もうすぐ八十八夜。茶どころ静岡県下では、お茶摘みがはじまり茶摘み唄が聞こえて来る。香り高い一番茶のハシリが、昔ながらの手もみで、念入りに精製されてゆく。

吉田茂派など自由民主党内の反主流派は、領土条項に満足できぬと日ソ共同宣言の批准に益々冷たい態度をみせている。特別委員会で、野党は鳩山一郎首相に与党内の不統一を突いた。それを裏付けるように南千島（歯舞、色丹、国後、択捉の４島）の返還をはっきりせよと毒づく吉田派、また社会党は逆に政府を鞭撻するという有様、攻守ところを変えた国会風景である。ついに自由民主党は日ソ国交回復の承認を多数決で決め、反対派を押し切った。一方、スト規制法存続をめぐって、労働組合の反対はいよいよ激しくなって来ている。こうした中で、１９５６年１１月２６日スト規制法は衆議院社会労働委員会で可決され、多くの問題を残したまま舞台はいよいよ参議院へ移ることになった。

台風１５号は九州をかすめ太平洋岸に沿って北上、１９５６年９月２７日、関東南部に上陸したがほとんど被害はなかった。しかし関西各地は相当の被害を受け、関西本線の関−加太駅間で山崩れの為、客車一輌が加太川に転落、乗客２０名が濁流に呑まれるという惨事が起きた。現場では必死の救出作業が行われたが、乗客の大半はすでに流失し、残されたわずかの遺品が人々の涙をさそっている。台風１５号の残した痛々しい惨事であった。

進路を南へ南へととっている南極観測船「宗谷」は、途中台風１９号にもあったが、赤道直下の暑さにもめげず隊員たちは元気に日課と取り組んでいる。甲板では樺太犬が一息入れている。こうして「宗谷」は船足も早く南極大陸に近づいて行く。（週間話題）

１９５６年９月２０日、モスクワへ先発する松本俊一全権は、鳩山一郎首相、重光葵外相に挨拶をすませ、羽田空港から出発した。松本全権の今度のモスクワ行きは、ブルガーニン首相返書の真意を確かめるためというややこしい仕事。鳩山は首を長くして良い知らせを待っているが、１１月引退説まで飛び出す今日この頃、その身辺はなかなか微妙な動きを見せている。

お揃いで初めて大阪に立ち寄られた天皇皇后両陛下は、大阪城の天守閣から市街をご覧になり、また１９５６年１１月１日には、近代的織物工場を視察されるなど、楽しい秋の１日を過ごされた。（週間話題）

１９５６年３月１８日、ダレス国務長官は、重光葵外相らの出迎えを受けて羽田空港に到着。直ちに大使館に入ったが、滞在わずかに２６時間、その間、政府与党の首脳と２回にわたり懇談、日本の直面する軍事、政治、経済など重要な問題を討議した。

日本一のタンカー「つばめ丸」がこのほど完成、３４５００トンの巨体を兵庫と東京で披露した。処女航海は中東クウェートへの旅であった。（週間話題）