長野県丸子実業高等学校の野球部は第３４回選抜高校野球の北信越代表に選ばれた。大正１１（１９２２）年の結成以来４０年目にして始めて甲子園の土を踏む。北アルプスおろしの寒風はバットやグローブを凍らすほど。守備練習はキャッチャーなみにプロテクターをつけて猛練習。雪よけのワラでかこったブルペンでのピッチングの練習が行われている。地区大会で４６イニング無失点という快記録をうちたてた坂田投手はこのチームのエース、甲子園での活躍が期待されている。

東京都足立区の６歳の男児が昨年末、燃えたガソリンを浴びて下半身を大火傷して重体。望みは皮膚移植しかない。この子を助けようと病院の人々の訴えに答えて韓国の大学生を始め、７３人の人々の尊い皮膚が寄せられて手術が行われた。全身の５１パーセントという皮膚移植は世界でも例がなく、すべてがこの移植手術にかけられている。

メキシコ歌舞団の一行２８名が、このほど毎日新聞社の招きで来日、華やかな出迎えを受けた。レセプションで日本の子供が歌ったメキシコ国歌はセニョリータを感激させた。情熱の国メキシコの香り豊かな民族芸能は１９６２年３月２９日から東京はじめ各地で公開される。

１９６２年１１月１８日、横浜と川崎を結ぶ京浜運河でノルウェーのタンカー、サラルド・ブロビグ号と日本船の第一宗像丸が衝突。第一宗像丸から流れでたガソリンに火がつき一瞬のうちに両船は火だるまと化した。消防艇の消火作業の結果正午すぎ鎮火。ブロビグ号の乗組員は全員無事救出されたが、第一宗像丸は海堀弘船長はじめ３６名が全滅。３６００キロリットルのガソリンが燃えつきた船体は、高熱地獄と衝突の恐ろしさを物語っている。この事故を大きくした原因は、衝突直後付近を通りかかっていたダルマ船の火がガソリンに引火したものとみられ、ダルマ船からも３人の死者が出た。遺族達は遺体と涙の対面、この悲しさと怒りはどこに向けたらよいのか。急増する海上の交通、ラッシュに追いつけぬ港湾施設と野放しの交通整理が生んだ今回の事故を再び繰りかえさないよう速やかな対策が望まれる。

人口１千万と世界のマンモス都市に膨れ上がった東京は、２年続きの異常渇水で小河内ダムは満水時の五分の一。人口増加によって水道はピンチ、このままでは７月初めに貯水池は空になると、夜間断水に踏み切った。消防署では水を止められてはとドブ川をせき止めて火事に備える、一方病院や喫茶店でも水を貯めるのにおおわらわ。頼みの綱は雨だけですと小林水道局長もお手上げ。都の水源を利根川に求めようという計画も青写真のまま。ずさんな都市計画に着工のめども立たない。オリンピックを目標に水洗便所等の普及も目ざましい一方、水道の水は一生懸命節約しても追いつかず、オリンピックの開催が危ぶまれている。空を仰いで雨を待つマンモス都市東京の嘆き。

相次ぐ火山の爆発、まかり通るニセ千円札、１億総推理時代を招いた山中湖畔の怪死事件。堀江ヨット青年、１９歳のチャンピオン原田など様々な話題のある中に最も今年を代表するものは交通戦争の激化。車の洪水と悪路がつくり出した交通地獄の中に子供も巻き込まれ、その犠牲者は小児麻痺を上回る激しさ。道路だけでなく海の上も交通ラッシュ。古い港湾施設と野放しの海上交通のため危険がいっぱい。京浜運河のタンカー事故は海上ラッシュの限界を警告した。レールの上も過密ダイヤや無人踏切。三河島事件はこうして起るべくして起きた人災。通勤電車に乗るのも命がけ。道路も、海も、レールも、電車も、すべて交通戦争の場となったこの１年、その対策は来年に持ち越されることになった。

アメリカの第２号宇宙飛行士、スコット・カーペンター少佐はルネ夫人と、４人の子供達と感激の再会。パレードの後、ケープカナベラルでの航空宇宙局勲功章受章式には母親のフローレンスさんも出席した。家族の１人１人に自分がのったカプセル・オーロラ７号をみせるカーペンター少佐はやさしいパパ。良き夫ぶりを見せるなど円満な家庭人の横顔を見せていた。（週間話題）

国鉄史上２番目と言われる三河島衝突事故によって十河信二国鉄総裁の進退は国民の大きな関心の的となった。十河総裁は進退問題を政府に一任。しかし遺族会は最後の責任を果たしてからでなければ辞めるべきでないと要望した。政府与野党内では十河総裁の留任について河野一郎農相らが難色を示したが、池田勇人首相は１９６２年６月２３日適当な後任者がいないことを理由に留任を決定した。昭和２６年（１９５１）の桜木町事故では当時の加賀山之雄総裁が責任をとって辞職。昭和２９年（１９５４）の青函連絡船洞爺丸、同３０年（１９５５）宇高連絡船紫雲丸の度重なる沈没には長崎惣之助総裁が辞職。しかし十河総裁になってから起きた３１年の参宮線列車衝突事故とこの度の三河島の惨事にもかかわらず留任という異例の処置。こうして十河さんは決意を新たに今後の事故防止に全力を傾けることになった。