１９９１年、ＧＡＴＴ（関税および貿易に関する一般協定）よって牛肉の輸入自由化が決まった。そして日本人の主食コメも、国会決議で輸入自由化をしないとしていながら、宮沢喜一首相は自由化を示唆するような発言をしていた。こうした中、中学の社会科の教科書では、新潟県新津市の農家の言葉として、「良いコメを作っていれば仮に外国産を輸入する事態になっても生き残れる」と自由化を容認したかの発言が載っていた。しかしこの農家のモデルになった井浦さんは、そのような発言はしていないと憤っていた。しかも井浦さんのような大規模農家は新潟県内には０．１％しかおらず、そのようなごく一部の農家を象徴的に取り上げるのはおかしいとして、農民団体が新潟県庁に抗議した。一方岩手県では、牛肉の自由化で子牛の値段が４分の１まで下落し、農家を苦しめていた。それにもかかわらず、教科書では自由貿易の利点を強調し、食糧輸入を推し進めるような記述がみられていた。岩手県の農業生産地で教鞭をとる三好教諭は農家に取材し、実態に見合った副読本を作成し、生徒に消費者が望む安全で安心な食糧生産のあり方を教えている。※番組の所々に保存素材に起因する乱れがございます。ご了承ください

宮本武蔵、佐々木小次郎の巌流島の決闘を新視点で描く。有名なこの決闘についての史料はほとんどなく、小次郎の年齢さえ分かっていない。二人の対決が、時代の変わり目で動揺する小倉細川藩の新旧世代によって仕組まれたという新解釈で人間ドラマを描く。◆慶長１７年、合戦の主力は刀から鉄砲へと移りつつあった。小倉の細川藩内でも武芸者の立場は微妙に変わってきている。鉄砲を支持する現実主義の家老たちには藩の精神的支柱でもある剣術指南役の佐々木小次郎（渡辺謙）の存在がうとましい。そこで浪人ながら高名な剣士・宮本武蔵（滝田栄）に目をつけ、小次郎との決闘を仕組んだ。さまざまな思惑の中で、二人は運命の日を迎える。

琉球芸能は中国の影響を強く受けているといわれ、琉球王朝は５００年にわたる中国との交流の中から独自の芸能文化を築き上げてきた。ことに三線のルーツは中国であり、今日の芸能には欠かせない重要な楽器である。かつて首里城で演奏されていた“御座楽”の再現を通して、琉球と中国の交流史を紹介し琉球芸能の原点を見つめる。復帰２０周年特別企画。

（あした順子・ひろし）歌手をやっていたというひろしが歌えば、順子も踊りの知識を披露する。相方をほめてはけなす典型的なしゃべくり漫才である。／（柳家紫明）寄席４０年の貫禄で、忘れられつつある粋な三味線の芸を淡々と披露する。流しやお座敷の三味線芸もなかなか味があり、捨て難いものがある。

嫁不足に悩む農村の男たちの悩み・怒り・不安。結婚相談所に寄せられた男たちの手紙から「まだ見ぬ妻へ」のメッセージを元に、驚異的な経済発展を遂げた日本社会の中で、土に生きている男たちの姿を冬の山形の農村に探る。◆山形県高畠町は人口３万人の典型的な農村。この１０年間に１０００戸が離農し、３０歳以上の独身男性は６００人にのぼる。貧しくもなく学歴もあり、真剣に農業に取り組み、町に骨を埋める覚悟をした男たち。昨秋行われた意識調査をもとに、日本の農業を支えている青年たちの心情を描く。

新年の３日間、伝統芸能の中からめでたい演目を選んで紹介し、あわせて出演者の芸談を聞く。第３日は箏曲「初音の曲」、生田流箏曲「越後獅子」「松上の鶴」、尺八三重奏曲「風動」、長唄「外記猿」「那須野」、義太夫「花競四季寿」より「万歳」「鷺娘」など、広い分野から祝儀物の数々を紹介する。◆申年にちなんでの「外記猿」は、猿回しが大道からお屋敷に呼びいれられて芸をするというもので、その芸として「お染久松」のくだりが入るなど、変化も多く華やかな曲である。

全国各地の自然を舞台に“外遊び”の多様な楽しみ方を紹介する「アウトドアＴＶマガジン」。レギュラー出演は中本賢、陣田耕二、玉利祥子、松井秀、ナレーターは松のちよみ。（１９９０年１０月３日～２００３年３月２９日放送、全５３４回）◆東海道や中仙道が整備される以前、古代律令制の時代、都（近江瀬田）から東北地方にまっすぐにつながる官道があった。東山道である。一部中山道と重なりながら日本を統一する道は、まつろわぬ蝦夷を支配する征夷大将軍が駆け抜けていった。さらには防人たちが行き来し、あるいは地方に赴任する役人たちが都を遠く離れる悔しさに歩いていった。◆その東山道最大の難所が、恵那山を越える御坂峠である。峠には旅の安全を祈願したさまざまな遺物が残されていた。駅馬によって荷や人が運ばれ、あるいは多くの行列が抜けていく戦略の道であったために、道幅は広く、まっすぐで切り通しも作られている。◆ドンキ隊は古代を偲びながら、今も残される道を辿る。この回をきっかけに番組では長野や滋賀の東山道をめぐることになる。

石川の伝統工芸について、森嘉紀さん（金沢美術工芸大学名誉教授）に聞く。◆開発には基礎が大切で、前田藩主の指導のもと、延々と培ってきた無形・有形の文化の伝統が、国指定では全国４位、県指定や未指定のものは３７品目にのぼる伝統工芸品を支えている。明治には藩がなくなり危機を迎えたが、佐野吉之助らの庶民の力で拡大再生産にむかった。◆現在はアメリカやドイツでの展覧会などもある。基礎がしっかりしているので人が育ちやすく、国際化が当然になっていくと考えられる。