盲目の両親の“瞳”になってほしいとの願いをこめて名付けられた伊藤ひとみさん。両親を手助けしながら高校生活を過ごし、進学という新たな旅立ちの場に立つひとみさんの１年間を描く。◆高校３年生になったひとみさんの１日は、毎朝、自転車に乗って父の早朝トレーニングの伴走を務めることから始まる。ひとみさんの父・重三さんは、高校時代、陸上競技に力を注ぎ、３年生のときには、岐阜県陸上競技選手権大会の３千メートル障害で優勝するなど、将来を期待されていた。２８歳のとき、働いていた職場で起きた発破事故のために失明したが、娘の誕生を機に再び走り始め、今では各地で開催されるマラソン大会や身体障害者スポーツ大会などに出場している。一方、ひとみさんは将来、国語の先生になることを目指して商業高校の進学過程で学んでいる。固い絆で結ばれた親子３人の１年間とひとみさんの新たな旅立ちを描く。◆解説副音声あり

扇の起源は奈良時代。多くの文物が大陸からもたらされたのに対し、扇は日本で生まれた。平安朝、貴族たちの間で大流行した扇は、安土桃山のころから町衆にも広がる。「米八十八、扇八十七」と、手のかかる扇作りの工程。扇面という、限られた空間を埋める扇面画の技法が生まれる。その扇面から飛び出し、並外れた才能を持った絵師・俵屋宗達（～１６４０）が現れる。常識を超えた破格の作風で、自由かっ達に時代を駆け抜けていった天才の実像はいまだになぞである。◆【国宝】源氏物語絵巻〔徳川美術館〕、扇面法華経冊子〔四天王寺〕◆【重要文化財】彩絵桧扇〔熱田神宮〕、洛中風俗図屏風〔東京国立博物館〕、扇面散図屏風〔醍醐寺〕

温子とゆう子、“ダブル浅野”のキャストで送るラブ・コメディー。（１９８８年７月７日～９月２２日放送、全１２回）◆第１回。麻子（浅野温子）は独身で美人の売れっ子スタイリスト。夏子（浅野ゆう子）は主婦。二人は幼なじみの親友同士だ。夏子の夫・圭介（岩城滉一）は、かつては麻子の恋人で、今も互いに思いを残していた。ある日夏子は、夫が浮気していると言って家出し、麻子のマンションに転がり込んでくる。

現代の中学生に取材し、抱えている問題をドラマ化して伝える長寿番組。関心の高いテーマをいち早く取り上げることにも定評があり、１９８８年は「校則」をテーマに２回連続シリーズとして放送した。◆校則への反発から私服登校を始めた昌子だが、予想以上の目だち方に気疲れして制服に戻る。しかし校内放送で校長が一人のわがままな行動に惑わされないように、といったことに再び反発、今度は自分が納得するまでは止めまいと思う。同調する者もあらわれ、校則について皆で考えようという動きもおこるが、ＰＴＡの動きや受験優先の発言で結局しぼんでしまう。少しづつ輪を広げようという担任の言葉も空々しく聞こえ、昌子はここはいつまでもいる学校ではないと心に決める。

建築家・清家清さんが出雲大社を訪れ、普段は限られた神職しか近づくことの許されない本殿を間近に見る。◆高さ２４メートル。出雲大社の本殿は、日本で最も大きな神の住まいである。現在の本殿は江戸時代の中期１７４４年に造営されたもの。いにしえの出雲大社の本殿は、今よりもはるかに高くそびえ立っていたと伝えられている。残されている図面をもとに古代本殿をコンピューターで再現すると、高さ４８メートルにもおよぶことがわかった。◆切り妻の屋根が大好きだという清家さんが本殿を見上げる。「子供に家の絵を描かせるとみんな切り妻の屋根を描く。それは住まいの象徴だと思う」。

息子を捨てた母、戦死した息子を待ち続ける母、そして母になれなかった女。この３人と１人の青年との確執をサスペンスタッチで描く。◆傷害犯、藤岡栄治（近藤真彦）が護送中に脱走、彼は女性に対し異常な嫌悪を示す。心理カウンセラーの長倉友子（藤真利子）は、その原因は母・笑子（江波杏子）との母子関係にあると分析、笑子の母性の欠如を厳しく指摘する。しかし友子自身も愛人の子を身ごもり、中絶するという過去から抜けきれないでいた。栄治は舞鶴に流れ、老婆の西村クラ（鈴木光枝）にかくまわれる。クラは戦死したはずの息子を今だに待ち続けており、栄治をその息子と信じようとしていた。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆佐藤忠良：彫刻家。１９１２年宮城生まれ。１９３９年東京美術学校彫刻科卒業後、東京造形大教授（１９６６年）、フランス・アカデミー・デ・ボザール客員会員（１９８１年）、イタリア・アカデミア・ディ・サン・ルカ会員（１９８４年）などを歴任。主な作品に「カンカン帽」（１９７５）、「帽子・あぐら」（１９６９）などがある。

西はローマから、紅海、アラビア海、インド洋を経て、東南アジア、中国へと到る“海のシルクロード”。インドの胡椒、東南アジアの香料、中国の絹や陶磁などの産物や、宗教・文化の伝播に大きな役割を果たした航路をたどる。（１９８８年４月２４日～１９８９年３月２６日放送、全１２回）◆第２回は、東西交易路の西の起点・ローマから地中海を渡り、紅海へ至る。スエズ運河開通以前は、ナイル河が紅海と地中海を結ぶルートだった。陸路ナイルまで運んだ荷は、高いマストに三角帆の帆船“ファルーカ”で川を上下した。カイロ市郊外で発掘された中国陶磁器の破片が、当時の東西貿易の華やかさを物語る。