１９５６年９月２２日、東京地方裁判所で、基地拡張に反対する東京都砂川町の人々の裁判が行なわれた。当の砂川町では、１９５６年１０月１日から再び行なわれようとする強制測量を、何としても食い止めようと必死である。（週間話題）

進路を南へ南へととっている南極観測船「宗谷」は、途中台風１９号にもあったが、赤道直下の暑さにもめげず隊員たちは元気に日課と取り組んでいる。甲板では樺太犬が一息入れている。こうして「宗谷」は船足も早く南極大陸に近づいて行く。（週間話題）

１９５６年１１月２７日の衆議院本会議に、日ソ共同宣言など４議案が上程されたが、あくまで無条件承認に反対する吉田茂派は欠席、右翼も傍聴席からビラを撒くなど、日ソ復交はとことんまで揉めている。その上、賛成討論に立った中曽根康弘氏の発言内容をめぐって、社会党が騒ぎ立てたため本会議はついに休憩。日ソ宣言の承認を急ぐ自民党幹部は、中曽根に因果を含めて、あっさり全文を引っ込め議事録から削除して、弁士をとりかえる一幕もあった。投票総数３６５票、野党の社会党からも支持を受けて、日ソ宣言は出席議員全員によって承認された。感極まった鳩山一郎首相は社会党の鈴木茂三郎委員長に御礼の挨拶、ひとまずは肩の重荷を下ろしたが、参議院の雲行きではまだまだのんびり出来そうもない。

「鳩山訪ソ」をめぐって国民の意見もまちまちの今日この頃、訪ソ賛成、反対それぞれの大会があちこちで開かれている。１９５６年９月１５日、鳩山一郎の手許へソ連漁業代表部首席チフヴィンスキーが、ブルガーニン首相からの返書を届けた。しかし、肝心の領土問題についてはノーコメント。トコトンまでもめる自民党は、この書簡をめぐって蜂の巣をつついたような騒ぎである。この分では鳩山訪ソも楽観を許されないようだ。

秋風の美術シーズンが幕を開けた。秋風立つ箱根で親子水入らずの制作は辻永画伯、阿蘇の自然に打ち込む田崎広助画伯、幻想的な壁画に最後の筆を入れる東郷青児画伯。豊かな大家にくらべて、アルバイトのモデルをしながら絵の修業する女性、屋根裏のアトリエで大作と取組む新進画家、激しい労働の合間に制作する労働者等、シーズンを迎えて大家、新人それぞれに、忙しい芸術家の姿だ。

“踊るあほうに見るあほう”徳島名物の阿波踊り、１９５６年は豊作景気も手伝って、浮かれ出た人は２６万、大変な賑わいだった。（週間話題）

１９５６年２月９日、衆議院本会議は原水爆禁止の要望を全会一致で決議した。傍聴の原爆被害者たちは、ついで煙草工場の女子工員さんたちと話し合った。一方、ニューヨークへ行った広島の娘さんたちは、治療のかたわらアメリカ人の家庭で朗らかな毎日を送っている。

フィリピンオールスターズ対日本五輪候補の、日比親善バスケットボール試合第２戦は、１９５６年５月１２日、東京体育館で行なわれた。１回戦に惜敗した日本は巧妙な試合運びで終始先手をとってリードを続け、７３対５８で世界第３位のフィリピンを破り、第２戦をものにした。