時代に翻弄されながらも北海道に新天地を求め、会津藩士の誇りを失わず、藩主への忠誠心を保ちつづけた宗川熊四郎らを描く。◆明治初期に余市の大地を豊かな実りの地に変えたのは、会津の士族たちだった。明治新政府の北海道開拓民の募集に応じ、紆余曲折を乗り越えて１８７０年（明治３）に１６９戸６００人余りが入植し、黒川・山田両村が誕生した。海を渡った藩士団をまとめ、指揮したのが宗川熊四郎だった。藩士たちと苦楽を共にし、１０数年の苦闘の後、ようやくリンゴ栽培が実を結ぶ。余市リンゴは後に青森リンゴの並び称されるほどの名声を誇った。

これまでの、加賀宝生、加賀万歳、御陣乗太鼓、でくまわしを再編集し、今村充夫さん（加能民俗友の会会長）に話を聞く。◆伝統芸能の宝生と万歳は専業者が演じ、民俗芸能の御陣乗太鼓とでくまわしはその日だけの役者が演じる。いずれも祭りから発生したという。番組では、万歳の「町尽くし」、宝生の「黒塚」、そして御陣乗太鼓、でくまわしの「熊井太郎」と「酒呑童子」をダイジェストで見ることができる。◆神への願いは、これからもやむことはないだろう。

桜の巨樹とともに生きる人の人生を描くドキュメンタリー。◆金沢の「大桜」は、樹齢４００年の桜の木。美音さん（当時７３歳）は、大桜にほど近い西茶屋街のお茶屋で女将を務め、現役の芸妓でもある。８歳で東京から売られてきて、芸子見習、戦争など経験しながら笛の芸を磨き、「金沢に笛の美音あり」と言われるまでになった。大桜はその美音さんの人生を見守ってきた。一方、岐阜県宮村の「臥龍桜」は樹齢千年。山腰さん（当時７４歳）は、２０年前に事故で右腕を失った絶望から、この木を描くことで立ち直った。桜は冬に耐えてこそ見事に咲く。

香川県まんのう町に本拠を置く南ファミリー劇団は、先代から続く役者一家、いわゆる「どさ周り劇団」だ。旅暮らしの一家の旅先での出会いと喜び、そして子育てと自立という悩みを笑いや涙と共に送る。◆座長は山口英二朗こと南淳一さん。舞台は香川県内の文化センターから瀬戸内の離れ小島まで様々。子役を受け持つ南さんの子どもたちは育ち盛りの勉強盛り。将来を見据えての苦悩もある。

熱血デスクに率いられた落ちこぼれ新聞記者たちが、事件の裏にある真実を追って成長していく姿を描く人間ドラマ。ナショナル劇場。（２００１年１０月８日～１２月１７日放送、全１１回）◆第一話「カムバック」。清水治郎（渡辺謙）は新聞社の地方宣伝部で働く元敏腕記者。三年前のある事件が原因で、地方へ左遷されていた。ある日、治郎は東京本社への復帰と第三社会部デスクを命じられる。しかし第三社会部のメンバーは、一匹狼の工藤瞬兵（萩原聖人）や取材恐怖症の山口林檎（酒井美紀）ら、問題児ばかりだった。そんな中、若者ボランティアグループのリーダーの死亡事件が発生する。犯人はすぐ捕まり、彼の死は美談として報道されるが、治郎たちが取材に行くと、「あの子を殺したのはマスコミと大人たちだ」と語る老人がいた。

全国的に知られた観光スポットだけでなく、日常生活の中にある信州の風土や文化を紹介する。◆今回は、奈川村の奈川渡ダムの風景を紹介する。

歌謡ビッグスターである実力派歌手ふたりの共演でおくる公開音楽番組。この回の出演は、ともに鹿児島県に縁の深い森進一と中島啓江。それぞれ自らのルーツを語るほか、ジャンルを超えた様々な名曲を披露する。◆曲は「襟裳岬」二人、「波浮の港」森、「浜辺の歌」中島、「ゴンドラの唄」二人、「別れのブルース」二人、「アメイジンググレイス」中島、「ヨイトマケの唄」森、「生きるものの歌」中島、「終列車」森、「ＴＳＵＮＡＭＩ」二人。

スリランカ中部、森が広がる平原から突き出した高さ１８０メートルもの巨岩。この国は古代から岩山を信仰の場としてきた。修行僧の瞑想の場は、２０００年の時をかけて掘り下げられ、５つの石窟からなるダンブッラの黄金寺院となった。初期仏教を彷彿とさせるこの石窟は１９９１年に世界遺産に登録された。ここにある１６０体もの仏像のほとんどがブッダの像である。紀元前３世紀にスリランカに伝わった上座仏教は、ブッダその人だけに篤く帰依している。苦行を捨て、瞑想によって悟りを得て、「目覚めた人」ブッダとなった釈迦にならい、スリランカの森林僧侶たちは人里離れた森で２２７の戒律に従いながら修行の日々を送る。ブッダ信仰が生んだ独特の世界を描く。◆ダンブッラの黄金寺院、古代都市シーギリヤ