挫折感を抱いたまま稼業を継ぎ、婚約もしたが、かつての同棲相手と再会して昔の想いにひきずられていく男を描く。名古屋テレビ開局３０周年記念番組。◆東京で挫折した掘栄治は、故郷の岐阜に戻って繊維問屋を継いだ。友人の妹・早苗と婚約したが、自分が幸せなのかどうかわからない。そのころ、学生時代に同棲していた菜生が母親の急死で帰郷した。東京でＯＬをしている菜生は不倫の恋をして生活が荒れているという。忘れたはずの思いに悩む栄治のもとに、東京へもどった菜生から電話がきた。泣きながら「助けに来て」と救いを求められ、栄治は早苗に悪いと思いながらも菜生にひきずられていく。

アマゾン河流域に暮らす先住民の暮らしを守るために活動する、ブラジル国立インディオ財団（ＦＵＮＡＩ）の活動をブラジル東北のジャングルから報告する。◆かつて４００万人と言われた先住民は、４００年前から始まった西欧文明の侵入により２５万を割った。ブラジル政府は開発区域に住む先住民との衝突を避けるため、１９１０年にインディオ保護局を創設、のちにＦＵＮＡＩと改称し、国家の大計である開発と先住民保護という二つの課題を両立させるために活動を続けてきた。スタッフは先住民のもとへ出向き、説得し、計画への協力を取り付けるが、生活圏を侵された人々の恐怖と怒りに触れて殺されたスタッフも多い。まさに命懸けである。

長崎平和公園の駐車場建設工事現場から旧浦上刑務支所あとが発掘されたのを契機に、強制連行されて祖国に戻れぬまま亡くなった人々に対する日本の対処を探り、戦後処理のあり方を問う。◆同支所には冤罪の可能性もある中国、韓国・朝鮮人が多数服役しており、原爆投下によって犠牲となった。今回初めて確認された遺族のもとには死亡通知も届いておらず、遺骨返還の求めにも刑務所側が応じなかった。爆死した中国人の遺骨は天津抗日殉難烈士記念館に納められていることが確認され、遺族は涙ながらの対面を果たす。この跡地を日本の戦争への反省のあかしとして保存しようとする市民団体の運動、それに対する市および住民の反応も紹介する。

アメリカ、イギリス、ポルトガル、イタリア、ドイツ、スペイン、日本の７か国８放送局が、コロンブスの大航海５００周年を記念して共同制作した大型番組。（１９９２年５月４日～６月１６日放送、全６回）◆「中国への西回り航路を発見」し、コロンブスはバルセロナへ凱旋する。人生の絶頂を迎えた彼は続いて第２次航海へと出発する。１７隻の船団にはすでに移住者が含まれていた。しかし植民より優先する目的だった黄金は思うように手に入らず、コロンブスはスペイン女王イサベラに先住民の奴隷化を提案する。しかしこの案は部下や女王の反感を招き、彼は投獄される。しかしその意志を継ぐかのように、後年スペインによってアステカ帝国は滅ぼされていく。

師匠林家彦六の独特の語り口を真似ながら、彦六が得意とした怪談噺の裏話、その舞台の仕掛けを、失敗したときの慌てぶりなどを交えて語る。幽霊とお化けの違いも怪談噺では大切なことだそうで、最後は師匠から稽古をつけてもらうときのありさまを巧みにスケッチして笑わせる。

西陣は屋根瓦と千本格子の町屋が並ぶ京都らしい町。その昔、山名宗全が幕府の西に陣をとったことに町名は由来する。微細な西陣織の図案、糸染め、紋意匠など３０に余る工程を５００年来守り続けた伝統の技と、近代化で様変わりする西陣織の今日の姿を伝える。そして氏神さまや身近な店、しきたりを重んずる風習など、西陣界隈で暮らす人々の生活の場を通じて、昔ながらの風情をさりげなく維持しつづける優雅な京の一郭を見る。旅人は渡辺文雄。◆第１０７９回　◆山名宗全邸宅跡北野天満宮本殿【国宝】今宮神社西陣織

　山口県萩市にある熊谷美術館は、毛利藩の御用商人として栄えた熊谷家の歴代当主が蒐集した古美術品を１９６５年に美術館として公開したもの。重要文化財に指定されている豪商の家屋や蔵が展示場になっている。古萩の陶器や、江戸期の書画骨董に見るべきものが多い。歴代主人のうち特に四代目は文化愛好者としてシーボルトとも親交を結び、六代目は幕末、維新の志士の支援者として活動した。

白砂青松は、美しい風景の代名詞。それを図案化した「住吉模様」は日本人の心の風景。昔、住吉大社は静かな入り江に臨む海の神だった。◆神功皇后が登場する神話の中に浮かび上がる「住吉の神」の由緒や、西日本に多く点在する住吉神社の広がり、海洋民族の海への憧れの象徴としての「住吉さん」の深奥に迫る。一方、恋の神とも芸能の神ともいわれる多様性もあり、「源氏物語」と住吉の深い関係を、谷崎源氏の流麗な文に乗せて王朝絵巻の世界に散策する。◆【国宝】住吉大社本殿◆【重要文化財】舞楽面〔住吉大社〕、神代記、神功皇后縁起絵巻〔誉田八幡宮〕、住江蒔絵手箱〔輪王寺〕