琉球藍一色の藍型は、南国的な多色染めの紅型とともに沖縄を代表する染め物。海上交易により伝わった藍の製造方法が５００年の時を刻んだ。◆沖縄本島中央部にある本部半島で伝統を受け継ぐ伊野波盛正は、生きものに例えられる藍と対話しながら、風土に合った製造法を守り続けている。不思議に変ぼうしていく藍の神秘的な特性に、製造工程を通じて迫る。

江戸庶民の風俗をとらえたち密な描写、わずか数色の組み合わせで生まれる微妙な色。そのオリジナルそのままに、現代の彫り師、摺り師が手間と時間をかけて一枚の浮世絵を現代に再現する。◆東京・元浅草に住む保存技術者の協力と綿密な原画分析によって、版木彫りから本摺りまでを忠実にたどる。そして伝承した高度な技術を駆使して、広重の『六十余州名所図絵・山城嵐山渡月橋』を摺り上げる。

画家・杉本健吉さんが東大寺を訪れ、大仏殿や大仏の美しさの魅力を語る。◆電車が奈良の町に近づくとまず目に入るのが、東大寺大仏殿。正面の幅５７メートル、高さ４７メートル、世界最大の木造建築である。その大仏殿に入るとだれもが仰ぎ見る巨大な仏が東大寺の本尊・蘆舎那仏坐像。高さは台座を含めて２１メートル。創建当時は金色に輝いていたその大仏が納まる空間は、天井までの高さ３０メートル。９階建てのビルに相当する。◆杉本さんは、４０年以上も東大寺の伽藍や大仏を見続けてきた。「ここから見るのが一番美しい。やはり、同じ高さではなくて、仰いで見るようにできているのだと思う」と、杉本さんは大仏を仰ぐ。

１９８８年（昭和６３）のスポーツ界の話題を振り返る、年末のスポーツハイライト。◆第１５回冬季オリンピックはカナダのカルガリーで行われた。スピード、フィギュアのスケートを中心に伝える。第２４回オリンピックは韓国・ソウルで、１２年ぶりに東西両世界が顔を揃えた。橋本聖子選手が冬に続いて連続出場。プロ野球ではパ・リーグの西武と近鉄の激しい優勝争い、２球団譲渡などが話題になった。相撲は千代の富士の５３連勝、ゴルフでは尾崎の快進撃など、スポーツの一年を振り返る。

もう見られない伝統の芸、コンビ解消などで演じられなくなった漫才など、読売テレビに残る数多くのＶＴＲからリクエストをもとにベスト１０を選出する。司会は横山やすし・西川きよし。◆ＶＴＲ出演：横山ホットブラザーズ、Ｂ＆Ｂ（島田洋七・洋八）、島田紳助・松本竜介、ツービート、ザ・ぼんち、Ｗヤング、明石家さんま・小禄、三人奴、三遊亭小円・木村栄子、平和ラッパ・日佐丸、上方柳次・柳太、ミスワカサ・島ひろし、宮川左近ショー、若井はんじ・けんじ、島田洋之助・今喜多代、中田ダイマル・ラケット、藤波扇太郎、花柳芳兵衛、砂川捨丸・春代、吾妻ひな子、海原お浜・小浜、鳳啓助・京唄子、ちゃっきり娘、フラワーショー、東洋朝日丸・日出丸、暁伸・ミスハワイ、ジョーサンズ、海原千里・万里、人生幸朗・生恵幸子、かしまし娘

演劇、映画、音楽、古典芸能などの世界から、その道の第一人者の至芸を紹介するとともに、その芸の秘密に迫る。◆この回は、８４歳で歌舞伎界の最長老・上方歌舞伎の重鎮でもある片岡仁左衛門さんの芸談。当たり役のひとつ「菅原伝授手習鑑」の菅丞相（菅原道真）の役づくりの裏話を、舞台を見ながら語る。関西の人と思われているが実は東京下町の生まれで、天神さんとは縁が深いという。聞き手は山川静夫アナウンサー。

妻を亡くした孤独な老人が思いがけなく人生最後の伴侶をみつける。◆隆三は６５歳。老後を妻の志乃と二人で静かに暮らしていた。ところが突然志乃が逝き隆三は残りの人生の生き方を模索しなければならなくなる。そんな状況で愛する女性を見いだし、年齢や体面や、はては遺産のことまで口にして反対する子供たちと対決して隆三は自分の生き方を貫く。

中国から福岡に移住した、胡弓奏者の趙さん一家。中国数千百年の伝統をもつ胡弓の哀愁をおびた調べとともに、異国の地で肩を寄せ合って生きる家族の姿を描く。◆趙国良さんは１９４１年中国遼寧省生まれ。５歳の時から胡弓を習い始めて吉林省民族楽団のコンサートマスターを長く努め、毛沢東の前でも演奏したことがあるという、中国屈指の胡弓奏者。１９８６年の秋、日本人の母をもつ妻の願いをかなえるため一家で福岡へやって来た。それ以来の夢だった九州交響楽団との共演、親子３人での初めての共演という二つの演奏会を軸に、親子、そして夫婦の絆を描く。