中学・高校 <SDGs編>

中学・高校向けおすすめ番組

持続可能な開発目標「SDGs」に関連した番組の中で、大学の授業で使用された、「瀬戸内海がゴミ箱になる日」を紹介します。この番組のほか、全国各地の放送局が、地域の問題を取材し、その実態を伝え、解決への糸口を探るべく番組を制作しています。17 の目標を達成するためには何をすればよいのか、自分はどのように貢献できるかを考えるヒントになれば幸いです。

瀬戸内海がゴミ箱になる日(2021.5.29放送/南海放送/49分)

愛媛県八幡浜市の岩田功次さん（６０歳）は、瀬戸内海に流入する海洋プラスチックのゴミ拾いに長年取り組んでいる。ゴミが蓄積する場所（ゴミ浜）は、海側からしか見えず、船でしか行くことができないため、これまで誰も気づかず放置されていた。拾ったゴミの処理は各自治体に委ねられるが、大型発泡スチロールやブイなどを受け入れていない市町もある。終わりの見えないゴミ拾いに挑む岩田さんの活動と、ゴミ浜の現実を伝える。

番組を利用した先生の声(鳴門教育大学「持続可能な生活づくり」)

環境問題を学ぶ際、身の回りで起こっていることをリアルに、具体的に理解することがとても大切だと考えています。
番組を利用して、自分達が簡単には行けないような場所で起こっているゴミ問題が、映像を通じてリアルに伝わってきました。また、ゴミの量が数値で表現され、問題の規模を把握することができました。地域のゴミ問題を深く理解することができ、学生の意識と理解を高めるのに、非常に効果的でした。

制作者の声

南海放送　制作部ディレクター・山本貴洋　さん

海ゴミと私たちの生活は関係しています。
「ゴミ浜の光景」が、環境問題に関心をもつ入口になれば嬉しいです。

ゴミ浜の存在を「知ってもらう」こと

取材するまで、私自身ゴミ浜の存在は知りませんでした。「八幡浜市に海ゴミを拾っているすごい人がいるから、密着撮影に行ってくれ」と言われたのが、すべての始まりです。その後、岩田さんの同行取材がスタート。一緒の船に乗り、数々の漂着ゴミの現場を案内してもらいました。
番組に込めた思いは、とてもシンプルで「ゴミ浜の存在を知ってもらう」こと。海ゴミの問題は、原料、リサイクル、処理、経済状況など、あらゆる視点から語ることができますが、まずは現状を知ってもらうことがすべての出発点です。マスメディアとして、事実を「見える形」で多くの人に伝えることが自分の役割だと考えています。

ゴミ浜の光景を「思い出す」こと

実際に現場を取材し、多くのゴミ浜を見て感じたのは「海ゴミとは、人間の“無関心”が形になったもの」だということです。プラスチック容器の他にも、漁業用に使われた道具の一部など、すべて自分たちの生活に繋がっています。自然界では分解されないゴミは、拾う以外に減らす手段がありません。普通に生活していると、なかなか海ゴミに関心を向けるのは難しいと思います。それは悪いことではなく「知らない」というだけの話です。海ゴミの問題は拾って終わりではありません。この問題で大切なのは「どの世代に責任があるか」を問うのではなく、時間軸を超えて取り組むべき課題であるという認識です。
まずできることの一つは、「ゴミ浜の光景を思い出すこと」。社会の意識が変われば、環境も必ず変化します。番組の受け止め方はさまざまあると思いますが、番組を入口として現実を知ってもらい、それぞれが疑問に感じたことや、もっと知りたいと思ったことを掘り下げて、当事者意識を持ち、目の前の問題をリアルに感じれば、人間が生み出した「ゴミ」は必ず人間が無くしていけると信じています。