ペンギン学者・青柳昌宏氏が、南極に生息するペンギンの子育てを中心に隠された生態や、厳しい自然に生きるペンギンの姿を紹介する。◆青柳さんは過去２回南極でペンギンと暮らしたことがある。今回は彼らと会話することを目的に南極へと向った。折りしも南極は春。ペンギンたちが子育てに忙しい季節。アルデリー島の３種のペンギンの特徴と生態、子育ての様子、そして青柳さんとペンギンのコミュニケーションのもようを中心に、知られざる南極の素顔を描く。

アジアの人々が“何をどのように食べてきたか”を各地の食生活と風土の中に探り、食べものがいかに民族の精神を形づくり、文明に影響してきたかを紹介するシリーズ。（１９９０年１月５日～１０日放送、全５回）◆第５集「醤油（しょうゆ）」。日本人の味覚・しょうゆのルーツをアジアの風土の中に探る。アジアを代表する調味料“しょうゆ”。これと同じ美味成分を持ち、しょうゆより古い調味料が東南アジアに存在する。魚で作るしょうゆ・魚醤である。これはタイ東北部ノンカイ地方がルーツとされる。ここの大地は岩塩を含むため米の育ちが悪く、乾期である冬はメコン河が干上がって魚が捕れない。そこで魚を塩漬けして保存し、貴重な食料とする知恵が魚醤を生んだ。東アジアの人々はその後、大豆を使って穀醤を生む。

「みえる」ともいえず、「みえない」ともいいきれない、弱視というあいまいな世界に生きる子どもたち。弱視教育という未開拓の分野に、毎日を真剣に生きる子どもたちへの共感を抱いて情熱を注ぐ女性教師の姿を描く。◆大木陽子は小学校内に新設された弱視学級の担任教師である。専門の研修を受けたとはいえ、弱視児童への特別扱いをやめさせ、やがては晴眼児との統合教育をめざす陽子には様々な難問が待ち受けていた。弱視に負けない行動力をもつ昭一とそれを支える母・淑江、進行性の眼疾でいずれ失明する運命の舞らと出会い、彼らとともに一つひとつ難関をのりこえていく。

テレビカメラが“美のタイムカプセル”といわれる奈良・正倉院の宝庫に初めて入り、９０００点に及ぶ膨大な宝物のうち選りすぐられた名品１００点をハイビジョンで撮影。正倉院の美の世界を鮮明、華麗な映像で描く。◆第１回は、聖武天皇遺愛の品々を紹介。光明皇后によって東大寺に献納されたそれらの品は『国家珍宝帳』にこと細かに記録、北倉に収められている。皇后の天皇に寄せる思いが伝わってくる。

奈良県と三重県の県境にある大杉谷は、年間降雨量５０００ミリメートルという大台ヶ原の豊かな水をたたえながら原生林の間を走る大峡谷である。“関西の黒部”とも呼ばれるこの峡谷の美しさを紹介する。◆大杉谷の醍醐味は次々に展開する変化に富んだ景観にある。連続する滝と淵、激流と大岩壁、数々の吊り橋…。実に多彩である。上流から下流に向かうと、堂倉滝、光滝があり、数段に分かれた滝がそれぞれ滝つぼをもつことから名付けられた七ツ釜滝へとつづく。大杉谷は文字通り自生の杉林がうっそうと広がり、上流にはモミやツガが、下流にはシイやカシの林があり、植物相も見ものである。

霊峰月山を背に隣り合う山形県大蔵村と戸沢村。二つの村にはそれぞれ千年以上の歴史をもつ、肘折温泉と今神温泉がある。山合から湧き出る温泉は薬効があり、近郷近在からの湯治客が絶えない。あたりはブナの自然林など自然がいっぱい。肘折温泉の朝市やこけし工房のある大蔵村から、山の中腹、戸沢村の信仰の湯、今神温泉をめぐり、母なる大河・最上川に囲まれた秘境を行く。旅人は村田香織。◆第１００７回

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆萬屋錦之介：俳優。１９３２年東京生まれ。歌舞伎俳優を経て、１９５４年東映に入社。主な出演作は映画「笛吹童子」三部作（１９５２）や「柳生一族の陰謀」（１９７８）、テレビドラマ「子連れ狼」（１９７３～７６）など多数。

謹厳実直な父と軽佻浮薄な息子が恋愛問題で対立するが、ふとしたきっかけで父は若い頃の苦い日々を思い出して自分を責め、息子は父の古傷を知って親近感を抱く。男の胸底にある心情を、地方色を生かしてロマンチックに描く。◆時計の展示会の準備に追われる公造に、息子の有一が結婚相手を引きあわせたいという。前の恋人を傷つけて平気な有一を、公造は許せなかった。ところが古い柱時計の出どころを追って浜名湖へ、越前大野へと旅するうちに、公造は３０年も昔に必ず迎えにいくと誓った女性のことを思い出す。訪ねてみると、彼女は待ち続け苦労の末に亡くなっていた。