日毎に増える交通事故。東京都内は自動車の洪水、お目付け役の白バイも多忙である。交通裁判所には交通違反者がめじろ押し、大勢の警官をくり出してのご自慢のスピード裁判である。事故に加えて罰金と、運転手稼業もつらいことである。

東京をはじめ武蔵野にある古代遺跡は、風雨にさらされたり、工事のため潰されようとしている。国宝級の建築物も崩れかかっている。福島県須賀川の「蝦夷穴」と呼ばれる遺跡も、今は浮浪者の住家という情けない有様。大阪府堺市郊外の「いたすけ古墳」も、宅地に売られて姿を消すところだったが、地元の人々の反対で危うく命拾いした。こうして、予算の裏付けの乏しいわが国では、文化財の保護は心ある人々の熱意だけにかかっているようだ。

深刻な対立を続けていた炭労（日本炭鉱労働組合）争議は、１９５６年３月３１日夜、中山伊知郎中労委（中央労働委員会）会長の第２次斡旋案を労使共に受諾したため、やっと解決した。ロックアウトも解かれ、ヤマ（鉱山）の従業員たちは久しぶりに坑内に入った。そして黒ダイヤ（石炭）が力強く流れ出る。（週間話題）

第２７回都市対抗野球の決勝戦は、１９５６年８月５日夜、東京後楽園で５００００人の観衆注目のうちに、東京代表熊谷組と横浜代表日本石油との間で行なわれた。横浜は３対２と東京を降して初の優勝を遂げた。

第１１回毎日マラソンは１９５６年５月５日、大阪で行なわれ、参加選手５６人が熱戦を展開した。東京の川島義明選手が古豪を押さえて優勝、広島庫夫選手と共にメルボルンオリンピックの日本代表に選ばれた。（スポーツ）

１９５６年３月１３日の昼頃、東京都中央区西八丁堀の倉庫から出火、あっという間に両隣にも火がまわり、３名が焼死した。例によって黒山の野次馬で、大変な騒ぎだった。（週間話題）

農業の国ポーランドの豊年祭、首都ワルシャワに集まった各地の農民たちはお国自慢の歌と踊りで収穫を祝った。（週間話題）

１年半にわたった日ソ交渉も、１９５６年１０月１８日、河野一郎とフルシチョフ会談でついに妥結。モスクワ電によって政界は急に慌ただしさを加えて来た。政府は臨時閣議を開いて日ソ共同宣言を承認。１９日午後５時５０分（モスクワ時間）、日本時間１９日午後１１時５０分、クレムリン宮殿で調印式が行われた。チフヴィンスキー・ソ連漁業代表も上機嫌で記者会見。この日品川に着いた引き揚げ者の顔もほころんでいる。島へ帰る日を待つ歯舞村の人々の明るい表情。とにかく１１年ぶりに日ソ国交回復の第一歩が訪れたのである。