人情芝居を演じてはプロ顔負けの大喝采を集める素人芸能一座の表裏を描く。◆岡山県山手村（やまてそん）にある大根一座は、座員全員しろうとばかりの大衆演劇専門の一座。座長の近城志ん之助は果物店社長、二枚目男優は電機工事技師と多士済々の顔触れである。一座の演し物はすべて座長の書き下ろし、義理と人情に彩られた「世話物」で涙なしには見られない。仕事の合間の猛稽古がプロ顔負けならば老人施設での一座の人気もまたプロ以上という超人気集団である。

文楽に登場する人物のかつら、衣裳の約束事を見る。◆舞台にはいくつかの約束事があり、観客がそれらを頭に入れて芝居を楽しむのは文楽も同じである。例えば女方の赤い衣装は身分の高い女性を、大名の正装の色で性格の善悪を表すなどである。時代物、世話物それぞれ誇張され美化された道具だては欠かせない。◆副音声は英語

不動産屋で出会った老人と青年がひょんなことから同居をはじめた。他人同士の二人の間にいつしか本当の家族のような絆が生まれていく過程を描く。◆スーパーマーケットで働く雅行（緒形直人）は、宝塚市内のアパートに引っ越そうと不動産屋を訪ねるが、雅行の予算で借りられそうな部屋はない。その時、同じ不動産屋で部屋のあっせんを断られている弦一郎（花沢徳衛）という老人と出会った。一人暮らしの高齢者には部屋を紹介しないというのだ。雅行と弦一郎は孫と祖父というふれこみで部屋を借り、同居することにした。

日本にコメの市場開放を強く求めるアメリカの農業や、輸出に向けた新たな動き、農民の本音などを取材する。そして国内の稲作から生産性の高い農業へと取り組む現状を通して、２１世紀に向けて大きく変わろうとする農業の姿を描く。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆飯沢匡：劇作家。１９０９年和歌山生まれ。１９３３年朝日新聞に入社、「婦人朝日」「アサヒグラフ」編集長を経て１９５４年に退社、文筆に専念する。ラジオ・テレビ・新派・歌舞伎・狂言・大衆劇・児童劇など幅広い分野で活躍。主な作品に「もう一人のヒト」（１９７０）、狂言「濯ぎ川」など。

桜自慢は全国どこにもあるが、大阪、天神橋の近くにあったといわれる「鶴満寺」の桜も見事で、振舞いの花見酒に酔う寺男の酔態ぶりが面白い。和尚の留守に、袖の下を貰ってお花見お断りの寺に客を入れる。客の振舞い酒に酔って寝込んでしまう。帰ってきた和尚に注意されると、歌を詠む客だったのでと言い訳をする。百人一首にかけたオチがネタである。

浪曲界の革命児といわれ、単なる寄席芸に過ぎなかった浪花節を、大劇場の芸にした桃中軒雲右衛門の話。師匠のつれ合いと駈け落ちをして東京に居られなくなり、地方で苦闘のすえ人気を得て九州から一座を率いて上京し、大劇場で興業を打つことになる。◆「桃源の風雲児」・作／榎本滋民・曲師／伊丹秀敏・太田英夫

兵庫県西南部は、かつて播磨の国といわれ渡来系の人が多く住み、大和と九州を結ぶ交通の要衝だったため仏教を受け入れる条件がそろっていた。加古川の河口近くにある、播磨の法隆寺といわれる５８９年開基の鶴林寺。さらに西北の山中に、藤原様式の秀作・三重塔が建つ一乗寺。姫路市の北、書写山に建つ霊場・円教寺。この地に仏教文化が花開いた由来や聖徳太子との結び付きなど、仏教伝来から室町までの旅。◆【国宝】鶴林寺本堂、太子堂、一乗寺三重塔◆【重要文化財】円教寺大講堂、常行堂、聖徳太子絵伝〔鶴林寺〕、聖観音立像、釈迦如来坐像〔円教寺〕