２００４年２月にこの世を去った画家・杉本健吉氏は「感激は受胎」という言葉をよく口にした。毎日の生活の中で垣間見る命の感激が新たな創作を生む源だという意味である。絵画のみならず、陶芸、木彫、紙工作など様々な創作に取り組む姿を１５年にわたって追い続けた膨大な取材映像を元に、杉本画伯の画家人生を振り返る。◆杉本画伯に心酔する画家・黒田征太郎さんが愛知県美浜町立上野間小学校の子どもたちを杉本美術館に招き、「杉本さんの絵をみて感じたことを絵にしてみないか」と話しかけた。子どもたちは様々な作品から感じとったものを絵や工作で表現した。感受性に満ちた子どもたちの作品を見て、黒田さんは、いつまでもその感覚を持ち続けて欲しいと子どもたちにやさしく語る。その後、美術館を出た黒田氏は、杉本画伯の四女清子さんの案内で画伯が好きだった場所を巡る。「船の家」「聚楽園」「旧カブトビール工場跡」、そして自宅へ。自宅アトリエの机の上には、画伯愛用の筆や絵具がそのまま残されており、黒田氏はそれらがごく普通の絵具や筆であることに驚く。杉本画伯がカブトビール工場跡を描こうとしていた１００号キャンバスもそのまま残されていた。清子さんは、そのキャンバスを使って、画伯が計画していた工場跡の絵を黒田さんに描いて欲しいと提案した。黒田氏はいったんは固辞するが、絵を描くことを決意する。

全国に名をとどろかす仙台名物・牛たん焼きのルーツや、人気を博すにいたった経緯などを追い、同時に戦後の食文化の変遷を掘り起こす。また、仙台市内に１００軒近くあると言われる牛たん専門店の競争、海を渡ってドイツの牛たん料理など、牛たんの奥深い魅力を紹介する。

２００４年７月１３日、新潟県を襲った集中豪雨により三条市と中之島町で堤防が決壊、１５人が死亡し１万４千以上の世帯が浸水する大水害となった。被害拡大の原因となった避難勧告の伝達実態を検証しつつ、復興に向けて立ち上がる人々の姿を追う。◆三条市の住民は「避難勧告が届かなかった」と指摘するが、行政は「勧告は出した」という。しかし、伝達するはずの自治会長にも連絡はなく、広報車からも伝えられていなかったと住民側。父を失った佐藤さんは「避難勧告を聞いていれば父は死なずに済んだかも」と悔やみつつも、父が築いた事業の再建に踏み出す。

地理的・歴史的に、大陸との強い関わりをもつ山陰地方。古代北東アジアの交流を考古学的にたどるシリーズ。◆五千年前の縄文土器が文様の影響を受けた時代以来、朝鮮半島南部の慶尚道島根県は密接な交流があった。海峡を挟んで向かい合う両地域で考古学・人類学・動物学・歴史学など多彩な分野での交流の足跡を辿り、現代につながる地域間交流の歴史を振りかえる。

黒部幸英が神奈川県内各地を訪ね、名所や名物、美味しいものや名産品を紹介する。１９９８年開始の「ぶらり！風気分」からタイトルを変更し、２００８年３月まで続いた長寿番組。◆誰もが抱く「幸せになりた～い！」という気持ち。今回は動くお守りや風水だるまなど、縁起の良いものを作っている人たちを訪ねる。　

広島に原爆が投下されて２ヵ月、焦土の風景と苦しむ被爆者が日本人の手によって撮影された。現存する未編集フィルムに写された映像と現在の場所を対比し、広島の歴史とともに風化しつつある被爆の実相を伝える。

病気で視力を失っていくカメラマンの青年と、彼を愛し支えていこうとする研修医の女性のラブストーリーを、東京と長崎の喧騒と情緒を対照的な背景にして描く。原作はさだまさしの短編小説「解夏（げげ）」。（２００４年４月１９日～６月２８日放送、全１１回）◆最終話「最後に見せてあげたいもの 」。過労で倒れた四季（菅野美穂）が退院したが、明るくふるまう姿は却って周囲を気遣わせる。一方、四季と別れて長崎に帰った俊介（藤木直人）は、彼女を忘れられずに苦しんでいた。

大正から昭和にかけて活躍した、信州ゆかりの天才俳人・杉田久女の生涯を、現代の俳人黛まどかの目を通して描く。◆久女の人生は、女性が生きていくうえで直面する様々な問題、俳句という芸術を生み出す苦しみと喜びなど、昔も今も変わらないテーマを投げかけている。