岐阜県郡上郡明宝村、山あいの村に秋の気配が漂うころ、奥美濃地方では珍しい祭りが行われる。２８０年もの昔から、今も変わらず受け継がれている「掛踊り」という祭り。８月半ば過ぎ、男たちは祭りの準備にとりかかる。竹を４メートルほどの長さに切り取り、紙で作った花を取りつけていく。「シナイ」と呼ばれる、祭りには欠かせない道具を、百本近く作る。他にも傘につける花、小道具の飾りなど、ほとんど男たちだけの手づくり。祭りは、シナイを背負った男たち４人を、総勢１３０人が囲み、鐘や太鼓を打ちならし歌いながら踊りながら、神々へのお礼として、また、五穀豊饒を祈る祭りとして歌と踊りを奉納したあと、白山神社までの１キロ半ほどを練り歩く。悪魔払いを先頭に行列が神社の境内に到着すると、お祭りはいよいよクライマックス、体を「く」の字に大きく曲げて、重さ３０キロを越えるシナイで、かけ声と共に庭を掃きながら懸命に花を落としてゆく。その花を大黒が拾い、見物客に渡す。花は、縁結びにご利益があると云われている。夕ぐれになって花もなくなると、村の男総出演の伝統の祭りは終わる。

全国のユニークなミニ博物館の展示物を、わかりやすくおもしろく紹介しながら、博物館を生んだ「風土」「産業」「人物」などを交えて構成する。◆昭和３０年代に、塩田での塩作りをやめた三田尻（山口県防府市）の塩作りのようすを、後世に伝えていこうと、平成４年に「三田尻塩田公園」が造られた。この公園の事務室・資料室には、塩田で使われていた道具が展示され、これらの道具の使い方は、屋外の実演で見ることができる。

アジアに暮らし、戦争や紛争の影響を受けた人々１００人が、ビデオカメラを手にその生活を記録。戦後５０年に秘められた人々の心や、未来に向けて見え隠れする歴史を探っていく。

「鬼平」こと江戸の火付盗賊改長官・長谷川平蔵の活躍を描く時代劇。鬼平第６シリーズ。（１１月１日終了、全１１回）◆ある夜、おさきの料理屋から出た平蔵は、辻斬りを目撃した。調べを進めると、襲われた男と、障子張替え職人の宗助の関係が浮かび上がった。宗助は仕事で出入りした商家の間取りを絵図面にして盗賊に売る嘗役（なめやく）で、貯めた金で女房のおさわと上方へ逃げようと計画していた。しかし、おさわは宗助が絵図面を売った相手・太四郎と情を通じ、宗助の金を奪おうと企んでいた。主題歌：ジプシー・キングス「インスピレーション」

子どもたちに親しまれてきた伝統の英雄「金太郎」の生まれた故郷、足柄山のふもと、南足柄市で行われる「金太郎まつり」は、『気はやさしくて力持ち』と歌われる金太郎にあやかりたいと、１８年前に誕生した。現代っ子の金太郎たちが祭りの相撲大会を目指して猛稽古を続けている。子ども相撲の横綱がその年の「金太郎」に任命される。子ども相撲の参加者１３０人、４千人が参加して市民パレードが大通りを踊りながら進む。クルマには今年の横綱、第１９代金太郎が乗っている。

豊かな自然と各地に暮らす人々の風景を、美しい映像と人間味豊かな内容で伝える紀行番組。◆鎌倉を愛し、鎌倉文士といわれた多くの作家の足跡を訪ねながら、文士たちとの付き合いの思い出を大切にしながら暮らす、鎌倉の人々の姿を描く。鎌倉は中世の歴史を今に伝える土地でもあり、また近代は高見順や大佛次郎ら数多くの文人たちが暮らし、作品の舞台にもなった文化の街だ。番組では、大佛次郎邸を訪れ、名作が生まれた部屋やゆかりの品々を紹介する。更に鎌倉文学館や先明寺、文人たちが通った古道具屋や小料理屋の主人たちの思い出話も紹介する。

英国からやってきて日本のハンセン病患者の苦しみに接し、彼らの救済に生涯を捧げて日本の土となった二人の女性の足跡をたどる。この病気の差別の歴史を検証し、現在の国際社会の中で日本が求められているものを探る。◆１８９１年（明治２４）英国伝道教会の宣教師としてやってきた３４歳のハンナ・リデルは熊本へ派遣された。旧制五高で英語を教えながら布教活動をしていたが、寺の境内で悲惨なハンセン病患者の姿を見たことが彼女の生涯を決めた。病院設立を本部に訴えるが意見が合わず破門され、日本の指導層に働きかけて熊本回春病院を設立する。彼女の死後は姪のエダ・ライトが遺志を継ごうとしたが、軍国化した日本は彼女にスパイ容疑をかけ国外追放した。

現役最高齢の指揮者、朝比奈隆氏へのインタビューとブラームス交響曲第２番の演奏をおくる。◆毎日放送開局４５周年記念番組