福岡にある２つの劇団が共同制作した舞台を基にしたラジオドラマ。◆主人公の栄二郎は、特攻出撃直前に終戦を迎え故郷・博多に戻ってきた。焼け野原となった博多で友人とともに得た仕事は、進駐軍が主導する検閲の仕事だった。配達前の手紙を読んで英訳し、禁止項目に触れていないか検閲する。栄二郎は、「他人の手紙を奪うこと」に罪悪感を抱きながらも、長崎に疎開している家族と再会するため、その仕事を続けるのだが…。戦争を境に変わってしまった価値観、人生。愚かな戦争は、終わった後も人々を苦しめる。それでも力強く一歩をふみ出す栄二郎は、長崎へと向かう。◆平成２８年度文化庁芸術祭参加作品

広島で被爆した母と対話を繰り返し、体験を書き残そうとしている息子。親子の心象を朗読とドキュメントでつづりながら、被爆７１年を迎える広島のある家族の日々を描く。朗読は樹木希林と本木雅弘。◆弘子さん（放送当時８４歳）は１３歳の時、建物疎開の作業中に被爆した。そして大やけどを負い、腕が今も曲がったままだが、美容師として働いてきた。息子の彰敏さんの目には、ハンデを感じさせない母だった。弘子さんは長年、家族にすら自身の被爆体験を語ることはなかった。だが、あるきっかけで昭敏さんはその体験を聞くことになり、弘子さんが想像を上回る悲惨な体験をし、体だけでなく心にも大きな傷を負ったことを知っていく。昭敏さんとの対話は、徐々に弘子さんの心を解きほぐしていった。ようやく語り始めた母と、実感を伴って受け継ごうとする息子の姿を通して、「継承」というテーマに改めて向き合う。

太平洋戦争の際、飼っている犬や猫を国家に献納するよう求める、いわゆる「犬猫の供出」が全国各地で行われた。「兵士の防寒具に充てる」として処分された犬猫は、全国で少なくとも９万３０００頭余り。戦時下の日本で、どのような事情で犬猫の供出が行われたのか。戦時資料を研究している西田秀子さんの協力を得て膨大な資料に当たり、沈黙していた関係者の証言を集め、知られざる「戦時下の犬猫供出」の実態に光を当てた。◆２０１７年ＡＢＵ賞受賞

千葉県内を走るローカル線にスポットを当て、鉄道会社が行っている取り組みや電車旅の魅力を紹介する特別番組。列車気分を盛り上げる音楽と共に、実際の列車の音や地元の声を届ける。◆いすみ鉄道の名物「ムーミン列車」。菜の花畑を走る列車にはムーミン谷の仲間たちが描かれ、途中通過する「ムーミン池」は人気の写真スポットだ。その他にも、大河ドラマ「真田丸」に登場する本田忠勝の城・大多喜城など見どころ満載。◆小湊鉄道は２０１７年に創立１００周年を迎えた。車窓から見える折々の風景もさることながら、なんと７７万年前の地層を見ることもできる貴重な列車だ。小湊鉄道の社長と共に、時速２０～３０キロで走行するオープンエアの里山トロッコ列車に乗車した旅の模様を伝える。◆「銚電」の愛称で親しまれる銚子電鉄。ぬれ煎餅の販売や列車修理代を募るクラウンドファンディングなど、幾度の経験難を銚電ファンとともにアイデアで乗り越えてきた。今回は、古い駅舎の修復のため地元高校生が立ち上げたクラウンドファンディングの取り組みを紹介する。

大学のジャーナリズムゼミに所属する野崎健（矢野聖人）は、ゼミの目玉企画である平和集会の取材に出向くことになる。憧れの先輩・神谷真理子（呉城久美）にいいところを見せようという下心から取材を始めた野崎だったが、１週間だけ、各地の集会で講演活動をする偏屈な老人・西田源太郎（近藤正臣）に密着することになった。野崎は先々で違う戦争体験を話す西田に反発しながらも、ともに行動する中で西田にとっての真の戦争体験が何だったのかを知ることとなる…。

「イクメン」という言葉がまだ世間に出ていなかった２００８年４月、親と子をつなぐコミュニケーションツールをコンセプトにスタートした情報番組。パーソナリティは、長年ラジオカーレポーターとして沖縄県内の保育園、保育所を取材していた“子ども大好きお姉さん”前仲美由紀、二児の父で、県内のお笑いコンテンストで優勝経験のあるピン芸人ベンビー、伊江島出身特有のイントネーションで話す二児の母“あっきぃな”こと渡久地明奈の３人。ベンビーの読み聞かせコーナー「ぶっくブック文庫」や、離島情報コーナー「あっきぃなのシマ自慢、イエ自慢」、子どもと電話を繋いでトークを展開する大人気のコーナー「子どもリンリンリクエスト」や、パーソナリティの即興コントで曲名を当てる脳トレクイズ「コントでドン！」などで構成する。親子番組から、子どもも大人も聞いて楽しい、参加して楽しい番組へと発展してきた。

東京都在住で、主婦として３人の子供を育てた坂野知恵さん。自ら「わらべうたうたい」と名乗り、全国各地でわらべうたを楽しむワークショップやコンサートを開催している。わらべうたは子供にとってはもちろん、大人にとってもいつしか忘れていた心の奥の大切な宝物だ。北信濃のわらべうたは、素朴で温かい。坂野さんは、歌うことで自分も支えられ、癒されると語る。坂野さんが長野市善光寺の古民家を改装したギャラリーで毎月開催している、わらべうたを歌うワークショップも、７年目に入った。ＣＤアルバムの制作など、さらに活動の幅も広げている。坂野さんの東京でのレコーディングやワークショップ、長野市でのコンサート、実際にわらべうたが生まれた北信濃に足を運び、わらべうたを歌いながら地域の人々と交流を深めていく様子を取材し、わらべうたの魅力を伝える。

１４歳の美少女りく。悲しみの意味はわからない。それでも、人前で自在に涙を流すことで、うまくやってきた。カッコいいパパと、美人で料理上手のママと「仲よく」暮らしていた。だが、あることをきっかけに、りくは関西の親戚の家に預けられることになる。ざっくばらんな関西人たちの中に突然放り込まれたりくは、「わたしは染まらない」と頑なになるのだった。ほしよりこのマンガ大賞受賞作のオーディオドラマ化。（全１０回）◆第１回。ある日、りくは、父親が浮気相手とペットショップから出てくるところを目撃する。