＯＫ。いよいよ世界新記録更新をめざして挑戦だ。テスト４回目、ついに時速１６３キロの狭軌道における世界新記録を樹立。東京─大阪３時間半、「夢の超特急」実現に貴重な第一歩を記した。

１９５９年３月１６日、皇太子さまと美智子さんのご結婚式の日取りを告げる「告期の儀」が行なわれた。町では業者たちがミッチー・ブームに便乗して抜け目のない商魂を見せ、皇居前では警視庁の警備関係者が、参観者の場所割に今から頭を悩ませている。ご成婚馬車の予行演習も始まったが、馬も騎手もにわか仕込でウマくいかない。近づくご成婚式を前にテンヤワンヤの表情である。

国鉄ご自慢の大形コンテナ専用貨物列車特急「たから」号が、パレードも華やかに誕生した。このニューフェイスは、荷物をコンテナにそのまま積み込んで、戸口から戸口まで輸送出来るという荷造り不要のデラックス特急だ。１９５９年１１月５日、初荷を満載して処女列車が出発。このコンテナ列車の出現によって、今まで３０時間もかかった東京─大阪間が１０時間５５分に短縮され、来年には全国的にお目見得するそうだ。（週間話題）

将棋の町山形県天童では恒例の将棋祭り。駒で作った数珠を掛けたお坊さんたちが、お経を唱えて神妙に将棋供養を行なった。公園の広っぱでは名物人間将棋の野試合が始った。今年は大人の初段と５級の腕前を持つ小学校１年生、庄司君との対局。一手ごとに駒の動きがアナウンスされて、盤の上で人間将棋のコマが進められる。とられた駒は場外でひと休み、駒の下でのんびりと春の日ながを楽しんでいる。結局この勝負９０手で庄司君の勝ち。１９５９年も開かれた将棋祭りのひとコマである。

梅雨明けの相模川に舟を浮べ、実力者河野一郎さんは家の子郎党を従えて鮎漁に出かけた。さしずめ天下を狙う太公望よろしく、悠々と時期の来るのを待っているようである。珍しく鳩山薫子未亡人など、ご婦人方も招待して大いにサービスにつとめる河野さん。藤山愛一郎さんが、満９０年を迎えた外務省記念日のパーティーに出席すれば、外遊を理由に入閣を断った三木武夫さんは、９０日間世界一周の旅に出た。留守中何分よろしく頼むと精一杯の愛嬌を振り撒く岸信介首相。１９５９年７月１１日４度目の外遊に出かけた。各国の高官に贈る勲章の御中元をどっさり積んで、岸さん得意のニコニコ外交に、一路ロンドンへ向けて旅立って行った。（週間話題）

不況にあえぐ石炭界は、三井三池炭鉱の人員整理をめぐって労使が激しく対立し、今最大の危機に立っている。東京の三井鉱山三池炭鉱本社で、全国の炭鉱からやって来た日本炭鉱労働組合の組合員たちが気勢をあげれば、一方ストライキは反対だと、大牟田の再建市民運動本部の陳情団が上京、ＰＲ運動を始めた。こうした中で、１９５９年１１月１９日日本労働組合総評議会臨時大会が開かれ、炭労の合理化反対闘争をより強力に推し進めるため、組織を挙げて闘うことを申し合わせた。揉め続ける三井炭鉱の争議に対し中山伊知郎中央労働委員会会長は、「会社は指名解雇をやめ、組合側は希望退職を阻害しない」という斡旋案を提示した。地元では交渉の成行きを見守りながら、長引く闘争に備えて家族ぐるみで団結の構え。斜陽産業といわれる炭鉱に吹きすさぶ合理化の嵐は、まだまた広がりそうだ。