明治以降、近代化を急ぐあまり自らの文化を否定し、海外に流出してしまった日本美術品の数々。ハワイ・ホノルル美術館には、親日家コレクターのミッシェナー氏によって収集された５，４００点もの浮世絵が収蔵されている。浮世絵初期から系譜的に整えられた鳥居派の役者絵は、学術的にも浮世絵史を知る上で貴重な美術的財産である。江戸庶民のエネルギーを示す歌舞伎の隆盛と役者絵の変遷は、それ自体江戸の文化的側面を知る歴史書である。◆美南見十二候七月夜の送り（鳥居清長筆）〔ホノルル美術館〕、二世市川団十郎の平野屋徳兵衛（鳥居清信筆）、丹絵中村千弥（鳥居清倍筆）、二世団十郎の矢の根五郎（鳥居清満筆）

こんぴら参詣の帰り道、兵庫から大阪までの乗合舟のはなし。乗客逹で賑わう舟が急に止まってしまう。フカが邪魔をして人身御供をしないと動かないと言う。一人の娘が飛び込もうとしたとき、ある男がフカに話しかけ、口を一杯開かせると、キセルにつめたタバコの火を口の中へ落す。フカは海中へ逃げ、舟は動きだす。驚いた乗客たちが商売を尋ねるとカマボコ屋だった。

自動車事故が多いドイツ。箱庭式の自動車教習所がなく、一般道やアウトバーンでいきなり教習を始めるというそのドイツで、日本式の安全で丁寧な自動車教習を実施。その後、実体験重視のドイツ式教習にトライする。◆教習用コースでまず基礎を教える日本式教習所は、東南アジアにも取り入れられ、ヨーロッパからの視察もあるという。しかしドイツからは来ない。そこで、西ドイツに教習所を仮設、新聞広告で人を集めて日本の仮免許試験に挑戦してもらう。遊園地みたいだ、非現実的だと悪評を受け、ではとドイツの教習所を訪れる。

山陽道第一の古社・吉備津神社は、岡山市と倉敷市のほぼ中間にある。本殿桧皮葺の屋根には、美しい２つの破風が並ぶ「比翼入母屋造り」で日本にここしかない神社建築の傑作といわれる。古代、吉備の王国は進んだ製鉄技術を持つ強国で、大和朝廷に対抗し華々しく戦いを挑んで滅んだ。これらについては今も『備中神楽』に伝承され、戦いの激しさを物語る。また釜鳴りの神事など古代からの奇妙な言い伝えを現代に受け止める里の風情を伝える。◆【国宝】吉備津神社本殿及拝殿◆【重要文化財】吉備津神社南随神門、北随神門◆【その他】備中神楽吉備津〔岡山県〕、鳴釜の神事〔吉備津神社〕

重量と動きの反比例・つまり重いものは動きにくいという原理を各種の実例や実験を通して考える。

めったにテレビに登場しないアーチストたちが、自ら構成・選曲などを行う新趣向の音楽バラエティー。◆第１回のゲストはサザンオールスターズの桑田佳祐。実はナツメロの大ファンという桑田の選曲は「蘇州夜曲」「花と小父さん」「寒い朝」「悲しきわがこころ」「逢いたくて逢いたくて」「見上げてごらん夜の星を」、そして「クリといつまでも」。

チャールズ・ダーウィンが進化論を唱えるきっかけをつくった、帆船ビーグル号の航海を追体験し、その後の地球がどう変わったか、どう変わってゆくかを問う全１１回の番組。第８回は、世界一のサンゴ礁、オーストラリアのグレートバリアリーフを、水中写真家・中村征夫さんが訪ねる。４００種、２５００ものサンゴ礁が作りだす変化に富んだ海域は、海の生物の楽園になっている。ホオジロザメとの遭遇や、春の満月の夜に海中で展開される生命誕生のドラマなどを紹介する。

東欧の変革に始まった激動は第２次大戦以後の世界を支配した冷戦に終わりを告げ、世界の枠組みが音をたてて動き始めた。ある意味で世界秩序の安全装置だった東西冷戦構造が崩れた後の世界の変化の方向を探るシリーズ。（１９９１年４月６日～１２月８日、全６回）◆第２次大戦の敗戦国、日本とドイツは世界から国際貢献の在り方を問われている。武力行使を禁じた日本国憲法、域外派兵を禁止したドイツ基本法。両国は大国への道を模索している。日独の湾岸戦争後というもう一つの戦後を描き、日本の採るべき道を考える。