「明治維新１５０年」となる２０１７年を前に、西郷隆盛の言葉「西郷どん（せごどん）の教え」を、現代にも通じる“心の教え”として紹介する番組。「南洲翁遺訓」などの文献を元に、フィールドワークを中心にした歴史トークで人気の東川隆太郎さんが、歴史初心者のパーソナリティ宮原恵津子に、漢文交じりの堅くなりがちな文を、わかりやすく解説する。人材登用について語った「人材を採用するに」（２０１５年１月２６日、２月２日）、税金をテーマにした「租税薄くして」（２月２３日、３月２日）、そして西郷隆盛の座右の銘にも通じる「道は天地自然の物にして」（３月２３日）の５回分を公開。

戦後７０年の中で、異国情緒にあふれ、おしゃれな街のイメージを持つようになった神奈川県横浜市本牧。しかし、その本牧の長い歴史の中で忘れてはならないのが、太平洋戦争での米軍による大空襲である。終戦から７０年たった今、この本牧の大空襲から現在に至るまでの本当の歴史を、それぞれの時代の本牧に生きた人物のインタビューや、大空襲の被災者のインタビューで振り返る。◆終戦後、米軍に接収された本牧の町は、市電が走る本牧通りを挟んでアメリカ人の町と日本人の町が隣り合い、ひとつの町に二つの文化があった。本牧生まれの横山剣さんは、「東京も憧れる本牧」と呼ばれた１９６０年代、７０年代の様子を語る。だがこの町は７０年前、わずかな時間で一面の焼け野原になった。本牧で生まれ育った横浜大空襲の体験者に話を聞く。

新潟県上越市の五十嵐巌さん９３歳は、太平洋戦争末期、ビルマ戦線で戦った兵士の生き残りだ。これまで何百回とハーモニカの演奏と共に戦争体験を語ってきた。農家の長男として生まれ、１９４３年に徴兵検査を受けて故郷を後にした。ビルマでも日本軍は劣勢に追い込まれ、五十嵐さんは手榴弾を持って敵陣に切り込む決死の作戦の実行部隊となる。この作戦で同郷の戦友、滝沢寛さん（当時２０歳）を亡くした。戦地から戻った五十嵐さんが遺書を届けると、滝沢さんの両親は涙を流して受け取ったと言う。その１か月後、滝沢さんの父から手紙が届いた。そこには、役場からの戦死公報が届いたこと、終戦で明日にも息子が帰るかもしれないと待ち続けていたこと、戦死の知らせを受けて、日本の平和の礎になった息子の冥福を祈りたいと思っていることなどが記されていた。五十嵐さんは今も、自分ばかりが生き延びてしまったと後ろめたく思うことがあると言う。

青森県八戸市出身の村次郎（むら・じろう）は、幻の詩人と呼ばれている。生前世に出した詩集は、昭和２０年代に制作されたわずか２冊だが、彼の詩は文芸雑誌で高く評価され、将来の活躍が期待されていた。しかし、老舗旅館の長男だった村は、旅館をつぐため、若くして筆を折ったと言われている。その後は詩集を発表することもなく、地元でも忘れ去られていた。喜劇役者・十日市秀悦も八戸で三代続く食堂の長男として生まれたが、役者になりたくて上京し、３８年が経った。なぜ才能を認められた村が、詩人をやめて家業を継いだのか、その背景を求めて、十日市が村の郷里、八戸市鮫町を訪ねると、旅館はすでに解体されていたが、村を知る人々がいた。そして取材を進めて行くうちに、「旅館を継ぐため、筆を折った」と言われている村の、違った一面が明らかになっていく。彼は生涯、詩を書き続けていた。そして、詩の発表をやめたのは家業のためだけではなかったのだ。◆平成２７年度芸術祭参加（初回放送２０１５年５月３１日）

きのくに子どもの村学園は、教育学者で元大学教授の堀真一郎さんが、子どもの幸せ、学校教育のあり方が問われ続けた中で、１９９２年に和歌山県橋本市の山里に開校した学校である。学校法人の認可を得た学校とは言え、テストも校則もない自由な学校だ。ここでは先生を「先生」とは呼ばない。先生と生徒ではなく、おとなと子どもがいる空間。授業の核になるのは、プロジェクトと呼ばれる総合学習で、郷土料理、木工などを通して自ら学び、真理を発見することに力を入れている。子どもたちが自ら話し合って決めるミーティングも大切な取り組みだ。卒業生の回想が、学校は学び、そして育つ場所だということを教えてくれる。子どもたちの日常、学園長の堀さん、地元和歌山大学の山本前学長、公立学校教師のインタビューを通して、この学校が持つ意味、子どもの幸せ、そして現在の学校教育が持つ課題とその解決への道を探る。

「ミュージックセラピスト」とは、まだ日本ではなじみの薄い「音楽療法士」のことである。音楽によって患者の心を治療する人たちだ。アメリカのホスピスで緩和ケアの音楽療法士として１０年間働き、１２００人の死を看取り、７２００人の患者と接してきた佐藤由美子さん。彼女と１０人の患者たちの出会いと別れを描いた著書「ラスト・ソング　人生の最期に聴く音楽」を原作に、佐藤さんが音楽療法士の道を志し患者を治療していく中で、逆に多くの事を教わり、音楽を通して人生を強く生き抜いていく姿を描く。

“朝”が元気になる“サプリメント”、「あさぷり」は、女性アナウンサーが曜日を分けてパーソナリティをつとめる生ワイド番組（２０１５年６月放送開始）。ニュース、天気予報、交通情報をはじめ、青森県内の旬な情報をリスナーメッセージと音楽も交えて届ける。番組に彩りを加えているのが、日替わりの個性豊かな“ラジばたサポーター”。それぞれの得意分野で、お茶、映画、お手軽レシピ、旬の魚についての情報を伝える。今回登場するのは、ラジオを聴きながら魚のさばき方のコツがつかめると評判の、ジョニーこと西澤誠さん。本職は青森魚類株式会社のセリ人だ。冬が旬の魚介類の話題とハタハタのさばき方を、パーソナリティの?子英里と“エアー調理”（調理をしているつもりの会話）で紹介していく。

岐阜県恵那市岩村町は人口およそ５４００人。三万石の城下町として、岩村城跡をはじめ、古き町並みや数多くの旧跡を有する情緒あふれる史跡観光の町だ。その町並みの各家には佐藤一斎の「言志四録（げんししろく）」の中の言葉か書かれた板が吊るされている。一斎は江戸時代後期の儒学者で、「この人物がいなかったら、日本の夜明けはなかったかもしれない」と言われる。門下生に佐久間象山、渡辺崋山らがおり、一斎の「言志四録」は幕末の西郷隆盛、勝海舟、坂本龍馬などに大きな影響を与えたと言われている。「言志四録」には現代に通じる学びの心が詰まっている。岩村の人々は今も、自分の生き方に自信を失ったり、迷いが生じたときに、この言葉からヒントを得たり、生きる希望を見出している。なぜ一斎の言葉は時代を越えて心にしみるのか、一斎の訓えとそれを継承していく人々を紹介する。