幼くして両親を失い、育ての親の外国人技師夫妻とも死に別れた娘が、豪商の娘の養育係になる物語。「あき」は火へんに華。ポーラテレビ小説。（１９７４年９月３０日～１９７５年３月２８日放送、全１３０回）◆第一回。主人公・あき（萩尾みどり）の両親は五稜郭の戦のときに官軍方についたということで殺され、少女・あき（天野美保子）は父の知り合いだった函館の「えびす屋」という一杯呑み屋の奉公人として働いている。同じ年ごろの多一やとよという子供たちが遊ぶのを横目で見ながら、主人の定吉や女房のおかねにこき使われる毎日を送っていた。

九体の阿弥陀如来像を本尊としてまつり俗に九体寺ともいわれる浄瑠璃寺を記録した。九体阿弥陀信仰は、藤原時代を中心にほぼ１世紀にわたったという。都の貴族がこぞって造った３０を超える華麗な九体阿弥陀堂は、いま時の流れの中に消え失せ、わずかな壇家によって支えられてきた庶民の寺・浄瑠璃寺だけが残った。この浄瑠璃寺とともに、本堂の中に置かれた参けい者によって書かれるノートを紹介し、今この寺を訪れる人の気持ちにも迫る。

長野県木曽郡王滝村滝越は御岳山麓の戸数わずか２５の山村。滝越から村の中心部まで１２．３キロの距離を結ぶのは、営林署の森林鉄道である。ここをスクールカー「やまばと号」も走る。ところが、営林署の合理化で、森林鉄道が廃止されることになった。ふるさとを守ろうと反対運動に立ち上がったスクールカーの運転手の家族を中心とした、社会環境の変化に揺れ動く山村の人たちの姿を描く。

狂言「見物左衛門」及び能「雲林院」を紹介する。◆「見物左衛門」は、シテ一人の独白と振りで演ずる独狂言である。独狂言は、狂言にしばしば見られる独演の部分の演技を複数連ねて一曲を構成したものであり、演者の技量が発揮される。ＮＨＫホールで収録。

三十三間堂の一千一体の観音像を中心に仏像を紹介、その思想・信仰を探っていく。一千一体とは、千プラス一ではなく千即一、一即千という東洋哲理である。この数の論理は現世の欲望を一切捨てた無の境地から、物事の奥にひそむ真実に迫ろうとする心といえる。番組では観音像の解体修理を取材、体内の経文や御仏が納められている様子も紹介する。

萩焼、深川窯を代表する作家の一人、ありし日の１４代目坂倉新兵衛さんの姿を伝える。昭和３５年に１４代目を襲名、３６年から日本伝統工芸展に５回入選して、昭和４１年日本工芸会の会員となった。山口県指定無形文化財技術保持者でもあった坂倉さんの作品は、伝統の古式をにじませる端正な気品のなか、ほのぼのとしたやわらかな美しさを備え、＜新兵衛茶陶＞と呼ばれて表千家をはじめ広く茶人に愛好された。番組では、ろくろ、窯出しなどの製作風景のほか、古い窯跡の残る深川の景色も記録している。

奈良時代に中国から苦難の渡航の末、来朝した僧・鑑真和上（６８８～７６３）の日本での足跡を、唐招提寺の国宝物を通じ探っていく。唐招提寺は鑑真晩年の思索の寺である。金堂のギリシャ風の巨大な円柱が作り出す幾何学的な光と影は、それを想像させる。肉眼は滅びてなお、心眼に深い真理をみつめた鑑真のこころと、香り高い天平文化を映しだす。

「自然との関係の中で、文明は興亡を繰り返してきた」という観点から、サハラ砂漠・インダス文明などの遺跡を見る。◆紀元前２，０００年期から急に乾燥し始めたサハラ砂漠、メソポタミアの遺産、古代マヤ文明の遺産など。何かの原因で急に見捨てられた街や、森を伐採して水を失った街など、黙した大地は無数の教訓を現代の我々に語っている。ヨハネ黙示録には「地をも海をも木をも切ってはならぬ」とある。◆タッシリ・ナジェールの岩絵群〔アルジェリア〕、モエンジョ・ダロ遺跡〔パキスタン〕、ウルク遺跡〔イラク〕、ウル遺跡、ティカルの神殿群〔グアテマラ〕