生まれつき耳が聞こえないという障がいを持つ美栄子（菅野美穂）。心配する両親を説得して大手企業に就職するが、障がい者に対する周囲の反応に戸惑ってしまう。そんなある日、同僚の博文（武田真治）は友人と楽しそうに手話を交わす美栄子の笑顔を見て、手話を覚える決心をする。博文の手助けで明るさを取り戻した美栄子は、いつしか博文に対して恋愛感情を抱いていることに気付く。博文もまた、美栄子と同じ気持ちであった。しかし健常者と障がい者の恋は、愛を育むふたりの前に幾つもの壁を作っていった。原作：軽部潤子。

インドのアルナチャール・プラデシュ州は、北は中国、東はミャンマー、西はブータンに囲まれた知られざるヒマラヤの秘境である。日本の四分の一ほどの広さの大地に２５以上の民族が住んでいる。この地の様子、民俗の珍しい習慣・文化を紹介するとともに、ここで育った少女が１ヶ月をかけて片道３００キロの聖地を目指す旅に密着する。途中で出会う人々、様々な出来事を通して少女が成長していく過程をカメラが追う。ドキュメント特別企画。

諫早湾の干拓事業をめぐる人々の思いや、この事業で失ったものが何かを、干拓先進国のオランダやイタリアの現状を紹介しつつ伝える。◆九州・有明海の西に位置する諫早湾は、潮の干満差が最大で６メートルにも達する干潟の海である。１日２回の潮の満ち干によって運ばれてくる火山灰や土砂の微粒子が長い間積もり積もってできあがった干潟は「有明海の子宮」ともいわれ、人間を含む生き物に多くの恵みをもたらした。一方では干潟の堆積は沿岸地域の排水不良や高潮を引き起こし、周辺農家にとっては厄介な一面もある。

滋賀県南部に位置する信楽は、焼き物の里として名高い。受け継がれる焼き物づくりの伝統と技を見る。たぬきで有名な信楽焼は大壺や置き物などを大きな登り窯で焼く。次の世代へ継がせるためにも、古い登り窯を壊して新しく大きな登り窯を作り、桃山時代から伝わる伝統の技法を残そうとする人たちの姿を記録する。◆信楽焼

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、プロダイバーの渋谷正信さん。

田舎の平凡な駅員が、愛した人妻とその娘と共に全国を逃避行する。◆第一章「許されない愛」。柴田理森（豊川悦司）は長野のひなびた町の駅員。駅長である父親と２人暮らしをしている。地元の食堂の娘・美紀子（永作博美）と理森は幼なじみで、憎まれ口を叩きながらも、美紀子は密かに理森を思っていた。ある日、この町に洗練された都会の雰囲気を持つ母子が降り立つ。町の有力者である綿貫の息子・広務（佐野史郎）の妻・町村かほり（夏川結衣）と、その子供・詩織（鈴木杏）だった。かほりは娘の詩織を連れて長野のこの町で暮らすことになるが、慣れない田舎暮らしと、かほりの過去をよく思わない義父の冷たい態度に、胸の詰まるような日々を送っていた。一方、電車通学をする小学生の詩織は、一冊の童話を通じて理森と言葉を交わすようになる。理森は、そんな詩織の母親の存在が気になり始めていた。そして雨の降る日、２人は出会う。

自分の葬儀にこだわりたい人のための「葬儀の生前予約」。風変わりな葬儀を予約して亡くなった老人の葬儀を実行しようとする葬儀予約会社の営業マンと、思いがけない予約に困惑する遺族たちが織り成す悲喜劇を描く。◆「葬儀の生前予約」を請け負う会社の営業マン・杉山正明（小林薫）は、初めての契約相手だった藤本が亡くなったと連絡を受ける。予約の内容は、家族だけで無宗教の密葬を行い、亡妻の遺骨とともに大阪湾に散骨してほしいというもの。長女と次男は同意し、準備がはじめられるが、東京で居酒屋チェーンを営む長男が駆けつけ、盛大な葬儀を主張しはじめる。

化粧品会社の二人の女性重役が、「化粧」で武装して「会社という魔物」に立ち向かう姿を描く。（全２回）◆第二部「妻が夫を裁くとき」。キャンペーンガール失踪の真相究明を命じられた沢田杏子（十朱幸代）と緒形信子（富司純子）は、事件に社内の人間が関与していることを探り出す。株式上場を阻むためのスキャンダルだったとすれば、考えられる人物は、経営への影響力を失う社主・緒形直子（清川虹子）と、彼女が次期社長に推す専務・緒形喬（林隆三）ということになる。喬の妻である信子は苦悩する。