鳩山一郎首相の訪ソ問題はすったもんだでなかなか決まらず、しびれを切らしたシベリア抑留者の留守家族は、１９５６年９月７日、東京日比谷で大会を開き、続いて初のデモ行進。一方財界では、弱体鳩山内閣の退陣を希望すると異例の三下り半を突きつけ、自民党に一波乱を巻き起こした。社会党が“早期妥結鳩山訪ソ”に協力すると激励すれば、当の自民党は相変わらずの小田原評議。強気の河野一郎農相一人やっきとなって駆け回っている。

自由民主党総裁代行委員・緒方竹虎氏が１９５６年１月２８日夜、東京五反田の自宅で突然死去した。総裁問題が微妙な時期だけに、その死は大きな政治的波紋を呼んでいる。

菊かおる「文化の日」を前に、本年度（１９５６年度）の文化勲章（第１５回）受章者が選ばれた。福岡県八女（やめ）市の簡素な自宅で画筆をとる坂本繁二郎画伯。数々の名曲を生んだ山田耕筰氏。言語学の新村出博士。稲の改良に４０年このかた尽くして来た安藤廣太郎博士。７人の受章者のうち４人までが自然科学部門から選ばれた。

『敵の基地を侵略してもよい』との鳩山一郎首相の失言から、国会では、再び『戦力なき軍隊』が論議の的になってきた。そのさなかの１９５６年３月１日、福岡県築城飛行場では、日の丸をつけた８機のジェット機Ｆ８６の初飛行が華々しく披露され、また空挺部隊の激しい降下訓練が行なわれている。海では、この程完成した乙型警備艦「あけぼの」の試運転が行なわれ、駆逐艦をしのぐスピードで荒波をけたてている。こうして、自衛権をめぐる論争の中で、自衛隊はひたすら軍備の増強を急いでいるようだ。

快晴に恵まれた１９５６年５月１日、全国６００の都市で第２７回メーデーが華やかに行なわれ、大阪、福岡、札幌などで働く者の大行進が繰り広げられた。東京の中央メーデーにはおよそ５０万人が参加、広い明治神宮外苑も人波でぎっしり埋った。祭典気分はいよいよ盛り上がり、デモ行進に働く者の力強い足音を響かせた。全国での参加者はおよそ１５０万人、戦前戦後を通じて最大のメーデーだった。

ソ連のブルガーニン首相、フルシチョフ共産党第一書記らの一行は、１９５６年４月１８日、ロンドンのビクトリヤ停車場に到着、イーデン・イギリス首相らと堅い握手を交わした。この機会に国際間の難問題がとけるかどうか、世界の注目を集めている。（週間話題）

長い夏休みが終わって、９月から新学期が始まった。京西小学校の良い子たちは、夏休みの作品を見せ合って楽しそうだ。双葉中学３年の４人組は、とても大きなビルの模型を作って、新学期早々学校中の人気をさらった。

鳩山一郎首相のモスクワ行きも迫った１９５６年１０月２日、自由民主党の議員総会はすったもんだの騒ぎ、たまりかねて政府は臨時閣議を招集、一気に首相のモスクワ行きを決定した。ところが、その後の議員総会がまたまた大荒れという始末。反主流派が河野一郎全権に八ツ当りするのにひきかえ、社会党の鈴木茂三郎委員長が首相を激励するのは、不思議な取り合わせだ。１９５６年１０月７日、鳩山は家ノ子郎党に見送られて音羽を出発した。羽田空港ではソビエト漁業代表チフヴィンスキーと真っ先に握手を交わし、留守をあずかる重光葵外相らとも堅い握手。こうして揉めに揉めた末、日ソ国交回復の使命を担った全権団は、一路モスクワの空へ飛び立ったのである。