１９５６年５月１１日の衆院選挙法改正特別委員会は、与党の修正案を審議するかどうかでまたも混乱、小沢佐重喜委員長は室外へ押し出されてしまった。野党の強硬な反撃にあって与党は次第に押され、ついに法案は骨抜きの形となって１５日の委員会で一応可決、本会議に回された。１６日の本会議では鳩山一郎首相も野党議員の攻撃の矢面に立ち弁明に努めている。かくて鳩マンダーといわれ幾多の話題をまいたこの法案もついに衆議院を通過した。

北アフリカのチュニジアでは、フランス軍の撤退を要求するデモが続き、更に緊迫の度を増している。ポーランドの首都ワルシャワでは、新政府の誕生にあたって４０万人の市民が文化科学宮殿前の大広場に集まった。東欧諸国の一つとしてその動向が注目されている時、ゴムルカ党第一書記が新政策を国民に力強く訴えている。全国的な反ソ暴動を展開したハンガリーでは、ソビエト軍の進撃によってナジは逮捕され、親ソ政権が樹立された。一方、国連安全保障理事会では、イスラエル軍のエジプト侵入を収拾すべく、アメリカ代表は即時停戦を呼びかけた。しかし英仏両国は拒否権を発動、ついに米ソの反対を押し切って部隊をスエズに派遣、中近東は風雲急を告げている。こうして雪解けも束の間、世界は再び戦争の危機にさらされようとしている。

「鳩山訪ソ」をめぐって国民の意見もまちまちの今日この頃、訪ソ賛成、反対それぞれの大会があちこちで開かれている。１９５６年９月１５日、鳩山一郎の手許へソ連漁業代表部首席チフヴィンスキーが、ブルガーニン首相からの返書を届けた。しかし、肝心の領土問題についてはノーコメント。トコトンまでもめる自民党は、この書簡をめぐって蜂の巣をつついたような騒ぎである。この分では鳩山訪ソも楽観を許されないようだ。

愛知県中島郡稲沢町の国府宮の祭礼は、大鏡餅の奉納に続いてはだか祭でクライマックスである。さらしを巻いた厄男たちが近在から集まり、もみ合い押し合いの大騒ぎだった。（週間話題）

１９５６年４月１７日夜７時半頃、福島県田村郡常葉町の中心部から出火、折からの強風にあおられて、たちまち燃え広がり、瞬く間に２５４戸およそ７６９０坪（約２５４２０平方ｍ）を全焼、被災者１０９５名を出した。越えて２３日の午前６時５０分頃、福井県芦原町から出火、町の繁華街を総なめにした。被災者は２１４８名にのぼり、損害２０億円と言われている。

１９５６年１０月１５日午後６時２０分頃、国鉄参宮線六軒駅構内で起った列車衝突事故は、一瞬のうちに死者３９名、重軽傷７２名を出すという大惨事になった。修学旅行の途中この惨事にあった、埼玉県坂戸高校の先生と生徒２６名の遺骨は、肉親の胸に抱かれて故郷に帰った。１９日、しめやかに慰霊祭が行なわれたが、２２日には重傷の先生もついに亡くなり学校は悲しい思い出に、声もなく沈んでいた。楽しい修学旅行、災害の防止は掛け声だけに終らず、尊い人命を守る親心が欲しいものである。

１９５６年８月１８日午後１１時５５分頃、秋田県大館市東大館駅前から出火。台風９号の余波を受けた強風にあおられて、火はまたたく間に燃え広がり、全市街の４分の１にあたる１２００戸を全焼。被災者４０００名、損害およそ４０億円という大火となった。１９日の午前６時４０分頃ようやく鎮火したが、大館市はこれで戦後３度の大火にあい住民は深い痛手を受けた。

「小選挙区法案」をめぐって与党と野党の対立は益々激しく、委員会はいずれももみ合い。法案を本会議に移すまいと、社会党は牛歩戦術と動議戦法で引延ばしにやっきだ。益谷秀次衆議院議長は斡旋案を出したが、社会党の同調を得られず、議長の職権で開いた会議はついに与野党の激突で大混乱に陥った。しかし、１９５６年５月１日に到って、自民、社会両党とも一応議長の斡旋案を承諾、やっと審議は軌道に乗ったが、小選挙区法案の前途は益々多難だ。