ニュージーランドの南部には、森に住み海で魚を採って暮らす２種類のペンギンがいる。その子育ての様子を見ながら、ペンギンの進化を探る。大陸移動でニュージーランドが孤立したとき、天敵の哺乳類がいなかったため鳥たちは地上で餌をあさり、空を飛べない鳥へと“進化”した。その中で、海に入って飛び（泳ぎ）ながら魚を捕食したのがペンギンである。やがて海流に乗って南半球各地に広がり、それぞれの地に適応した。今も森に住む２種は、進化のプロトタイプ（原型）なのである。旅人は近内仁子。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆福井は山形の酒田、佐渡の小木と並んで船箪笥の三大産地として知られ、多くの箪笥職人がその技を競っていた。しかし、陸上交通が発達し、北前船が姿を消すと共にその伝統の技も廃れていった。その船箪笥の技を現代に蘇らせた人たちがいる。船箪笥の美しさを通して、かつて隆盛を極めた北国廻船の人々の生活を偲ぶ。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆木綿よりも麻よりも、そして絹よりも古くから日本で織られていたという太布。この原始の布を伝承する村が木頭村。太布は村の太布織保存伝承会の人たちを中心にして今も織り継がれている。原料となるのはコウゾ。一般には和紙の原料として知られる木である。山里の暮らしに息づく太布織りの技と、その技法を伝承してきた女たちの太布への想いを描く。

土佐・高知で娼妓紹介業を営む家に生まれ育った娘が、複雑な家庭環境の中で多感な少女期を送り、やがて家を離れて自立するまでを描いた、宮尾登美子の自伝的小説の映像化。（１９９７年９月２８日～１０月１９日放送、全４回）◆高坂女学校の３年になった綾子は、親友の蕗子に絶交を言い渡される。蕗子の父が病に倒れ、３人の姉たちが岩伍の世話で芸妓になると決まったのだった。そんな折、レコード鑑賞会で知り合った三好に廃娼運動のことを聞き、共鳴するようになる。岩伍に仕事をやめて欲しいと訴えるが、人助けの仕事だという岩伍はとりあわない。東京に進学したいという願いも、女に教育はいらないと聞いてもらえない。綾子の慰めは、父と別れてからうどん屋を始めた育ての母・喜和だけだった。

ＮＨＫ連続テレビ小説第５５作「ふたりっ子」（１９９６年１０月７日～１９９７年４月５日放送）の総集編。大阪の下町・天下茶屋の豆腐屋に生まれた双子の姉妹・野田麗子と香子の成長を描く。作：大石静。（全４回）◆総集編・第３話「結婚編」。麗子（菊池麻衣子）は幼なじみの政夫（伊原剛志）と電撃結婚。バブル景気を追い風に「豆腐ブティック」を出店し、事業拡大に奔走する。しかし強気の企業経営があだになり、借金を背負ってしまう。また、かつての恋人・壮平（山本太郎）の存在が、麗子と政夫の関係に波紋を投げかける。一方、女性初のプロ棋士へ挑戦する香子（岩崎ひろみ）は米原永世名人（桂枝雀）から特訓を受ける。史郎（内野聖陽）との結婚生活ではお互いを尊重し、家事を分担するなど理想的な夫婦に見えたが、子どもを授かった香子は出産と将棋のどちらを取るかで悩む。

大気を浄化し、地球の風土を作り、豊かな恵みで人々の暮らしを支える「森」と「水」の不思議を解きあかす。◆森の木々は、太陽の光エネルギーを利用して炭酸ガスと水から炭水化物を作り、酸素を放出する「光合成」を行うことで成長を続けている。地球のガス交換器の役割を果たしている森の減少は、大気中の炭酸ガスが増え、気温が上昇する「温暖化」が起こるなど、地球全体の気候に影響を与えている。

女優の金久美子が三輪龍作を訪ねる。◆山口県萩市の陶芸家の家に生まれた三輪さん（当時５７歳）は、東京芸大大学院の卒業でオブジェ「ハイヒール」を制作、続く個展でエロスと愛の作家として世界的に認められた。◆現代の人は今はじめて生まれるものを創るべきで、それが伝統になる、という。美術館の自作の茶室は明るく若々しい造り。生きものの広場を表現する。◆８ｍ近い天翔ける龍をてがける三輪さんにとって、陶芸とは精神、情熱、哲学の表現で、技術はその手段にすぎない。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆京都といえば龍安寺の石庭、世界的に知られる枯山水の庭園だ。衣笠山の麓にあり、室町時代、貴族が別荘を禅宗の寺にしたところからはじまる。龍安寺にはもう一つ名園があって、こちらは鏡容池をめぐって豊かな自然が配されている。紅葉に青竹の林が美しく、紅葉にとっての秋は、竹にとっては春なのだと朝倉さんが指摘、そんな配慮をしての造形なのだ。油土塀に囲まれた白砂の石庭は、早朝の砂紋引きの直後が、空気までも美しい。それをゆったりと楽しむ。旅人は舞台美術家・朝倉摂と建築家・安藤忠雄。