大阪局ラジオドラマ脚本懸賞募集の入賞者と、関西在住の気鋭の劇作家・脚本家、１０名による、１話完結の短編ドラマの１０本シリーズ。今回の通しテーマは《水》。水をめぐる、人情噺、ファンタジー、シリアスドラマなど、バラエティーに富んだ１０の全く違う物語を、男女各１人の若手俳優が通しで演じていく。◆第１０回「夕立のテレパス」は、水を通じて人の心を読める超能力者の物語。超能力者のナツコは雨の中で「佐竹を殺す」という声を聞いた。それは彼女と同じ能力を持つ男の心の中の声だった。ナツコは止めようと雨の中を駆け出す。作：オカモト國ヒコ。出演：大路恵美、内田健介ほか。◆第３２回放送文化基金賞参加番組

「平成の大合併」でも市町村合併をせず、一村で生きる道を選択した岡山県北の新庄村。この村の象徴である毛無山を舞台に行った、「森を知り・守り・活かす」森林エコツアーイベントを生放送する番組。森林レンジャーの協力を得て、パーソナリティ浜家輝雄がゲスト・みなみらんぼう氏、一般参加者４０人ととともに、山頂目指して歩を進めつつ中継していく。

全国のリスナーから寄せられる創作ポエムやエッセイを、３０年以上紹介し続けてきた「私の書いたポエム」の特別番組。パーソナリティは長岡一也と大橋照子。◆この日は東京巣鴨の境内に来場者１００人を集めて開催した公開録音。コーナーごとにゲストを招いて、トーク、朗読、クイズ、実況、ライヴと様々な音の変化で番組を彩りながら、番組の歴史を象徴するように場の移り変わりをリスナーの詩で纏めあげていく。◆最初のトークコーナーのテーマは「天気予報をわかりやすく伝えるこころ」。ゲストの気象予報士・平井史生さんから、天気予報や解説に際しての心がけや情報に込める気持ちを聞き出す。◆次に「心に届ける和歌」。道元の残した古典和歌の朗読と、道元の著作を研究しているゲストの丸山劫外さんの解説。◆クイズコーナーでは、ゲスト出題のクイズをリスナーが解答し、会場を盛り上げる。平井さんは学問的な出題を、シンガーソングライターの杉真理さんは作詞の意図を問う。◆後半は来場者参加の「本格的坐禅体験」の臨場感を伝える。坐禅中の様子は長岡一也の厳かな実況で感じてもらう。◆ラストは会場が一体化した「トーク・ライヴ」。決していいことばかりでない「人生のおかしみ」「ことば遊び」などから笑いがおこる。「歌詞つきの音楽」に来場者が酔いしれる。◆それぞれが自分の存在、感慨をことばに表現しながら、語り継いでいきたいこころについて解き明かしていく。

岡山県内で活躍する人たちにインタビューし、その人間性に迫るスペシャルプログラム。ゲストは山田共学道場理事長の山田宗八さん。山田共学道場は、津山市椿高下にある中高一貫の現役予備校で、１９９２年に設立。毎年多数の合格者を出し、県北津山の教育の発展に大きく貢献している。◆番組では、山田共学道場の紹介をした後、道場の卒業生で新・大学生となった人や、３８歳で大学合格を果たした人にインタビューする。また、岡山県出身の緒方洪庵が開いた適塾の紹介を交えながら、山田理事長の将来の夢などを聞き、教育に対する考え方を探る。

鳥取県米子市の松本京子さんが突然消息を絶って２８年が経った。京子さんは北朝鮮（朝鮮民主主義人民共和国）に拉致された疑いのある特定失踪者の１人。時間ばかりがむなしく過ぎる中、家族は京子さんの帰りを待ち続ける。◆２００５年の元日、京子さんのお母さんは、初詣で娘の帰りを心から祈った。その思いが通じたのか、２００５年１月、脱北者が提供した写真に松本京子さんらしき女性が写っていると報道される。事態は大きく進展したかに思われたが、すぐに別人であることが判明した。◆番組では、失踪事件の経緯から、家族が拉致を疑い始め、確信へと変わっていく過程、そして事件が拉致問題へとつながっていく２８年間を、家族の言葉で振り返る。母と兄は長年の心の痛みを語り、京子さんとの一日も早い再会を願う。

三井物産戦略研究所所長の寺島実郎氏に、今後の日本人の持つべき世界観を聞く。◆寺島さんは北海道生まれ。北海道と北陸は昔から縁があり、最近は北陸三県の知事と懇談する機会も増えた。この年（２００５年）上半期の日本の貿易は、対アジアが約半分を占めた。寺島さんは、アメリカを通じてしか世界を見てこなかった戦後日本を「特殊な半世紀を過ごした」と指摘し、環日本海への転換期だと語る。また、アジア各国と同じ立場で共感できることの重要さも示す。さらに、１年の４分の１は海外で過ごすという生活の中から、日本人の良さは物を作る生真面目さ、中間層を厚く持つ安定感だと感じると語る。

鐘撞ヨシエさん（８１歳）は「かごっま弁」で昔話を語る、語り部の１人。２０年前に地元の鹿児島県開聞町で出会った「開聞昔話」に魅せられ、子供たちにその土地ならではの言葉で昔話を語り始めた。やがて町外からも「昔ながらのかごっま弁の語りを聞きたい」という声がかかるようになり、鹿児島の県内各地、その土地にまつわる昔話を語るようになったヨシエさん。持ち前の明るさと、あったかい語りで伝える昔話は、かごっま弁になじみのない子供たちの心を魅きつけ、同世代の高齢者には懐かしい言葉で元気を与えている。時代の流れと共に方言そのものが形を変えつつある中、故郷の言葉の温かさを伝えるヨシエさんの「かごっま弁歩き」。昔話の本当の魅力は語り手の心にある。

日本初のプロ野球独立リーグ、四国アイランドリーグを舞台に、夢を追う選手たちを描くドラマ。◆２５歳の千葉譲司は、一流の減らず口と一・五流の変化球を持つピッチャー。家族の反対を押し切って四国アイランドリーグに挑戦したが、シーズン後半ヒジ痛に悩まされ、あえなく戦力外通告を受ける。実家にも戻れず、絶望の淵に立たされた譲司に救いの手を差しのべたのは、投手コーチの北島だった。伝説のナイアガラフォークを伝授され、プロ球団との交流戦をかねたトライアウトに臨む。復活をかけたマウンドに立ちはだかったのは、かつて一緒に甲子園の土を踏んだチームメイトで、プロ野球界の至宝・田村元だった。作：福田卓郎。出演：佐藤隆太、佐津川愛美、佐野泰臣、ＲＩＫＩＹＡほか