巨人か西鉄か、西鉄が３勝２敗とリードのうちに迎えたプロ野球日本選手権第６戦は、１９５６年１０月１７日、後楽園球場で行われた。西鉄は初回、巨人先発の別所毅彦を打ち込んで、早くも６安打の４点を奪い、３回にも関口清治の右翼ホーマーで１点を追加。一方、巨人は稲尾和久に押さえられて振るわず、６回岩本堯の本塁打で１点を返しただけ、５対１と敗れた。かくして西鉄は、初めて日本選手権を握り、６年振りにパ・リーグに優勝をもたらしたのである。（プロ野球）

ニューヨークで手術を受けていた原爆乙女９人と、中林智子さんの遺骨を乗せてアメリカの軍用機は無事、岩国飛行場に到着、変わり果てた中林さんの姿にひきかえ、９人の娘さんの表情は明るく、希望に燃えていた。９人は原爆慰霊碑にぬかづいて黙悼を捧げた後それぞれ家路についたが、遺骨を抱く中林さん一家のさびしい後ろ姿が人目をひいた。深い傷痕はいつまでも人々から消え去ろうとしない。

日豪ラグビーの第２戦、オーストラリア学生選抜チームと日本大学との試合は、１９５６年２月２９日秩父宮ラグビー場で行なわれた。日本一の馬力を誇る日大フォワードは、積極的な闘いを挑んで前半をリードしたが、後半オーストラリアは得意のオープン戦を展開、２１対５と日大を振り切った。

煙の悩みが東海道線から無くなることになった。施工後３０年、大阪・米原間を最後にこのほど東海道全線の電化が完成。１９５６年１０月１２日、大阪を出発した試運転の電車は滑るように米原に向かった。スピードアップのお陰で、１９５６年１１月１９日から全国的にダイヤの改正と増発が行われるそうだ。国鉄では、続いて北陸線など幹線の電化を１０ヵ年計画で進めている。

日本の絹の美しさを世界に広めようと、１９５６年１１月６日、京都で開かれた「着物ショー」、大枚２０万円の豪華版もお目見えし、本場京都のご婦人方をうっとりさせた。

冬富士の雪と氷を踏んで若い登山家が幾組も続いて行く。あちこちにテントが立ち並び山は時ならぬ賑わいだ。山頂の観測所では、臼を出してもうお正月の準備を始めている。

第７次帰国船「北斗丸」は、ソ連から帰国者６２名を乗せて１９５６年６月９日、舞鶴に帰って来た。３９人は異国の空で病に倒れた気の毒な人たちだ。最後の関東軍司令官山田乙三元大将も痛々しい姿で上陸。温かい手に迎えられて、人々はそれぞれの故郷へ向かった。

国民医療確保の声はますます高まり、１９５６年２月２３日「健康保険改悪反対」をかかげて、東京都民大会が開かれた。国会には結核患者代表が政府・与党の首脳部と会見、病人を困らせるような法律は止めて欲しいと切実な声を伝えた。一方、税務署では納税申告の相談で大賑わい。人気スターも、町のおかみさんもなかなかの粘り方。いずれも、国民にとっては共通の悩みである。