時代の流れとともに消えようとしている、ふるさと島根・鳥取の素顔、自然、生活、文化、伝承行事などを、映像遺産として後世に伝えるシリーズ番組。◆主祭神がタコに助けられたという伝説から「蛸さん」と呼ばれる鳥取県溝口町の福岡神社。氏子たちはタコをあがめ、食べることはないという。１０月に行われる神事の締めくくりはその名も「蛸舞式」という。わらで作ったタコを持った氏子代表を胴上げして、タコに助けられて海を渡る祭神を表現したのち、渡し終えて喜んで舞うタコを表す「蛸回し」が行われる。回されるのは願い事のある男性で、かつては県外からも多くの参加があったという。（鳥取県溝口町）

豚骨ラーメン発祥の地と言われる福岡県久留米市、大手企業の倒産などこの所暗い話題が続いている。何とか賑わいを取り戻そうと、少年探偵団ならぬラーメン探偵団を結成した。「あきらめるな、ラーメンがあるさ！」を合い言葉に、町おこしに取り組む地元の姿を追う。◆旭川、喜多方、尾道とラーメンを起爆剤に町おこしを成功させた町がふえてきている。久留米市のラーメン屋さんや商工会議所、若手経済研究家らによって結成された町おこしの為の組織「ラーメンルネッサンス委員会」の実働部隊として募集されたのがこの「ラーメン探偵団」。ラーメンを徹底調査した結果を８月にラーメンマップにし、１１月には、ラーメンフェスタ・ラーメンサミットを開くことになっているほか、アジアラーメン文化館の建設まで夢はつきない。

迷宮入り事件を継続捜査する警視庁捜査一課二係に配属された幹部候補の新米刑事・柴田純が、卓越した推理力で難事件解決に挑む。（３月１９日終了、全１１回）◆東大法学部を卒業した柴田純はエリート新米刑事。捜査一課二係に赴任早々、１年前に殺された被害者・多田から電話を受けたと言う友人の志村が相談に訪れる。多田は志村に貸した金の返済を求めてきたと言う。興味を持った純は、事件の真相究明に乗り出す。この事件は唯一の容疑者・太田が消息不明になり、迷宮入りしていた。純は、太田や多田の身辺調査、アリバイ調査を徹底的に行って、人並みはずれた記憶力と推理力で、あるトリックを見破る。

京都の街並み、人々の暮らしをさまざまな角度から描き、その魅力を紹介する。◆この回は「蛇の目傘の似合う町・京都」。

微妙なバランスの上に成り立つ尾瀬の自然は、年間４０万人を超える過剰な入山者（オーバーユース）や、心ないハイカーによる踏み荒し、また、最近はニホンジカによる食害によって大きな負担がかかっている。その尾瀬で荒らされた湿原の復元に取り組む女性の姿や、尾瀬の現状を通じて、自然保護のあり方を考える。◆広島県出身の藤村光さんは、尾瀬保護財団から委託を受け、湿原の復元に取り組んで６年目になる。山小屋の仕事をしながら復元作業の仕事をしてきた彼女は、復元の難しさを訴える。一度荒らした自然は簡単には戻らない。それは尾瀬の自然だけに限らない。

自然に恵まれた北海道倶知安町で、廃校を利用した自然体験型の宿泊施設「冒険家族」を営む阿南さん。小学校の跡地・校舎とその広いグラウンドに惹かれて、札幌の共同学童保育所の子供たちも数多くやってくる。春、阿南さんは父兄とともに「子供たちのための遊び小屋」を作ることを計画した。小屋作りを通し、大人と子供の心のふれあいを描く。◆資金不足のため廃材を利用することにした。納屋を壊すという話を聞きつけて農家に駆けつけたり、建設会社の社長にお願いしたり、廃材集めに奔走する。夏になって小屋作りが始まると、夏休みの子供たちも参加した。大人たち子供たちの共同作業の中で、大人は子供に何を伝え、子供たちは何を感じ取ったのか。

南北両アメリカ大陸をつなぐちょうどまん中、ホンジュラスで、１０年前からアメリカ、ペンシルベニア大学の発掘調査が続いている。その重大な発見を伝える。◆コパンの遺跡は、地上にあるのが１６代王のもの。その地下には、何代もの王の都が積み重なって眠っていた。最下層から出た真っ赤に彩色された頭骨は、初代王のものなのか。もしそうなら、マヤ文明史が塗り替えられる。◆３，４００年前から人が住むマヤ遺跡。正確な暦や、マヤ文字、３万点を超える遺物も残っている。◆コパンのマヤ遺跡、テオティワカン、ティカル、チチェン・イツァー

放送３５周年を迎えた「ふるさと紀行」。このシリーズは「次世代に伝えたい歌」をテーマに、懐かしい唱歌、童謡など心に残る歌のふるさとを訪ねて日本列島を縦断する。（１９９８年４月５日・１９９９年３月２８日放送、全５０回）◆「さ霧消ゆる湊江の…」で始まる唱歌「冬景色」は作詞、作曲者ともに不詳である。しかしその歌のイメージにふさわしい土地がある。波おだやかな入り江に朝霧が立ち込め、その霧の中を船がゆっくりと進んでいく。福井県小浜市の冬景色である。若狭湾に面する小浜市は、古くから大陸と京の都を結ぶ港町として栄えてきた。町並みは古く、千本格子の家々が狭い路地に軒を連ねている。道筋を歩けば芸妓衆の奏でる三味線の音が聞こえる。海に門戸を開き、様々な文化を受け入れてきた小浜は、「若狭めのう」や「若狭塗箸」などの伝統工芸品が伝わっている。「海のある奈良」と呼ばれる小浜若狭路の旅は、名刹を巡る旅でもある。古寺の代表的なものと言えば、国宝の指定を受けている明通寺の本堂と三重の塔である。山門正面を入ると巨杉の中に国宝にふさわしい威厳を放っている。小浜には海をテーマに絵を描いている漁師がいる。現在とりかかっている作品は、冬の荒海の中を突き進んでいく船を描いた油絵。ふるさとの絵を描いた「冬景色」は、入り江が雪で真っ白に覆われる頃完成する。