古代日本人が作り出した魂の造形、勾玉。造形の端緒は諸説あるが、不思議な色と形に古代人は様々な願いや祈りを託した。材質のヒスイは糸魚川の地から採掘し独特の加工を施して、古代における海外交易品として重要な役割を果たし歴史を支えてきた。剣と鏡と勾玉は三種の神器といわれ、天皇家や神事の象徴として敬われた。巫女により災い防止や豊作祈願の道具として継承されたが、俗世界から消え去り、魂の造形としてのみ存在した。◆【重要文化財】勾玉（出雲国玉作阯出土品）〔玉作湯神社〕、勾玉〔玉作資料館〕、硬玉勾玉〔出雲大社〕◆【その他】子持ち勾玉〔富山県立埋蔵文化センター〕

マドリッドのプラド美術館の中で一際目をひく、ゴヤ作「着衣のマハ」と「裸のマハ」の２作品。スペイン帝国最盛期の１９世紀始めに描かれた。宗教的道義が厳しい時代に危険を冒して描いた裸のマハのモデルは誰なのか。その謎は２００年後の今も解かれていない。宮廷画家として上流社会に知り合いを多くもっていたことからアルバ公爵夫人の説が有力だが、確たる証拠はない。他に３人の女性像が浮かぶが、その謎を知るのはゴヤだけである。◆フランシスコ・ゴヤ（１７４６～１８２８）「着衣のマハ」１８０３－０６、「裸のマハ」１８０３－０６、「目かくし遊び」１７８８、「カルロス四世家族」１８００、「巨人」１８１０－１８１２、「アルバ公爵夫人」１７９５，９７

日本にコメの市場開放を強く求めるアメリカの農業や、輸出に向けた新たな動き、農民の本音などを取材する。そして国内の稲作から生産性の高い農業へと取り組む現状を通して、２１世紀に向けて大きく変わろうとする農業の姿を描く。

規定の動作を素早く正確にこなせるロボットをそれぞれのアイデアで自作して性能を競う「ロボットコンテスト」の国際版。◆日本の東京工業大学、アメリカのマサチューセッツ工科大学、イギリスのケンブリッジ大学、ドイツのダルムシュタット大学が参加。４大学の学生が入り交じって編成された国際チームに分かれ、対抗トーナメントを戦う。◆各チームが独創的なロボットを製作、それを操縦して競技場内に置かれた３種類の容器を分別収集するというゲームで競い合う。

京都の文化を訪ね歩く。家々の軒下に見られる“すだれ”は京の景色、季節感に敏感な京の人は夏と冬ですだれを変える。京の食文化は目で楽しむ。その一つ、細工野菜の職人の技を見る。千二百年の歴史をもつ練香には平安貴族の香りが漂う。京のお茶漬けで、質素な中に贅沢を味わう。全国に５つある梵鐘の工房のひとつが京都にある。銅と錫の合金の鐘に、火入式で仏の魂を入れる。時を告げる鐘の音は余韻を残して古都を覆う。旅人は金沢碧。◆第１０３４回　◆青蓮院南禅寺方丈【国宝】

ペレストロイカ（改革）とグラスノスチ（情報公開）を旗印に、ソビエトにゴルバチョフが登場して６年が経つ。経済改革の挫折と民族運動の激化により、保守回帰の動きが顕在化する中で、ゴルバチョフ改革路線は大きく揺れ動いた。試練に立つゴルバチョフ大統領の動きを追い、ペレストロイカの軌跡と今後の行方を検証する。

チャールズ・ダーウィンが進化論を唱えるきっかけをつくった、帆船ビーグル号の航海を追体験し、その後の地球がどう変わったか、どう変わってゆくかを問いかける、全１１回の番組。第９回は、６５００年前にアフリカ大陸と分かれ、独自の進化の道をたどったマダガスカル島を訪れる。ダーウィンがマダガスカルを訪れたことはない。しかし、島に自生する長い蜜腺をもつランをイギリスで見た彼は、この花の蜜を吸う３０センチの口先を持つガの存在を予言した。４０年後にその予言は的中。そして今回、リポーターをつとめる昆虫写真家の今森光彦さんがその証拠写真の撮影に世界で初めて成功した。

１９９１年８月１９日にソビエト連邦で発生した共産党保守派のクーデターは失敗し、２４日には復権したゴルバチョフ大統領が共産党中央委員会の解散宣言に追い込まれるという、革命ともいうべき結末となった。ソ連激動の７日間を、ロシアＴＶの映像などを基に再構成して描く。