ヴィルニュス歴史地区には、民族抵抗の歴史が、深く刻み込まれている。◆バルトの古都、ヴィルニュスは中世の美を伝える美しい都市として知られる。由緒ある大学や教会建築の建物が市内に点在する。◆１９３９年、独ソ不可侵条約により、ソ連に併合されてしまったリトアニアは、１９８９年の人間の鎖、１９９１年１月の血の日曜日の事件を経て、ようやく独立を取り戻した。２０世紀のバルト三国を包み込んだソ連の体制下にも、民衆の信仰と文化の灯が絶えることはなかったのだ。◆ヴィルニュス歴史地区

開局３５年を機会に、「うつくしま、ふくしま」県民運動に呼応して選定委員会を組織、自然との共生、自然にやさしい心を再認識するための第一弾として「うつくしま百名山」を選定した。（１９９９年５月１０日～２０００年７月２４日）◆吾妻連峰最高峰である西吾妻山は二千メートル峰とは思えない地味な山。対して西大巓は明るい展望の山であり、好対照となっている。周辺は湿原湖沼が点在して高山植物に恵まれている。

兵庫県小野市の浄土寺は、鎌倉初期に東大寺再建の寄付を募った大勧進、重源によって建立された。国宝の浄土堂の中央に、鎌倉期を代表する仏師、快慶の手になる阿弥陀の三尊が、すっくりと立っている。他に仏具など何も置かれていない。日の沈む頃、西側のしとみ戸を上げると、太陽の光が堂内深くに射し込み、仏像の黄金色と梁や柱の朱色とが映えて、眩いばかりの空間となる。重源は、末法の世に極楽浄土へと衆生に手をさしのべる阿弥陀来迎の図を示し、民衆に仏への帰依を促したのだ。◆浄土寺浄土堂【国宝】、阿弥陀三尊像　快慶作【国宝】（阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩）、阿弥陀如来像　快慶作【重文】、菩薩面【重文】（浄土寺蔵）、阿弥陀聖衆来迎図【国宝】（有志八幡講十八箇院蔵）

自然の脅威に立ち向かってきた人々の姿に思いをはせ、四季折々に姿を変える阿武隈川を描いていく。◆阿武隈川は、ブナの原生林におおわれた福島県西郷村に発し、宮城県亘野村荒浜で太平洋に注ぐ東北第２の大河である。福島県を南北に流れ、古くから流域の人々の暮らしに豊かな恵みを与え、稲作・養蚕・果樹の振興に長い間、大きな役割を果たしてきた。しかし、これまで幾度となく氾濫を繰り返し、その流れは牙をむくこともあった。平成１０年８月、福島県の県南地方を中心に襲った集中豪雨は、荒れ狂う阿武隈川の姿をまざまざとみせつけた。流域の人々にとっても暮しを支える母なる川であると同時に、自然の脅威を思い知らされる川でもあった。２０００年、阿武隈川には「平成の大改修」として、８００億円を投じるプロジェクトが組まれている。かつて、高村光太郎が「あれが阿多多羅山、あの光が阿武隈川」と詠んだ清流は、今も福島県民にとって最も親しみ深い存在となっている。しかし、近年は廃水、生活排水による汚染が進み、クリーン作戦も繰り広げられている。

沖縄本島北部に広がる、深緑の原生林“やんばる（山原）”。神秘に満ちたこの森に住む生き物たちの営みを、春先から夏までの半年にわたって見つめる。◆年間の平均気温が２２度という亜熱帯の森には、さまざまな樹木が生い茂る。スダジイやオキナワウラジロガシなど一年中緑を失わない照葉樹、長い根を何本も空中へ垂らすガジュマル、うろこ模様の奇妙な幹を持つヒカゲヘゴなど、温帯や熱帯特有の植物も含めて１２００種以上。それらが原始の森を思わせる風景を作り出している。また動物も、日本で見られる種類の１割以上、３７００種を超える種類が生息する。ヤンバルクイナ、イボイモリなどこの森にしかいない固有種も多い。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「フランクフルト中央駅」と題して、ドイツ国内を南へ、フランクフルトからゲンゲンバッハへの道のりを紹介する。

原爆投下直後の極限の状況で、家族や知り合いにあてて焼け跡の校舎の壁面に被爆者が書き残した伝言が、５５年後の２０００年によみがえった。わずかな望みを託し、最後の力を振り絞って書かれた伝言と、家族の記録を伝える。◆爆心地からわずか４５０メートルの地点にある広島市立袋町小学校（当時は国民学校）。鉄筋コンクリートの校舎はかろうじて全壊を免れ、被災者の救護所となっていた。小学校の関係者、収容された被災者、家族を探しに来た人たちが、焼けて真っ黒になった壁に伝言を書き残していった。その伝言は伝わったのか。書いた人・あてられた人、それぞれのその後を追う。

視聴者に公募した「心に残る風景」や「伝統の味や技」などを毎回取り上げ、２１世紀に残しておきたい「みやぎのとっておき」を紹介する。◆今回は歌枕にもよく使われた緒絶橋を紹介する。