四国の風土と文化に根ざした各県の民謡を採集し、四国に残る生活の唄を現代人との関わりの中でとらえなおすシリーズ。四国各県の放送局の共同制作（全１３回）◆徳島県祖谷地方の厳しい自然と労働の中で生まれた「祖谷の仕事唄」の数々を、山深い風景と人々の生活とともに紹介する。曲目と唄は、「祖谷甚句」吉岡和幸さん、「草刈り唄」豊永かずえさん、「木挽唄」井上文明さん、「木負節（きおいぶし）」豊永かずえさん、「粉挽節」豊永かずえさん。

神戸王子動物園の飼育係亀井一成さんが、３０年に及ぶ動物たちとのふれあいの中からつかんだ“生きとし生ける者”の哲学を訴えるヒューマンドキュメント。メスゾウ摩耶子が結核にかかって死んだのは、１９５６年（昭３１）８月のこと。当時亀井さんは２６歳。一頭のゾウの死の重さが彼に人生哲学をもたらす。言葉の通じない動物たちの心境を思いやる彼の努力は、日本初の人工飼育チンパンジー、チェリーの誕生となった。

明治２３年の横須賀。小役人・西村松兵衛（緒形拳）は１０年も共に暮らしてきた妻の鶴（岸恵子）が、実は坂本竜馬の妻おりょうだと偶然に知った。平凡に送ってきた２人の生活が音をたてて崩れる。妻の昔話に登場する維新の英傑たちに圧倒された西村は、鶴をなじり自暴自棄となる。原作：船山馨。

山田耕筰と山本五十六の生涯にスポットをあて、明治末から大正、昭和２０年までの激動の時代と、人間とのかかわりあいを描く。また日本歌曲の父といわれる山田耕筰や音楽家たちが戦争に直面した時、如何に対処していったか、近代日本での音楽の位置づけを浮かび上らせる。日立スペシャル。脚本：福田善之、音楽：三善晃、毛利蔵人。◆番組冒頭に荻昌弘と團伊玖磨による解説あり。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第４集／１９７９年１０月６日～１９８０年３月２９日放送、全２６回）◆この回は、下村湖人の「次郎物語」（１９４１年）を取り上げる。女優の中村久美が、下村湖人の生まれ育った佐賀と「次郎物語」を書いた東京を訪ね、湖人にとって「次郎」はどのような存在だったのかを探る。佐賀には湖人の生家だけでなく、「次郎物語」にも登場する青木病院や、正木老人の家の跡が残る。佐賀は「葉隠」発祥の地でもある。湖人を知る人たちの話から、次郎には湖人自身が色濃く投影されていることが裏付けられていく。

１９７５年（昭５０）にロン・ノル政権が崩壊し、隣国ベトナム、ラオスとともに社会主義国となったカンボジアは、１９７９年（昭５４）１月、再び戦火に見舞われた。取材班は国境に近いタイのカオラン難民収容所を訪れ、瀕死の母親と二人の姉を抱えて懸命に生きる少年と、収容所で出産した婦人とその家族を中心に、難民の実態や戦争の悲惨さを描く。

陰暦６月１７日の夜に行われる厳島管絃祭を紹介する。◆平安の昔、厳島神社を造営した平清盛が、朝廷や社寺で盛んだった管絃を厳島に移し、船上で催したのが始まりとされる。潮の干満と密接に係わる祭りだけに、挙行日は潮の大きさと台風期を考慮して日を定めたのであろうし、今も陰暦が守られる。潮が満ちはじめる日没前、御祭神が乗り移られた鳳輦を管絃船に移し、儀式の後、楽人の奏する管絃の調べと共に、御座船は３隻の漕ぎ船に曳かれ、御供船多数を引き連れて対岸の外宮・地御前神社へ向かう。地御前神社に着くと、船上で祭典が行われ、三管・三絃・三鼓の秘曲が演奏される。その後船団は大鳥居をくぐる。

世界に広がる新しい文明病「学歴社会」を先進国・発展途上国の教育の現場からとらえ、特に高学歴社会である日本の現状を見直す。英サセックス大学教授Ｒ．Ｐ．ドーア氏が、スリランカ・メキシコ・イギリス・アメリカ・日本などで人間にとって本当に必要不可欠な教育とはどんなものであるかをリポートし、スタジオでまとめる。（１９７９年８月２４日終了、全５回）