作家・瀬戸内寂聴が、千年の時を越えて読み継がれてきた「源氏物語」について、自身の現代語訳をもとに語るシリーズ。個性豊かで魅力的な女性たちにスポットをあて、その生き方や性格・心理を読み解き、読者を惹きつける物語の魅力を探る。（４月７日～６月２３日、全１２回）◆第８回は、須磨へ落ちていった光源氏が出会った女性・明石の君と、夕顔の女の娘・玉鬘について。玉鬘の話は源氏物語５４帖のなかで１０帖を占める、一種のシンデレラストーリーであると語る。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆六百年前、朝廷は二つに分かれて互いに争った。河内長野市の天野山金剛寺は、南朝の後村上天皇が６年にわたって住み、政務を執ったところ。金堂には高さ３メートルを越す本尊大日如来像があり、天皇は毎日、北朝打倒の祈願をしたという。そのさなか、南朝軍は京都から北朝の光厳上皇をさらい、人質としてこの寺に幽閉した。それを機に、上皇は仏教に厚く帰依し、心の平安を得て権力から離れた。旅人の月田さんが歌うポルトガル歌謡が、しみじみと胸をうつ。旅人はファド歌手・月田秀子とフォトジャーナリスト・長倉洋海。

１９９４年登録。◆中国山東省の曲阜は儒教の祖である孔子を生んだ聖地とされ、孔子を祀った孔廟、一族の墓地・孔林、孔家の館・孔府がある。２千５百年も続く家系の跡を追うことは、中国の歴史をたどることにもなる。直系の子孫は天下第一家と呼ばれ、皇帝よりも由緒ある家柄とされた。孔林には１０万人以上が葬られており、現在も約６０万人いる曲阜市民の５人に１人は孔子の子孫だという。◆そのうち７人が画面に登場するのが微笑ましい。

茨城県南部の伊奈町に４００年前から伝わる「綱火」は、重要無形民俗文化財に指定されたからくり人形の祭典である。華やかなこの祭りは、火の神、愛宕神社の夏の奉納行事である。仕掛け花火が炸裂するなか、地上８メートルに張られた綱に乗って、人形が引き手の操る仕草どおりに動き回る。江戸時代から継承してきた技を子供たちに教えつなごうと、氏子たちの努力が続く。◆綱火【重要無形民俗文化財】

金沢が誇るプロ室内管弦楽団「オーケストラ・アンサンブル金沢」が、偉大な作曲家モーツァルトの交響曲第１番から第４１番すべてのシンフォニーの演奏に７年をかけて挑戦する。◆第１２夜では、セレナード第１３番ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」Ｋ．５２５「第１楽章　Ａｌｌｅｇｒｏ」、交響曲第２５番ト短調Ｋ．１８３「第１楽章　Ａｌｌｅｇｒｏ　ｃｏｎ　ｂｒｉｏ」「第２楽章　Ａｎｄａｎｔｅ」「第３楽章　Ｍｅｎｕｅｔｔｏ」「第４楽章　Ａｌｌｅｇｒｏ」、オーボエ協奏曲ハ長調Ｋ．１３４「第１楽章　Ａｌｅｇｒｏ　ａｐｅｒｔｏ」「第２楽章　Ａｄａｇｉｏ　ｎｏｎ　ｔｒｏｐｐｏ」「第３楽章　ＲＯＮＤＯ　Ａｌｌｅｇｒｅｔｔｏ」を紹介する。これまでの枠を打ち破ろうとする大胆さとドラマチックさを評価された傑作の２５番、それとは対照的にモーツァルトならではといわれた伝統的な第２６番の違いが聞きどころ。指揮は岩城宏之、コンサートマスターはマイケル・ダウス、オーボエは宮本文昭。１９９７年５月１４日、東京・浜離宮朝日ホールで収録。

全国各地の商店街をはじめ、温泉街、学生街、神社参道など身近な町並みや通りの素顔を紹介する。◆山口県長門市の俵山温泉。中国山地の山間に４０軒もの小さな旅館が肩を寄せ合うように軒をつらねる。それぞれの宿には内湯がなく、町にある２つの浴場「町の湯」「川の湯」へ通う湯治客の下駄の音が通りに響く。通りは、また旅館の台所を支える行商人たちと女将さんとの交流の場でもある。稲刈りが済み、疲れを癒す「泥落し」に来た農家の人々など湯治客でにぎわう俵山温泉を描く。

土佐・高知で娼妓紹介業を営む家に生まれ育った娘が、複雑な家庭環境の中で多感な少女期を送り、やがて家を離れて自立するまでを描いた、宮尾登美子の自伝的小説の映像化。（１９９７年９月２８日～１０月１９日放送、全４回）◆高坂女学校の３年になった綾子は、親友の蕗子に絶交を言い渡される。蕗子の父が病に倒れ、３人の姉たちが岩伍の世話で芸妓になると決まったのだった。そんな折、レコード鑑賞会で知り合った三好に廃娼運動のことを聞き、共鳴するようになる。岩伍に仕事をやめて欲しいと訴えるが、人助けの仕事だという岩伍はとりあわない。東京に進学したいという願いも、女に教育はいらないと聞いてもらえない。綾子の慰めは、父と別れてからうどん屋を始めた育ての母・喜和だけだった。

偉人、有名人、人知れずに大事を成し遂げた人など、福島にゆかりある人物の足跡をたどり、その人の業績と人柄を描くシリーズ。◆中山義秀は西白河郡大信村出身で大学卒業後、中学の教師となるが文学を志し辞職。生活は貧困をきわめたが、昭和１３年「厚物咲」で第７回芥川賞受賞、翌年には「碑」を発表して文壇上の地位を確固なものとした。晩年には癌に倒れ、「芭蕉庵桃青」が絶筆となる。大信村に「中山義秀記念館」が設立された。