日本文学の名作を、当代一流の演出家が競作するシリーズ。この回は林芙美子の「浮雲」を２時間で描く。月曜特集・特別企画。◆昭和２２年、インドネシアから引きあげてきたゆき子（岸本加世子）は、現地で恋に落ちた富岡（古尾谷雅人）を訪ねた。妻と別れて結婚すると言った富岡の言葉を信じてのことだったが、彼はゆき子によそよそしく、妻・邦子（桐生ユウ子）とも別れていなかった。富岡の不実をなじりながらも思い切ることのできないゆき子。やがて生活に疲れ果てた富岡はゆき子を旅に誘い心中を迫るが、死を恐れないゆき子に逆におじけづく。

けやきの大木が飢えられたある古い邸の権利を巡って起きるさまざまな問題を、一族の行動と心模様を織り込んで描く。東京とフランスを舞台に、この家の主と、若くして未亡人になった息子の妻を中心に物語は展開する。◆吉村平吉は妻と息子を相次いで亡くした。残された嫁の塩子も突然フランスへ旅立ち、きままな一人暮らしとはいうものの寂しい毎日を送っている。ある日平吉は、塩子が家の権利を放棄したいと言っていることを知る。家のローンは平吉と息子が折半して払っていたので、塩子に権利が移っていたのだ。平吉は塩子と喧嘩をし、フランスへ決着を着けに行く。

シュールリアリズムの仏人画家、イヴ・タンギーの作品４１点を収蔵している美術館が、逗子市のヨットハーバーの一角にあった。１９００年生まれのタンギーは、まさに新世紀芸術運動の申し子的な存在。ブルトン、エリュアール、ダリなど、すべての権威を否定し、自身の内的衝動のみを重視するオートマティズムの手法を唱え実践した。作品数の少ないタンギーのまとまったコレクションとして注目される美術館であった。

「国際宇宙年」を迎えて、来たるべき宇宙地代を迎えようとしている人類がかかえる課題を考えるシリーズ。（１９９２年８月１６日開始、全６回）◆最終回は、地球上にはほとんど存在しないヘリウム３やチタン、ウランなどの貴重な鉱物資源が豊富な月の開発の最前線を描く。アポロが持ち帰った“月の石”の成分を参考にして“月の土壌”を模した実験場は、月面基地建設用のコンクリートを作ろうとしている建設会社や月面車の走行などの実験依頼が殺到している。月への進出は火星へ、さらに宇宙への進出の第一歩だとされている。

船宿に居候している道楽息子の徳三郎が暇を持てあまし船頭になりたいという。楽な稼業でないと親方は渋るが、船子たちが面白がってけしかける。四万六千日（浅草観音の縁日）で船宿は大忙し。船頭が出払ったところへ二人連れの客が来た。

奈良県の南端、吉野川沿いの五條市にひっそり建つ古刹・栄山寺。藤原南家の祖・武智麻呂が菩提寺として建立した。国宝の八角堂は、その子仲麻呂が父のために建てたもの。内陣の装飾画は時を経て剥落が進んでいるが、シルクロード華やかなりし頃の天平文化の粋が残されており、東京芸術大学が現状模写を試みるなど保護の手が差し伸べられている。奈良時代、政治の頂点に建ちながら政争に敗れ非業の死をとげた仲麻呂の生涯を追いつつ、彼が絶頂期に建てた八角堂の美を紹介する。◆【国宝】栄山寺八角堂、栄山寺八角堂旧石露盤宝珠、栄山寺梵鐘【重要文化財】栄山寺八角堂陣装飾画、栄山寺薬師如来坐像、栄山寺石塔婆

昭和３９年ごろ、放送作家・はかま満緒の家に集まっていた物書きやタレントの卵たちの、夢と挫折、そして成功への日々を描く。日本テレビ開局４０年記念番組。◆東京・新大久保の古い家に妙な若者たちが溜っていた。テレビや舞台のバラエティ、コントの作家として売れっ子のはかま満緒（演・三宅裕司）の家に、売れない作家や芸人が集まって修行に励んでいたのだった。面倒見のいいはかま夫妻を頼ってきた彼らの中に、萩本欽一（小堺一機）やポール牧（陣内孝則）、市川森一（仲村トオル）たちがいた。若者たちは窮乏し、失恋し、挫折を味わう。やがてはかま満緒が二人の女の子の父親となる頃、三人はそれぞれに芽を出し始めていた。

全国各地の自然を舞台に“外遊び”の多様な楽しみ方を紹介する「アウトドアＴＶマガジン」。レギュラー出演は中本賢、陣田耕二、玉利祥子、松井秀、ナレーターは松のちよみ。（１９９０年１０月３日～２００３年３月２９日放送、全５３４回）◆昭和６２年、ダム建設計画で全村民が移転し地図からも消えた徳山村。誰もいないはずの村に、かつての家に戻って暮らすお年寄りがいた。岐阜市内に補償金で建てた立派な家より、思い出の残るふるさとで暮らしたいと徳田じょさん。徳山村のカメラばあちゃんとして有名な増山たづ子さんといっしょにドンキ隊は徳田さんを訪ね、一緒にお正月の準備をお手伝いすることになる。◆畑を耕し、山菜を採っての自給自足生活。家の中には漬物や山の幸の保存食も貯えられていた。雪が積もり始めた里の庭で、徳山村のお正月料理を一緒につくり、臼を引っ張り出して久しぶりに餅つきをする。時々サルや狸や熊が出るが、「人間の方がよっぽど怖い」と徳田さんは笑い飛ばす。貧しく不便な暮らしと都会の人は思うだろうが、自然の中で暮らすことがどんなに楽しく、心豊かな生活か、ふるさとを知らない人にはわからない、と語られる。（番組では継続してこの里に生きるお年寄りたちを記録。徳山村は２００６年にダムによって水没した）