歌人としても著名な人形作りの人間国宝・鹿児島寿蔵さんを東京の仕事場に訪ねて、作品が出来上がっていく様子を取材した。（当時７７歳、昭和５７年没）「色が落ちず、こわれにくい人形を造ろうと研究した結果、“紙塑人形”にたどりついた」。アララギ派の歌人でもあった鹿児島さんは「もろもろのことのはげしき世にひそみ、心直かれと人形つくる」と詠み、その心の内を表現している。紙の原料を電動かくはん機でほぐすところなどは、いかにも現代の作家らしい。

作家の藤原ていさんは、外地での敗戦という過酷な条件の中で、子ども３人をつれて朝鮮半島から祖国へ引き揚げた。その逃避行「流れる星は生きている」は藤原さんの悲惨な体験記。藤原さんたち北朝鮮引き揚げ家族のその後の消息など同じ体験を持つ人々を訪ねながら、今、老境に入ろうとしている戦争を体験した最後の世代の感慨をきいていく。

信念を貫く人々の姿や、人間の可能性と限界を探る異色のドキュメントシリーズ。（１９７２年１０月７日～１９７５年３月２９日放送）◆異常なまでの受験戦争の中で、遂に大学受験でノイローゼとなった高校生が、ライバルの親友を刺殺するというショッキングな事件が起きた。事件の舞台となった高校の生徒、教師、父母を中心に、なぜ不幸な事件が起きたのか、その受け止め方などを通じ、ゆがめられた教育の断面を探りだし、真の教育とは何かを訴える。

明治を見直す気運を背景に、明治時代を日本が国際化していく時代としてとらえ、史実に基づいて再構成した全１０回のドキュメンタリードラマ。◆最終回「小村寿太郎」。ポーツマスでの日露講和条約は、戦争継続が不可能になっていた日本の譲歩で、決裂寸前に妥結した。しかし連戦連勝にわきたっている国民はこれを不服として、帰国した全権・小村寿太郎（小林桂樹）を厳しく糾弾し、日比谷焼き打ち事件へと発展していく。小村寿太郎の半生を通して、国際社会と日本について考える。

蒔絵作りの第一人者・松田権六さんは人間国宝。カメラは仕事場を訪ねて、その細やかな手作業を追った。（当時７９歳、昭和６１年没）ウズラの卵を吟味する松田さん。「漆には“白色”がない。白い絵を描く時は、卵の殻を砕いて使うのだが、ウズラの砕けぐあいが一番よい」と、自らの経験を語っている。「国宝の模写や模造は簡単だが、国宝に匹敵する、国宝でないものを作るのは厳しい」。独創性を生み出す苦労は、並大抵ではないようだ。

単に歴史や絵画を紹介するだけでなく、画家たちの生涯や彼らの美意識について歴史的背景、国土についての考察を試みながら、古今東西の美の世界を紹介するシリーズ。（１９７４年１月７日～１９７７年３月２７日、全１３３回）◆国宝・重要文化財を数多く含み、世界的にも有名な安宅コレクションから、唐代から明代までの名品を紹介する。

大正７年から昭和２７年までを時代背景にして、鳥のように自由に空を飛びたいという大空へのあこがれに生きた、ひとりの女性の波乱に富んだ物語。主人公は秋田県の小さな城下町で生まれた小野間真琴（浅茅陽子）。小さなころから飛行機に憧れた真琴は、反対する両親を説得し、好奇の目で見るまわりの人たちを持ち前の明るさで納得させながら、ついに念願の飛行学校へ通うことになる。作：田向正健。ＮＨＫ連続テレビ小説第１７作。（１９７６年４月５日～１９７６年１０月２日放送）

世界の最先端を行く日本の科学技術と、それを支える人々を紹介するシリーズ。（１９７６年１月１０日～４月３日放送、全１３回）◆第４回のテーマは、海に架ける橋。本四架橋計画を中心に、日本が世界に誇る橋梁技術を紹介する。