熊本県内各地で歌い継がれる「ふるさとのうた」を紹介するシリーズ（１９８８年４月３日～１９８９年３月１９日放送、全５０回）。『肥後シリーズ』は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆「東雲のストライキ…」という一節が知られる「東雲節（しののめぶし）」。明治三十三年、娼妓たちがストライキをし、舞台となったのが熊本市二本木の東雲楼であった。そのことを歌った「東雲節」は明治時代の労働歌とも言える。

桐は、中国ではおめでたい木とされてきた。軽く、筋目がよく、防湿性に富み、耐火・耐久性に優れているため、日本の国宝・重文級の書画のほとんどは桐箱によって保存されている。◆名工といわれた父の後を継いだ前田友斎は、国宝の『平家納経』など、すでに千点以上の保存箱を製作してきた。新たに重文『三十六歌仙・高光像』の保存箱の注文に応じ、桐の性質を最大限に生かした名人芸の妙技を披露する。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日～１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第４３回は茶道・裏千家家元の千宗室さん（６４歳）。

西はローマから、紅海、アラビア海、インド洋を経て、東南アジア、中国へと到る“海のシルクロード”。インドの胡椒、東南アジアの香料、中国の絹や陶磁などの産物や、宗教・文化の伝播に大きな役割を果たした航路をたどる。（１９８８年４月２４日～１９８９年３月２６日放送、全１２回）◆第７回は、インド洋に落ちた一雫の涙と云われるスリランカを“仏教”と“宝石”の二つのテーマで描く。昔ながらの方法でルビーやサファイアを揺掘している、世界有数の宝石産地ラトナプラには人々の欲望が渦巻く。一方、仏教聖地アヌラーダプラの遺跡や岩山には、厳しい戒律に従って修行を続ける僧たちが生活している。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日～１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第６３回は、住友化学工業の相談役・土井正治さん（９４歳）。

瀬戸内海に面した岡山県邑久郡牛窓町の郷土芸能、唐子踊を紹介する。◆唐子踊は７歳～１０歳の男の子２人が朝鮮半島の李朝時代の衣装を着て踊るもので、起源については様々な説がある。江戸時代、朝鮮の使節団いわゆる朝鮮通信使は牛窓の港に１５回も寄港している。その一行に従う童子が見せた舞を人々が習い覚えたとも、あるいはそれをもとに創作したともいわれている。いずれにしても国際交流の歴史を感じさせてくれる郷土芸能といえよう。

千代の富士が４場所制覇、圧倒的な強さを見せた１９８８年の大相撲のハイライト。◆春日野理事長が勇退して二子山新理事長が誕生した角界。横綱・千代の富士は５３連勝の大記録をうちたてた。その強さの秘密をコンピュータ研究。また、幕下以下では元貴ノ花・藤島親方の二人の息子がデビューするなど、未来の角界を担う力も現れた。頂点を極めた千代の富士と、頂点を目指す若者たちを中心に一年を振りかえる。

地元山形の人たちにとって“元服の山”といわれる羽黒山を、医師でエッセイストの斎藤茂太さんが訪れる。◆羽黒山山頂に延びる長く険しい参道をたどると、やがて国宝・五重塔の前に出る。塔の由来は定かではない。６００年ほど前、南北朝時代の朝時代の動乱期・応安年間の建立とされている。しかし、だれがどのような願いを込めて建てたものなのか、今となっては知る由もない。◆斎藤さんは１５歳の元服の年、父である歌人・斎藤茂吉に伴われて初めて羽黒山を訪れた。茂吉も、その親も代々元服の年に羽黒山に詣でてきた。「時代が変わっても、元服という節目にこの山に詣でる風習は永久に残したい」という。