千年近くにわたって日本の「ものづくり」を支えてきた道具や原料が、姿を消しつつある。１０年前から手に入らなくなったという「ネズミの毛の蒔絵筆」を通して、伝統工芸産地の深刻な実情を浮き上がらせるとともに、こうした道具の復活を模索する職人たちの必死の姿を追い、日本のものづくりの原点が置かれている厳しい現状を伝える。

岩手の自然を紹介する環境スペシャルシリーズ。今回は、夏の奥羽山脈の雄大で美しい自然を描く。◆東北地方を南北に貫く奥羽山脈。夏は山々が花と緑に包まれ、最も輝く季節である。秋田駒ヶ岳には国内でも有数のコマクサの大群落がある。それを守ったのは、伝説の花の番人だった。一方、和賀岳では子ども達の冒険キャンプが行われる。人々は短い夏を惜しみながら、奥羽の大自然を心から楽しむ。

瀬戸内海は、海運の要地として培われた豊かな歴史と、多島海の景観に代表される美しい自然を有してきた。そんな瀬戸内海の「今」を、それぞれの地域から紹介する。（２００２年１０月７日・２００３年９月２２日、全５０回）◆この回は「花と浦島の里」。

時代の流れとともに消えようとしている、ふるさとの素顔、自然、生活、文化、伝承行事などを映像遺産として後世に伝えるシリーズ。◆「ホトホト」の民俗行事は、もともと子どもたちが小正月の夜、厄年を迎える家に藁で作った“銭さし”や“馬”をもって行き、代わりに祝いのお餅やお菓子をもらって帰るという風習で、昔は、各地でこの風習が行われていましたが、現在はほとんど行われなくなっている。鳥取県日南町多里では、この行事を二十五年ほど前に地区の有志によって復活させた。厄年の四十二歳や六十歳を迎える家では、この日の夜お祝いの宴が開かれ「ホトホト」を待つ。今年還暦を迎える人の家にホトホトのメンバー四人が昔ながらの蓑を身につけて訪れ、はじめに縁起物と藁細工を玄関前に置く。「ホトホト」訪問を受けた家では水を準備、訪れたメンバーに水をかけ厄を持って帰ってもらう。今では、すっかり冬の行事として受け継がれている。

北海道の豊かな自然、生きてきた人々の歴史や文化、生活、産業など、次の世代へ引き継ぎたい有形・無形の財産の中から、道民全体の宝物として選ばれた「北海道遺産」を、ハイビジョンで撮影された美しい映像と共に紹介する。◆フィンランド・ケミヤルビィはサンタクロースの故郷として知られる北極圏の町。実は昭和新山雪合戦で知られる壮瞥町の友好都市でもある。二つの北の町の絆を固く結んだのは何とユキガッセン！ヨーロッパからも選手団を迎える一大イベントになっている。

世界最高峰のエベレスト山を含む、ヒマラヤ山脈のサガルマータ国立公園を特集する１時間スペシャル。エベレストはイギリス人による１８５２年の測量で初めてその高さが明らかになったが、当時チベットもネパールも鎖国状態であったため、呼び名が分からず、インド植民地測量局長官の名前を取り、エベレストと名づけられた。エベレストが鎮座するサガルマータ国立公園は、地球上で最も美しい自然景観を有する場所の１つとして、１９７９年世界遺産に登録された。（サガルマータは「世界の頂上」の意。）番組では、困難とされていたヒマラヤの空撮を遂行。のべ２４時間のフライトで６０００メートル級から最高峰エベレストまで、２０以上の名峰の姿を映像に収めた。そしてネパール空軍の全面協力を得て、ヘリコプターと飛行機を駆使して様々な高度からアプローチし、これまで断片的にしか紹介されなかったエベレストの勇姿を届ける。◆サガルマータ国立公園

日本とロシアのあいだに横たわる深く長い溝・北方領土問題。この溝はなぜ出来てしまったのか、その秘密を解くカギを追って、菊池麻衣子が日本・ロシア両国のゆかりの地を訪ね、登場してくる人物のドラマを探る。◆ひとつめのカギは、なんと九州は長崎にあった。鎖国日本にあって、ただ一つ開かれていた窓・長崎。およそ２００年前の１８０４年、ロシア人実業家・レザーノフがその窓を開こうとやってきた。江戸と長崎を往復する幕府側との、なかなか進まない交渉の間、長崎に滞在した彼らの使節団はいくつかのエピソードを残している。

田沢湖の「辰子姫伝説」に代表されるように、秋田には数多くの民話が残っている。各地に実在する“形跡”を持って語りつがれてきた民話を、その映像を背景に現代の語り部が情緒たっぷりに語る。◆県北部・鹿角市の「だんぶり長者」、中央・秋田市の「香炉木橋」、県南部・千畑町の「姉っこ石」の三話、また民話の最後に語られる「とっぴんぱらりのぷう」や「どっとはらえ」などの言葉の謎にも迫る。