南海放送は２０１３年に開局６０周年を迎えた。開局した１９５３年とはどんな年だったのか、この年にゆかりの文学作品を朗読していく。取り上げるのは、松本清張の第２８回芥川賞受賞作「或る『小倉日記』伝」、第６回女流文学賞に選ばれた円地文子の「ひもじい月日」、そしてレイ・ブラッドベリのＳＦ小説「華氏４５１度」の３作品。「華氏４５１度」には、読書が禁じられ、国家権力による情報操作が行われている世界が描かれている。現代人のメディアリテラシーをも問うこの作品を通して、メディアに携わる者の心構え、情報を受け取る側のあり方についても語り合う。朗読と共に、当時を象徴するトピックや流行歌も織り交ぜて紹介する。

茨城県東海村は１９５７年に日本で最初に原子の火がともった地だが、村長の村上達也氏（放送当時）は今、脱原発を唱えている。原発があり、原子力施設が並ぶこの場所で、約半世紀の間、村はどう変化してきたのだろうか。動燃火災爆発事故、ＪＣＯ臨界事故、そして福島第一原発事故を受け、村上村長の心境はどのように移り変わったのか。国のエネルギー政策が問われる今、原発立地自治体が抱える実情や、村長が掲げる将来像に迫る。◆村上村長のインタビューやシンポジウムでの発言を縦軸に、茨城放送に残る過去の原子力関連の音声を横軸に置き構成。臨界実験の記録音声、動燃・ＪＣＯ事故のニュース音声、東日本大震災後の東海第二原発内での取材録音、東海村内関係者や有識者の声も交え、東海村や原子力に関連した曲も散りばめながら、日本の原子力発祥の地、東海村の実情を描く。

神戸の夕方を彩る、リスナー参加型エンターテインメント番組。夕方４時から７時までの３時間、地元情報などを取り入れながら、オールリクエストで送る。月曜・火曜担当は藤原岬、水曜・木曜担当はターザン山下。（２００３年４月放送開始）◆この日は地元ロックフェス「Ｃｏｍｉｎ’　ＫＯＢＥ」と中継を繋いで送るスペシャル版。このイベントは阪神大震災への支援に対する恩返しがテーマで、多数のアーティストが無償で参加し募金を呼びかける。月曜担当の藤原岬もアカシアオルケスタのボーカルとしてこのイベントに出演のため、スタジオはターザン山下が担当。盛り上がる会場の様子を藤原岬がレポートする。

鹿児島県内の高校生とともに制作する１時間の生番組。（２０１２年４月放送開始）◆今回登場するのは、鹿児島県曽於市の財部高校と、伊佐市の伊佐農林高校。財部高校は「ＴＫＢ１５９」、伊佐農林高校は「ＩＳＡ４ｔｏ８」というユニークな名称の地域応援団を結成し、活動している。「地元応援合戦スペシャル！春の陣！」と題して、自分達のふるさとの魅力発信に取り組む生徒達を応援する。前半はスタジオでのプレゼン対決。地元の名所や特産品、地域ボランティア活動への参加について発表する。後半は、それぞれの地元からの中継による応援対決。財部高校からは伝統楽器ゴッタン（板張り三味線）を継承する活動と演奏、伊佐農林高校からはＩＳＡ４ｔｏ８のメンバーと関係者がオリジナルソングを披露する。リスナーにそれぞれの地元愛は届いたか。生徒、先生、学校、地元の人々がタッグを組み、地域の魅力、可能性、高校生パワーを熱く発信した。

日常生活の旬な話題、気になるテーマを聴取者とやり取りしながら手料理風に、生活情報として提供している番組。（２０１０年４月放送開始）◆この日は秋の運動会シーズンに合わせて、集団での駆け足から止まる歩数を大調査する「ぜんたーい！止まれ！その後は？」。ある新聞記事によると、福岡では５歩が多数だが、全国では２歩だという。まずは福岡市教育委員会に問い合わせると、やはり５歩が福岡の標準の様子。ラジオカーの２台のスナッピーも、放送エリア各地で突撃取材。１台が訪ねた福岡市内の中学校では、なんと２歩だという。もう１台は、福岡県と佐賀県の県境を中心に、歩数の違いを追う。佐賀県鳥栖市で年配の方々に駆け足を実演してもらうと、３歩、５歩とバラバラで、序盤から、意外な現象が続く。一方、リスナーからも、自宅や町なかで実際に駆け足して検証したという報告がたくさん寄せられる。

２０１１年３月末に民主政権に移行後、世界中がミャンマーへの企業進出を加速させている。しかしインフラの弱さや宗教対立など問題も山積し、その発展は一筋縄ではいかない。現在のミャンマーブーム以前から日本とミャンマーとつながりは深く、関西にも１０００人以上の在日ミャンマー人がいる。彼らの中には今のブームを冷静に捉え、祖国の激変に違和感を持つ人も多い。ミャンマー人と国際結婚し、神戸市長田区でミャンマー料理店を開いた日本人女性の奮闘振りを軸に、ミャンマー人の夫や子供、客や隣人など店を取り巻く“ミャンマー料理を食べる人々”の人間模様から、ミャンマーに焦点を当てる。また、文化人類学者やボランティア活動を続ける女性、在日ミャンマー人の声を織り交ぜながら、ミャンマーという国を多角的に見つめる。◆大学でビルマ語を学び、１０年以上ミャンマーと関わってきた制作者が、「記者レポート」の形で自らの問題提起を様々なインタビューを通じて解明する。ラジオ大阪報道特別番組。

備前平野に春を呼ぶ西大寺会陽（えよう）の会場からの生中継。授かると福が訪れるといわれる宝木（しんぎ）の投下まで３０分足らずとなった西大寺観音院の境内は、わっしょいわっしょいの掛け声の中、裸の男達の宝木争奪戦を前に興奮が高まる。まわしに足袋以外何も身に着けることが許されない裸の男達が集う観音院の大床は、立錐の余地もなく、ご福窓から撒かれる水も男達の熱気で一瞬にして湯気となる。いよいよ午後１０時、宝木が投下される。福を求める興奮の渦が現れ、ボルテージは最高潮となる。宝木の行方はいかに。◆地元西大寺出身で会陽を見るのは約３０年ぶりという志穂美悦子さんをゲストに迎え、境内の実況席と本社スタジオ、宝木が最初に持ち込まれる商工会議所、境内の体験リポーターの四元中継で、会陽の興奮を伝える。

瀬戸内の反原発の島として知られるハート型の島、祝島。人口が５００人を切り高齢化の進むこの島に、都市部からの移住が増えている。彼らは反原発の先にどんな未来を描いているのだろうか。◆広島の女性は実習生として島の家庭の生ゴミだけで飼育する養豚を経験し、循環型の暮らしに魅了されて移住した。現在は島の食材を使った食堂を営み、「島の魅力は食に凝縮されている」と語る。札幌の男性は妻子と共に移住し、以前と同様に自家焙煎のコーヒー豆を販売し生計を立てる。移住者たちは、高齢者の生活を助けるグループ活動を始めた。また、島の朝市にも積極的に出店し、島民の人気を集めている。島民らは、対岸の上関原発計画に３０年にわたって反対してきた。原発に頼らない自立した豊かな暮らしを目指して、島の若者たちの模索は続いている。一方、地元選出の安倍首相が施政方針演説で原発の再稼動を明言したその日、祝島では予想外の事態が発生していた。原発反対だったはずの島の漁師らが、電力会社からの漁業補償金１０億円余の受領を決めたのだ。島に激震が走る。