三重県津市の廣永窯。大阪から疎開してきて窯を継いだ坪島土平さんは、放送当時６８歳。ろくろの前に座ると手が勝手に動き、型と土にはこだわらない。◆京都の泥釉七宝作家上沼緋佐子さんが来て、茶会をする。釉薬の色は器の着物で、「織部にして」などと作品がささやくという。陶器に磁器を嵌めこんだり、それに透かしを掘ったり、楽しみは固定観念にとらわれないところから生まれる。◆失敗作を集めた「山の館」では、不肖の子ながら、風情があり健気に生きている、と笑う。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、写真家の垂見健吾さん。

岐阜県可児市の山の中にある、安藤日出武（当時５９歳）の工房を、尺八奏者デビッド・ウィラーが訪ねる。◆美濃で生まれた志野焼は、桃山文化の終わりとともに姿を消し、昭和になって再現された。志野の釉薬は厚く、気泡がある。魅力にとりつかれた安藤さんは、昔ながらの志野、そして独自の紅志野にとりくんでいる。◆登り窯に火がはいる。６昼夜、１５００束の赤松を焚く。温度の微妙な調整で紅色になるのである。二つと同じものはできないという。

ロックバンド“シャンテ”。世界で唯一の手話ロック・ボーカリスト山本智子と目の不自由なメンバーとの共演風景を追い、歌にかける思いを伝える。◆第３弾では沖縄の心を歌ってきた嘉納昌吉との共演風景を紹介。さらなる夢に向かって、新たなシャンテが動きだす。◆字幕表示あり

全国各地の商店街をはじめ、温泉街、学生街、神社参道など身近な町並みや通りの素顔を紹介する。◆愛媛県松山市、平成１４年に築城４００年を迎える松山城の城山に登るロープウェイは昭和３０年に完成した。以来その乗り場に通じる道はロープウェイ街と呼ばれている。大正時代には物作りの町として職人たちが多く住んでいた。戦災とロープウェイ完成で町は様変わりしたが、いままた手作りの日用品や骨董品、民芸家具や、琴、舞台衣装、絵画などを扱う店が増え、地元の人たちはここに美術、芸術の匂いを求めやってくる。美しいものを作る人、飾る人の交流が息づくアートの町を紹介する。

札幌の歴史や文化を地元局ならではの視点で捉える。◆円山動物園の動物科学館を訪ね、人間と自然のかかわりについて再発見する。

全国各地の商店街をはじめ、温泉街、学生街、神社参道など身近な町並みや通りの素顔を紹介する。◆古くからの織物の町、群馬県桐生市。月に一度、本町通りに面した路地で「買場沙綾市（かいばさやいち）」が開かれる。織物をはじめとして地元で作られる品々が並ぶ。ひな人形のための衣装生地など買場沙綾市でしか売られていないという品物もあり、町の人々の楽しみだ。本町通りには大正時代からの屋敷や、その頃から今も操業している織物工場が軒をつらねている。この買場沙綾市は昔の繁栄を取り戻したいという地元の人たちの熱意で昨年復活した。沙綾市を通して桐生と織物の歴史を見つめ、人々のふれあいを大切にしたいという地元の人たちの思いが伝わる。

「猩々」は純粋舞踊に近い作品で、孝行な息子が商売の酒の泉を保障されるという筋で、独特の舞「乱」に趣向がある。能・狂言の効果は、観る人の気持ちをプラスに持っていく働き掛け、すなわち「祝言」である。猩々は酒好きの妖精で、それが快い酒席に訪れてめでたい祝福の妖精になって舞うというのが大筋で、眼目は独特な足遣いを見せる「乱」である。各流派の舞の違いや工夫を見較べながら鑑賞する。◆「猩々」・ワキ松本謙三、シテ喜多六平太◆（各流派として）金剛巌、観世左近、観世清和、大坪十喜雄、森茂好、高橋汎、高橋忍、豊島訓三、植田恭三、宝生英雄、近藤幸江。◆副音声は英語