三重と奈良の県境にある山村の桜並木の美しさを紹介する自然紀行。◆三重県の西部、奈良県との境にある美杉村は、緑豊かな美しい村。中でも多気地区は、中世から戦国にかけて２４０年間にわたって国司の栄光を守った北畠氏の最後の舞台となった土地である。◆南北朝の頃には北畠顕能がここに霧山城を築き、百数十年間平和に栄えた。そのため、ここには京都文化が持ち込まれている。室町時代の庭園の多くは寺院に属し、優美で華麗さを誇っているが、北畠神社にある庭園はそれとは対照的に素朴で豪放で野性的な魅力にあふれている。園内に石を配して緑の樹木と共存している枯山水も、珍しい様式である。出演は歌人の岡野弘彦さん。

人口・宗教・民族・言語・面積などの、いわゆる「地理Ｂ」的観点からの基礎データを基に、ある国の骨格やミニヒストリーなど、さまざまな視点から“国家”を見る。（９月２４日終了）◆第１回はイギリスを取り上げる。

琉球に伝わる色鮮やかな染色工芸の「紅型」。１年中、しゃく熱の太陽が降り注ぐ風土の中、この土地で目にするものはすべて極彩色。どんな濃厚な色彩も光にとけて調和していく。４００年前に完成した紅型は、琉球王家の衣装として発達した。◆型染めの知念家と筒描の城間家の伝統的な両家の染色技法、制作工程を追う。そして海上交易に頼る地理的条件から平和と文化政策に重点を置いた琉球の人々の知恵と歴史を、紅型を通して紹介する◆麻白地衣裳、木綿黄色地胴衣、縮緬黄色地衣裳、絹桃色地衣裳、木綿染分地衣裳、麻紺地風呂敷

「信州の鎌倉」と呼ばれる長野県上田市郊外の塩田平。国宝『八角三重塔』はじめ、重文の三重塔２基が緑の山腹にそびえ立つ文化財の里である。ここには弘法大師創建の薬師堂など以前から文化の素地があったが、１３世紀に塩田北条氏が財力を背景に一大文化圏を築こうと夢見た。◆塩田平は都から遠く、日本文化の表舞台に登場することがなかった。鎌倉幕府崩壊とともに多くの文化遺産を残したまま、歴史の片隅で永遠の時を刻んでいる。◆【国宝】大法寺三重塔（見返りの塔）、安楽寺八角三重塔◆【重要文化財】中禅寺薬師堂、常楽寺多宝塔、前山寺三重塔（未完の塔）、薬師如来坐像〔大法寺〕

お花見には酒がつきもの。鳴物（三味線）の入った、賑やかで華やかな女どうしの漫才で、話芸をたのしむ。お花見の宴席で、なくてはならないお酒について、お酌の仕方から始まって、原料のお米談義、歴史から食べ方まで、しまいには酔っ払って相手にからむ。ボケと突込みイキが合ったおもしろさである。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆花見薫：第１６代諏訪流鷹師。“日本最後の鷹匠”。

アフリカ・コンゴ人民共和国の密林に調査に入る京都大学霊長類研究所の調査隊に同行、絶滅の危機にあるローランドゴリラをキャッチしてその生態を追う。

１８世紀初頭、ベルリンで発明された“青色”プルシャン・ブルー。錬金術師が手当たり次第に色を混ぜあわせているうちに偶然できた、濃い鮮烈な青は、ヨーロッパの巨匠たちに愛され、誕生後わずか１００年の間に世界中をかけめぐり、やがて海をこえて日本にもやってくる。幕末を迎えようとする日本の浮世絵界にも一大旋風を巻き起こし、積極的にこの色をとり入れた北斎によって劇的な発展をとげる。北斎の“赤富士”の青い空は、代表的な例である。◆葛飾北斎「富嶽三十六景凱風快晴（赤富士）」、安藤広重「東海道五十三次品川（宿出立）」、リッカー美術館（東京・銀座）、カイザー・ヒルヘルム記念教会（ベルリン）