公的資金でお年寄りの介護費用を賄おうという介護保険がスタートする前年。ＮＮＮドキュメントは全国各地の地域医療をめぐる問題を特集した（「特集　地域医療のなかで」）。岩手からは、岩手県岩手町で寝たきり老人をなくす医療を実践している開業医の佐渡豊医師（５４歳）の取り組みを紹介した。◆佐渡医師は１５年前から、当時は珍しかった訪問診療と医院による治療を組み合わせている。きっかけは脳卒中で寝たきりの患者が、懸命のリハビリで歩けるようになったこと。取材時には、９２歳の男性が自宅で転倒し入院したばかりだった。気難しく、他人に心を開かない男性は、誰とも口をきかなかった。このままでは寝たきりになってしまうと心配したスタッフは、男性に粘り強く働きかけ、佐渡医師がいう「心の寝たきり」状態から離脱させた。男性はリハビリにも熱心に取り組むようになり、３か月ほどして退院し、目が不自由な奥さんに代って台所仕事もするようになった。また別の女性（７４歳）は、脳卒中で左半身が麻痺、骨粗しょう症も進んでいるため、前の病院ではリハビリは危険だからしないよう言われていた。しかし佐渡医院に転院してからは、できることを少しずつやっていこうという医院の方針で、徐々に歩けるようになり、入院から１０か月で車いすから一人で立ち上がれるようになった。番組ではこの他にも、佐渡医師やスタッフの働きかけで心の寝たきり状態を脱していく患者の様子を丹念に追った。

京都の街並み、人々の暮らしをさまざまな角度から描き、その魅力を紹介する。◆この回は「マイコレクションｉｎ京都」。

能登上布を探訪する。◆能登の特徴は、おばあちゃんがよく働くこと。画家の高柳哲三さんは、おばあちゃんを描くことで能登を表現したいという。そんなおばあちゃんの織った能登上布は、夏着によいといわれる麻の織物で、昭和の初期に頂点をきわめた。だが、洋装が入ってきて流行はすたれ、今は女性用高級着物として織元１軒を残すのみとなった。しかし、鹿西高校には織物部があり、能登上布会館には主婦たちが集う。織元にも若者がいる。織りの技術は未来に伝えられる。

ドイツから２，８００キロ、８つの国を経て黒海に注ぐドナウ河。その手前でヨーロッパ最大の三角洲をつくり、３百種、百万羽を越える鳥類をはじめ、動植物が見られる。デルタの自然と、リポバ人の生活を覗く。◆ここには豊かな生態系があり、アフリカに旅するモモイロペリカンが代表的な鳥だ。◆２５０人ほどのリポバ人は、かつてロシアに住んでいたが、１８世紀、ピョートル１世の髭を剃れという命令に反発して逃げてきたのだという。家の彩色、屋根の葺きかた、十字架、何もかもがユニークだ。◆ドナウ・デルタ

被爆者の高齢化が深刻化する中、広島市はヒロシマピースボランティアの育成に乗り出した。被爆体験のない人が研修を受けることによって少しでも被爆体験を伝えていこうというもの。被爆体験のない若き“ヒロシマピースボランティア”メンバーの阿形さんを密着取材する。◆彼女が綴った「ヒロシマ命の遺産」ノートを交え、被爆者で語り部の先輩、沼田さんとの心の交流や、平和公園内に移設された韓国人原爆犠牲者慰霊碑が彼女に問い掛けた在韓被爆者問題をクローズアップしていく。そして次の時代を担う世代に被爆体験を継承することが急務となっている現状を人々に伝える。

コンピュータメーカーの副社長・羽嶋浩司（陣内孝則）の許に突然、昔の恋人・松永奈津子（秋吉久美子）が現れた。羽嶋は新開発のスーパーコンピュータの完成目前で、家にもろくに帰れない日々を送っていた。奈津子の息子が交通事故に遭い、助けてほしいと言う。その息子は、奈津子が羽嶋と別れた後で黙って産んだ羽嶋の子だった。羽嶋はその願いを断るが、家のパソコンに届いたメールに息子からのメッセージを感じる。自分が開発中のコンピュータと事件の関連性も浮かび上がり、自分の仕事が息子を窮地に追い込んだのではないかと、疑問をぬぐえなくなる。第１６回サントリーミステリー大賞スペシャル。原作：高嶋哲夫。

１９０８年に日本の治水学者・岡崎文吉が考案した治水護岸工法「コンクリートマットレス」がアメリカのミシシッピ川で採用された。北海道が産んだ流水の科学者・岡崎文吉の功績を振り返り、その人生を辿る。◆「自然主義」を唱え、蛇行した流れをそのままに、決壊しやすい岸だけを補強し、増水にはバイパスで対応しようとした岡崎。コンクリートマットレスは、岸をコンクリートで固めてしまうのではなく、細長いコンクリートブロックをワイヤーで繋いだマットを岸辺に敷き詰める工法で、蛇行した流れにも対応できる。

京都の街並み、人々の暮らしをさまざまな角度から描き、その魅力を紹介する。◆この回は「色とりどり京の春」。