ここ数年、中国残留婦人の帰国が相次いでいる。しかし大半の人が生まれ故郷に帰らず都会で暮らしている。彼女たちの目に映る祖国日本の姿、心の軌跡を追う。◆１９８６年頃、中国残留孤児は一時帰国などでクローズアップされていたが、敗戦時１３歳以上だった残留婦人は世間から忘れ去られていた。国は孤児たちの身元引受人になり永住帰国を可能にしたが、残留婦人は自分の意志で中国に残ったとして身元引受人にはならなかった。１９９３年、残留婦人たちは身元引受人のないまま帰国を強行、以後彼女たちにも永住帰国の道がひらけた。５０年ぶりに祖国に帰った婦人たちの暮らしをさぐる。

ＲＣＣ中国放送の１９９６年キャンペーン「ふるさと自然守義」の一環として、ニュース内で野生生物特集を長期企画放送。広島県内で絶滅しかけている生き物とそれを守ろうと努力している人々の姿を、正月特別番組としてまとめる。紹介するのは「ミヤジマトンボ」「クマタカ」「ツキノワグマ」「ヒメシロチョウ」「ゴギ」「ダルマガエル」など。ＲＣＣ開局４５周年番組。

栃木県の各地で、太陽や月を御神体として祀る全国でも珍しい「天祭」が行われている。戦前までは、お天祭、天然仏、天道念仏などと呼ばれ県内各地で行われていた「天祭」も、今ではおよそ２０カ所になった。農村が豊かになるにつれて、「天祭」のシンボルとなる天棚に豪華な彫刻を施したり、郷土芸能を含んだりと、芸能色の濃い行事となってきたが、自然を信仰する祈りは変わることがない。◆天祭

平成９年６月１日、広島県千代田町の田んぼで伝統的な花田植えが行われた。花田植えは、田の神を迎え稲作の豊穣を願うもの。笛や太鼓の囃子手、絣姿の早乙女、代掻きをする飾り牛などが壬生田楽団によって華やかに再現された。厳しい労働をイベント化し、人の和で堪えた先人の知恵を体験する作業であった。◆花田植え行事

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、ジャズドラマーのジョージ川口さん。

戦前まで、木曽や飛騨の山里にはあたりまえのようにいた木曽馬たちだが、戦後は絶滅への道をたどり、現在では全国に１３０頭あまりとなってしまった。木曽馬の保護保存を訴えるキャラバンをリポートする。◆岐阜県高鷲村で民宿と馬牧場を経営する細辻さんは、木曽馬たちの保護を訴えようと、高鷲村から旧道を通り東京世田谷の馬事公苑まで約５百キロのキャラバンを計画した。木曽馬たちは日清・日露、先の大戦でも従軍馬として戦地へ送られてきた。日本の文化を人とともに歩んできた木曽馬の歴史を確かめる。

テーベは今のルクソール、カイロから南へ７００ｋｍだ。そのナイル川西岸が墓地遺跡になっている。カルナック神殿やハトシェプスト葬祭神殿、王家の谷などを見ていく。◆ハトシェプストは、夫王の死後、異腹の子がトトメス３世となったのを、押しのけて王位についた。そのため、のちに復位したトトメス３世によって、歴史から抹殺された異色の女性。ツタンカーメン王は、全王のミイラが盗掘で消失した中で、ただ一人、遺体の現存する王。そんな、興味深い話が展開する。

ピラミッドは、カイロに近いギザにある第４王朝クフ王のものが最大であり、技術的にも完成の域を示す。ギザで２番目に大きいのがクフ王の子カフラー王のピラミッド。３番目は、カフラー王を継いだメンカウラーのものだ。◆そしてこのあと、ピラミッドは転機を迎える。クフ王から２００年後のウナス王のものからは、内部の壁一面にヒエログリフ（聖刻文字）が刻まれ、８００年後のアメンエムハト３世の黒ピラミッドを最後に、王たちは王家の谷に埋葬される。