吉田茂派など自由民主党内の反主流派は、領土条項に満足できぬと日ソ共同宣言の批准に益々冷たい態度をみせている。特別委員会で、野党は鳩山一郎首相に与党内の不統一を突いた。それを裏付けるように南千島（歯舞、色丹、国後、択捉の４島）の返還をはっきりせよと毒づく吉田派、また社会党は逆に政府を鞭撻するという有様、攻守ところを変えた国会風景である。ついに自由民主党は日ソ国交回復の承認を多数決で決め、反対派を押し切った。一方、スト規制法存続をめぐって、労働組合の反対はいよいよ激しくなって来ている。こうした中で、１９５６年１１月２６日スト規制法は衆議院社会労働委員会で可決され、多くの問題を残したまま舞台はいよいよ参議院へ移ることになった。

美しい声楽を伝統とする本場イタリアのオペラが、初めて東京で公演された。舞台は「アイーダ」の一場面である。（週間話題）

去年の夏（１９５５年７月２８日）、三重県津市橋北中学の女生徒３６人が水難にあってから１年、波静かな中河原海岸に、犠牲者に捧げる記念像がつくられた。命日の７月２８日、海辺で一周忌の式が行なわれ、同級生の手によって、３６個の花束が１つずつ海へ捧げられた。

１９５６年９月６日から東京と京都で国際遺伝学会議が開かれ、開会式には世界２１ヵ国の学者が一堂に集まった。ソビエトのルイセンコ学説の権威も参加している。各地で日本の遺伝学を紹介する数々の資料が展示され、各国の学者の目を見張らせた。長年飼育と改良が重ねられてきた蚕、美しい尾を持つ尾長鶏、様々な色と形を誇る金魚、そして研究が続けられるアサガオの変種など、すべてが遺伝の神秘を物語る。中国では甘藷と夕顔の交配から生まれた新種によって、今までの１０倍の藷の収穫をあげることが出来たという。遺伝の研究は人類にとって大きな問題である。

香港で開かれた第３回東南アジア映画祭は、お国自慢の装いを凝らしたアジア各国のスターたちで賑わったが、この映画祭で最優秀撮影賞を受けた「佐久間幹線」は国内のＰＲ映画コンクールでも通産大臣賞を受けた。（週間話題）

１９５６年７月８日の参議院選挙は投票の出足悪く、投票率は全国平均６２．０９％、前回を下回る成績だ。開票の結果は、地方区でも全国区でも社会党が予想以上に伸び、革新派は議席の３分の１を突破、自民党の憲法改正発議を不可能にした。このため自民党の受けた衝撃は大きく、さすがの岸信介幹事長も渋々敗戦を語り、本部は静まり返っている。これにひきかえ気を良くした社会党は、鈴木茂三郎委員長が解散論をぶって気勢を上げている。参議院の新分野が決まった、その日の各党本部の表情である。

１９５６年１１月１５日の七五三の日は明治神宮はじめ、どのお宮も大変な人出、色とりどりの晴れ着で参道は花が咲いたようである。群馬県倉賀野町の良い子たちは、お揃いの上着を着て合同のお祝いである。神主のお祓いを受けて、ご褒美に千歳飴を頂いた。お母さんもお友だちも一緒に楽しい七五三であった。

ニューギニア、モロタイ、ボルネオ等、南の島々に今なお眠るおよそ５００００の戦死者の遺骨を求めて、練習船「大成丸」は、１９５６年６月２０日、東京港を出発、２ヵ月にわたる旅に出た。（週間話題）