福井県一乗谷の朝倉氏遺跡に復元された、湯殿跡庭園、南陽寺跡庭園、諏訪館跡庭園を紹介し、室町末期につくられた庭の石組から往時の姿をしのぶ。居館跡から発掘された耳皿、腰をかけられる平らな石を交えた石組から、しばしば迎えた足利将軍家を曲水の宴でもてなしたことがわかる。戦国の世をよそに催された宴を、石組だけになった庭からうかがうと、栄枯の縮図を見る思いがする。日本庭園の演ずる視覚的ドラマ。◆放送番組センター協賛番組

１９７５年の天皇皇后両陛下ご訪米（９月３０日～１０月１４日）に際し、天皇陛下をアメリカ市民に紹介する目的で、国際交流基金の委託により制作された番組。◆天皇陛下の日常や公務などの映像を通して、１９７５年現在の「天皇」を紹介する。また、古代は秋の収穫を祈る祭司でもあった天皇の歴史と伝統、そして文化継承者としての天皇を、正倉院の宝物やさまざまな儀式の中に見てゆく。両陛下のお人柄、伝統文化と天皇、日米関係と天皇を柱に構成し、日本国民の敬愛を集める天皇陛下を明るく描いた。

高校生を自称して少女と文通していた老人が、自分だといって孫の写真を送る。ところがじかに会おうと言われて嘘をつかざるを得なくなったことから、老人と少女、そして孫の少年の間に奇妙な交流が生まれる。◆愛子（木村理恵）は、古田桑太郎（宇野重吉）という自称・高校生と文通することになった。手紙に同封されてきた学生服姿の写真をみて、愛子は桑太郎にデートを申し込む。ところが桑太郎はあわてた。実は彼、７７歳の老人だったのだ。

昭和半世紀の節目にちなみ、５０年間の記録フィルムと関係者の証言で時代を分析し、昭和を動かしたものは何かを考える。（１９７５年４月６日～１９７５年１２月２８日放送、全３９回）◆この回のテーマは、昭和１６年（１９４１）１２月７日の真珠湾攻撃。レポーターは加藤秀俊。

北アルプスに囲まれた信州・松本を舞台に、医学部受験を目指す高校生の娘・松宮知子（大竹しのぶ）とその母親・房子（香川京子）を中心に、戦争を知らない若い世代と、青春時代、戦争をくぐり抜けてきた親たちとの世代との対比や心の交流を描く。作：石森史郎。ＮＨＫ連続テレビ小説第１５作。（１９７５年４月７日～１０月４日放送、全１５６回）

中世以降の東西交流は「絹の道」が陸であったのに対して、海の道を経由した「陶磁の道」が象徴的である。◆エジプトの『フスタートの遺跡』では中国の陶器の破片が出る。美しい陶磁器は西の世界の人々にとって世界を動かす貴重品であった。壊れやすく、だからこそ人々は欲しがった。千年も前から海を渡って東と西は結ばれていたのである。そして海上の道は、中国から九州の伊万里へと伸びる。◆フスタートの遺跡〔エジプト〕、ミナブの遺跡〔イラン〕、のぼり窯〔韓国〕、トルコ細工〔トルコ〕、有田の秘窯〔佐賀県〕、マイセン磁器〔ドイツ〕、伊万里焼〔佐賀県〕

はるばるニュージーランドから太平洋を渡ってきたオンボロ平和使節船フリー号と１６人の乗組員。現代の管理社会のひずみと新しい人間の生き方を、フリー号に乗り組む人間の中に見出し、船に乗る愛らしい少年トビアと母親の別離など人間の哀しみや喜びを綴るドキュメンタリー。電気も新聞もない船の生活を、私たち現代人のメルヘンとして描く。

関東大震災前後の世相を背景に、職人の娘と界隈きっての資産家の息子の波乱に満ちた恋を描く。（１９７５年９月２６日終了、全１３０回）◆お美津は父一人子一人の、下町の職人の娘だ。出入りの大店（タンス屋）の若旦那に見染められ婚約するが、関東大震災にあい父は死亡、若旦那も行方不明、しかし若旦那の母はお美津を嫁として扱い、手放そうとしない。震災の中で助けてくれた大学生に想いを寄せる彼女だったが、やがて若旦那の出現により諦める…。