幼少の貧乏がトラウマで、お金持ちと結婚することに情熱を燃やす美人スチュワーデスと、恋愛に臆病になっている中年の魚屋さんとのラブストーリー。（１２月１８日終了、全１１回）◆容姿端麗、仕事もでき、新人スチュワーデスの憧れの的神野桜子は、仕事も早々に合コンへ向かう。「貧乏なんて絶対イヤ。できるだけ金持ちの男を見つける」という信念を持つ桜子、合コンの席上でも男性への関心はひたすら金銭面のみ。それは子供時代の貧困がトラウマのようになっていたためだった。その合コン会場のレストランに牡蠣を運ぶ魚屋の中原欧介。魚の目利きは強いが、銭金に弱く、押しも弱い。数学を研究したが、父を亡くし、母ひとりに魚屋を任せることに引け目を感じて家業を手伝うことにしたのだ。欧介はひょんなことから、無理矢理スチュワーデスとの合コンに誘われ、桜子と運命の出会いをする。

舞台芸術を経て、１９８６年「鉄のゲージツ家」宣言をした篠原勝之。ガラスに魅せられ、４年前からオブジェ製作をはじめたクマさんこと篠原さんの素顔を紹介し、巨大作品制作に密着取材する。◆千葉県市原市から依頼を受けて重さ１トンにも及ぶ巨大作品を制作することとなり、クマさんは４００年の歴史をもつ石の町・香川県牟礼町の石工技術を学びながら、ガラスの彫刻を始めた。石工さんたちの世界に飛び込んだクマさんの新しいチャレンジである。

フィリピンの山中に、「天国への階段」と呼ばれる長大な棚田がある。◆ルソン島北部、イフガオ州コルディレラの棚田群は２０００年の歴史を持つといわれる。急勾配を階段状に耕して天に至る、その壮大なスケールは、世界にも類がない。◆村人達は茅葺きの高床式住居に住み、全て人力のみの作業で田の仕事を守ってきた。万物の精霊、祖先の霊を崇める精霊信仰とともに、豊かな実りを神に托してきたのだ。◆しかし、村の暮らしは近代化と後継者不足の中で、今、厳しい現実に直面している。◆コルディレラの棚田群

妻を亡くして生きる気力をなくした男と、そのハウスキーパーをする若い男、その友人の舞台美術家の女。年齢も考え方もかけ離れた３人が、他人でありながらお互いから学びあう関係を築いていくさまを静かに描く。◆日本刀の研師・丸山岩男は２ヶ月前に最愛の妻を亡くしてから気力を失い、ついに栄養失調で倒れてしまった。そんな岩男に家まで付き添って世話をしたのが、新進の舞台美術家・三浦洋子。一眠りした岩男が目を覚ますと、荒れた家の中はきれいに片付き、洋子の友人でフリーターの伊藤吉見が夕食の支度をしていた。

絵画という芸術に魅せられ、絵一筋に不器用に生きた男、舘井啓明の生涯。◆舘井啓明は昭和１２年（１９３７）韓国ソウル生まれ。７歳のとき伊達町に引き揚げる。福島高校から武蔵野美大に進み、客員講師の岡本太郎に作品を激賞されプロの絵描きを志す。パリ留学後、独特の世界を確立した彼は、アカデミックな画壇を昇って行くことも、画商の傲慢な傘の下に入ることも拒み、個展を開くことで直接一般の人々に売り込んだ。晩年、「おれはゴッホを越えた」と言い放った舘井は、持病の糖尿病から血管障害で脳内出血をおこし、５８歳で急逝した。

アメリカでは、ＩＴやロボット技術の急速な進歩が、障害を持つ人々の暮らしを大きく変えようとしている。ハイテクの最前線を追いながら、障害に対する考え方を大きく転換させたアメリカ社会の動きを見つめる。◆人工知能を搭載しロボット化された車いすの開発。ほとんど筋肉を動かせないＡＬＳ（筋萎縮性側索硬化症）患者も、視線だけでスイッチを入れられる装置を用いてコミュニケーションを取れるようになった。障害者向けの機器やソフト開発を企業に義務づける「リハビリ法」や「ＡＤＡ法」を整備し、障害者の社会参画を促そうとするアメリカ。その背後には、彼らが職業に就き、収入を得ることによって投資を上回る税収が得られるという考え方がある。

国木田（滝田栄）は中学教師を辞め、妻・美代子（浅田美代子）の美容院と同じビルでフリースクールを開き、不登校の子ども達の面倒を見ている。ある日、去年までスクールに通っていた良美（林知花）がふらりとやって来たが、その後、死体となって発見された。青梅中央署の刑事がスクールを訪れる。良美はその日、吉岡（山崎裕太）と一緒に渋谷に遊びに行く途中だった。吉岡は渋谷でスクールに通う守信（沢木哲）に会ったと話すが、守信がそれを否定したため、吉岡が犯人として疑われてしまう。その後、守信が家を飛び出したと聞いた国木田は、守信の父・進太郎（村井国夫）と母・靖子（大谷直子）に会いに行く。一方、吉岡は良美からコインロッカーの鍵を預かっていた。吉岡がそのコインロッカーを探し出し、中から良美の携帯電話と手帳を取出した瞬間、いきなり背後から殴られて手帳を奪われてしまう。◆解説副音声あり

雪舟の作品は、秋冬山水図など、殆んどが禅の境地を描いたものとされるが、天橋立図だけは、現実の風景をリアルに写し取ったものである。しかし、画面を子細に点検すると、中央の部分は大胆な俯瞰の構図で、多くの寺や神社、民家などを丹念に描きこんだ平和な理想郷の様子であり、下部は一転、水平の目線で、反対側の山並みや信仰の対象である小島二つを、実景を逆転させて巧みに取り込んでいる。５００年前、応仁の戦乱を離れ、理想の禅的世界を描こうとしたものであることが分かる。◆天橋立図　雪舟筆【国宝】（京都国立博物館蔵）