新緑の野を越え山を越え街を通ってスクーターの列が続く。傘の町・岐阜、瀬田の唐橋、奈良の都など、沿道はいま、目を見張るばかりの美しさである。（週間話題）

南の果て南氷洋には日没と共に南極の夏特有の長い白夜が訪れる。鯨を追ってロス海に入った捕鯨船団は、氷山を縫って航海を続けている。一方、北の果てオホーツク海では、南極派遣船「宗谷」の乗組員が、巡視船「とかち」に乗って南極探検さながらの厳しい訓練を行っている。

第１３回学童歯磨き訓練大会が、１９５６年６月４日、神宮外苑競技場で華やかに開かれた。都内１８０校の小学校と、幼稚園の良い子たち４００００人が集まり、元気に歯磨きのおさらい、そして「くまの子りすの子」の歌を仲良く歌った。口腔衛生週間の一コマである。（週間話題）

１９５６年１０月１１日午前３時過ぎ、比叡山延暦寺の大講堂から出火、付属の建物仏像など、数々の重要文化財を灰にした。大講堂は江戸時代初期の手法を残した建築で、その消失が惜しまれている。火災の原因は明らかでなく、文化財管理の再検討が望まれている。（週間話題）

１９５６年６月２４日、天津ホテルで日本側３団体代表と、中国赤十字社との間に釈放日本人戦犯の名簿引渡式が行なわれた。釈放された日本人戦犯３３５名は、２８日、明るい表情で溏沽港に向かい、中国の風物に尽きぬ名残りを惜しみながらやがて乗船、一路帰国の途についた。興安丸は、１９５６年７月３日舞鶴港に入港、人々は１０数年ぶりで見る故国の山々に眼をうるませながら、温かい肉親の懐に抱かれて感激の上陸をした。

沖縄土地問題に対するアメリカ下院軍事委員会プライス報告書（１９５６年６月）は、沖縄住民に強い衝撃を与えた。これによって４分の１の土地を失う８０万島民はこぞって報告書の実現に反対、琉球（沖縄）政府をはじめ、立法院や自治体責任者は総辞職も辞せぬ決意を固めている。島内は報告書粉砕を叫ぶ大会やデモが相次いで行なわれ、緊張した空気に包まれているが、一方東京でも沖縄留学生がアメリカ大使館に陳情、総評（日本労働組合総評議会）は沖縄住民の運動に全面的に協力する旨を発表するなど、日本内地でも沖縄への関心が急速に高まって来た。こうした最中、日本国民と政府に協力を求めるため、沖縄住民代表一行４名が１９５６年６月２７日羽田に到着したが、戦後１１年今なお主権を持ち得ぬ人々の苦しみに対し温かい協力が望まれている。

東京では１９５６年５月１８日、教員と生徒の父兄４００００人が集まって、教育２法案反対の気勢を上げた。これより先の１６日、インドネシアのスカルノ大統領はワシントンに乗り込み、植民地主義反対の強い決意を明らかにした。ギリシャではアテネの市民が、反英の旗印をかかげてついに警官隊と衝突、市街に血を流す最悪の事態を招いた。一方、アフリカのアルジェリアでは、居留民の根強い抵抗にフランスは厳しい追及を続けている。中国の北京では１９５６年５月１日、メーデーの大行進が繰り広げられ、若さと健康に溢れた力強い歩みを見せた。

第２３回世界卓球選手権大会最終日の１９５６年４月１１日、個人戦で、日本は男子シングルスに荻村伊智朗選手が、女子シングルスに大川とみ選手が、男子ダブルスには荻村伊智朗・富田芳雄組が優勝、男子団体戦優勝と合わせて４つの選手権を獲得。女子ダブルスはルーマニアのロゼアヌ・ツェラー組の２連勝。かくて、大会は数々の成果を収めて、その幕を閉じた。