ロベン島は、かつて南アフリカで最も恐ろしい監獄の島といわれた。◆１７世紀、南ア大陸に進出したオランダは、ケープタウンの沖合に浮かぶこの島を、植民地政策に抵抗する黒人指導者達の流刑の地と定めた。１９１０年に英連邦の一員として成立した南ア連邦も、極端な人種差別政策をとり、刑務所やハンセン病、精神病患者の隔離施設を建設した。◆１９９４年、黒人初の南アフリカ共和国大統領となったネルソン・マンデラは、２７年の投獄生活のうち１８年を、この島の独房で起居した。◆ロベン島

萩の松下村塾を舞台に、吉田松陰と弟子たちとの友情と新時代への夢を描くドラマ。原作は司馬遼太郎の『世に棲む日日』。◆元治２年（１８６５）正月、幕府の長州攻めに対して藩は恭順の意を示そうとするが、高杉晋作は農民・町民からなる奇兵隊を率いて戦っていた。決戦を前に晋作は、師・松陰の形見の三味線を胸に、松陰の思い出と奇兵隊の成り立ちを話し始める。安政４年、藩校明倫館に通う晋作は、ライバル久坂玄端が移った松下村塾に興味を持つ。そこで教える松陰の価値観は型破りで胡散臭いが、晋作は次第に彼の人柄に心酔していく。

白山から北へつながる山々、岐阜の白川郷と富山の五箇山の一帯を、詳しく見る。◆かつて合掌造りのある集落は９０もあったが、今は３つが残るだけ。高い屋根は冬の大雪の負担を減らすためで、中には３、４０人の大家族が暮らし、蚕が飼われていた。また、床下で鉄砲に使う塩硝を作り、平家の落ち人が都から伝えたという手透き和紙の生産も盛んだ。◆屋根の葺き替えには職人はおらず、村人総出の「総持ち」で行われる。秋、人々は「どぶろく祭り」で収穫を祝う。◆白川郷・五箇山の合掌造り集落

大分県の「六郷満山（ろくごうまんざん）」の「峰入り行」を記録したドキュメンタリー。◆大分県国東半島には「六郷満山」と呼ばれる仏教文化が栄えた。この六郷満山ではおよそ１０年に一度、「峰入り行」が行われる。峰入り行とは、六郷満山寺院の住職になるために一度は経験しなければならない修行で、国東半島に点在する寺院や霊場を巡りながらおよそ１５０キロの険しい道のりを歩く荒行である。この峰入り行に挑む人々を追う。

１２００年の歴史を誇る京都・東寺。唐から帰国した空海は、この寺を真言密教の根本道場として布教活動に全力を注いだ。国宝の五重塔は高さ５６メートルで日本一高い木造建築物である。空海は持ち帰った曼荼羅図をもとに、仏教の理想空間を作り上げた。２１体の仏像のうち１５体が空海の時代から伝わるもので、国宝である。空海は仏師に直接指図し、仏像の配置にも気を配った。衆生を救う金剛界を、立体的に構成したのだ。慈悲と伏魔を具体的に示す仏像たちを、民衆は厚く信心した。◆東寺（教王護国寺）、五重塔【国宝】、講堂内諸仏　大日如来像、五大菩薩像【国宝】（金剛法菩薩像、金剛業菩薩像）、五大明王像【国宝】（不動明王像、降三世明王像、大威徳明王像、軍荼利明王像）、両界曼荼羅図【国宝】

偉人、有名人、人知れずに大事を成し遂げた人など、福島にゆかりある人物の足跡をたどり、その人の業績と人柄を描くシリーズ。◆河野光子は大正５年会津若松市にある酒造会社の一人娘として生まれて、県立会津高等女子学校、東京女子高等師範学校（現在のお茶の水女子大学）、京都大学動物学教室で学んだ。女子学校１年の時に昆虫採集をしたのがきっかけで、小さな水生昆虫カワゲラに魅せられてその研究に生涯を注ぎ、女性として始めてカワゲラ研究者となった。発見した種類は３４種。学者として、経営者として、妻として、母として精一杯生きた光子の生涯。昭和３５年に父が病に伏したため家業を継ぎ、１２代目社長として多くの従業員や職人たちの生活、老舗の暖簾の重さ、果ては保証人になった借金を背負い自ら酒を売り歩く日々もあったが、断ちがたいカワゲラへの情熱から論文を執筆。文部大臣の認可を経て、昭和３７年３月５日４６歳の時に理学博士の学位をうけた。光子の生家は造り酒屋を廃業し、現在は光子の長男が館長を務める会津酒造博物館になっている。館内には、３００年以上続いた老舗代々の貴重な品々が展示されているほか、光子が生前愛用していた衣類、小物なども並んでいる。滋賀県立琵琶湖博物館には、光子が半世紀かけて収集した世界各国の昆虫類標本図書、研究器具類などが展示されている。

視聴者に公募した「心に残る風景」や「伝統の味や技」などを毎回取り上げ、２１世紀に残しておきたい「みやぎのとっておき」を紹介する。◆今回は伊達政宗が奨励したという仙台箪笥を紹介する。

広島には県立美術館をはじめ、多くの美術館があり、その環境、建物、収蔵品に特徴をもち、多くの人に親しまれている。番組では県内１３の美術館から、それぞれ２点の収蔵品（絵画、彫刻、書、陶磁器等）を推薦してもらい、美術館の環境、建物も含めて、毎回１作品を取り上げる。今回はルノワールの油彩「麦わら帽子の少女」。