北緯６６度３３分の緯線、またはそれ以北を「北極圏」と呼ぶ。アジア・アメリカ・ヨーロッパを最短距離で結べる交通ルートとして、また資源の宝庫として注目されるこの地域を取材、北極圏の姿を伝える。（１９８９年４月３０日～１９９０年３月２５日、全１２回）◆第５回は、純粋な血筋を伝えるのは２０人となった少数民族・ユカギールの人々と暮らしを通じて、ソ連の少数民族保護の実際に迫る。シベリアには２０を超える少数民族が暮らし、ソ連も革命以来保護政策をとってきた。ユカギールも統計上は８００人を超えている。しかし純粋のユカギールはすでに２０人ほど、固有の伝統や文化はまさに消えかけているという。

８００年前、奥州平泉には京の都に勝るとも劣らない黄金文化が花開いていた。当時、京に次ぐ１０万人もの人口を持つ日本第２の大都市が突然出現し、わずか１００年で露のごとく消えた。◆初代清衡の浄土への夢と、辺境の地といういわれなき侮辱に激しい反発を示した奥州藤原三代の栄華の極みを、中尊寺金色堂を中心に探る。また毛越寺や無量光院など、往時の一大文化権を形成した幻の痕跡をしのぶ。◆【国宝】中尊寺金色堂、金銅華鬘〔中尊寺金色院〕、紺紙金字一切経〔中尊寺大長寿院〕◆【特別史跡】毛越寺跡、無量光院跡〔岩手県〕

日本で最初の本格的な都として注目されている藤原京の遺跡を訪ね、数多くの出土品とともに、コンピューター・グラフィックスによる藤原京の再現映像を紹介する。◆６９４年、中国の都・長安を模して造られた藤原京は、大宝律令が発布されるなど国家の体制が確立された時期の都であったが、７１０年の平城遷都によってその使命を終えた。これまでの発掘によって瓦や土器、木簡（字句などを木の札に書きしるしたもの）など数多くの遺品が出土したほか、藤原京が定説より広い可能性も出てきた。特定できる資料がないため、発掘調査によって解明するしかなく、発掘作業が根気よく続けられている。

新潟のシンボル・万代橋にまつわる秘話を交えたドキュメンタリー。◆１９８９年新潟市は市政１００周年を迎えた。初代万代橋が建設されたのは１８８６年。３代目の現在の橋は１９２９年の建設で今年で還暦を迎えた。まさに新潟市と歩みを共にしてきた橋である。この橋は当時の架橋技術の粋を集めたもので、その美しさと力強さは市民の誇りとされてきた。特に新潟地震にも耐えぬき、市民の愛着は一層強いものとなった。

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は一変した。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える「せとうちＮＥＷＳ探険」のリニューアル版。◆正規雇用でもパートでもなく、派遣社員としての働く女性たち。自分にあった就業スタイルを求める動きを伝える。

日本画家の後藤純男さんが法隆寺の百済観音と対面。その由来をたずねる。◆百済観音。飛鳥時代を代表する日本の仏教彫刻の傑作といわれている。が、法隆寺の数ある仏像の中で、百済観音だけは由来が定かではない。寺の記録に現われるのも江戸時代初めになってからで、しかも「虚空像菩薩」として記されている。その像は百済の国から渡来したものだが、天竺すなわちインドで作られた像であると寺の記録は伝えている。◆風景画家として全国を旅する後藤さんは中でも奈良を好み、この２０年来毎年のように訪れている。後藤さんのアトリエでは、スケッチをもとに百済観音が描かれていく。

全国的に高年齢化率が高くなる中で病んだ老人の介護の問題が深刻になっているが、国の施策は病院・収容施設型から在宅介護へと方向づけられている。家庭内での介護能力が限界となる中で、私立の託老施設「アタゴ学園」に暮らす老人たちとその家族を描き、今日の老人問題を考える。◆アタゴ学園は１９８７年冬に長野県下で初めての私立の託老施設として開園した。ここには寝たきり、痴呆症など介護を必要とする老人３０人が暮らしている。単調で静かな生活の中で、入園している老人の誰もがこだわっているのは「家」「家族」のことである。そしてここに老人を預けざるを得ない家族の追いつめられた状況を追う。

徳島市の市制制定から１００年。市内をめぐる川を中心に、藍作り、橋の建設、交通機関の変遷などの産業や交通、また札所めぐりや、農村舞台で演じられる人形浄瑠璃、さまざまな祭り、そしてモラエスなど庶民と文化、また戦後に不死鳥のように甦った阿波踊りで１００年の歳月を綴る。