諫早湾の干拓事業をめぐる人々の思いや、この事業で失ったものが何かを、干拓先進国のオランダやイタリアの現状を紹介しつつ伝える。◆九州・有明海の西に位置する諫早湾は、潮の干満差が最大で６メートルにも達する干潟の海である。１日２回の潮の満ち干によって運ばれてくる火山灰や土砂の微粒子が長い間積もり積もってできあがった干潟は「有明海の子宮」ともいわれ、人間を含む生き物に多くの恵みをもたらした。一方では干潟の堆積は沿岸地域の排水不良や高潮を引き起こし、周辺農家にとっては厄介な一面もある。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆京都といえば龍安寺の石庭、世界的に知られる枯山水の庭園だ。衣笠山の麓にあり、室町時代、貴族が別荘を禅宗の寺にしたところからはじまる。龍安寺にはもう一つ名園があって、こちらは鏡容池をめぐって豊かな自然が配されている。紅葉に青竹の林が美しく、紅葉にとっての秋は、竹にとっては春なのだと朝倉さんが指摘、そんな配慮をしての造形なのだ。油土塀に囲まれた白砂の石庭は、早朝の砂紋引きの直後が、空気までも美しい。それをゆったりと楽しむ。旅人は舞台美術家・朝倉摂と建築家・安藤忠雄。

タスマニアは、オーストラリア大陸南東にある大きな島だが、その２０％が温帯の自然を原始のままに残している。そこには、セントクレア湖など三千もの湖があり、氷河の爪跡の残るクレイドル山、二百を超える鍾乳洞のうち最も見事なマラクーパ洞を見る。国立公園のゴードン川、フランクリン川をさかのぼり、珍しい温帯雨林も眼にする。この島にしかいない動物、タスマニアデビル、オオフクロネコ、ベネットアカクビワラビー、ヒメウォンバット、ハリモグラにも会える。

地球上にある七つの大陸それぞれ全部の最高峰に、史上最年少で登ろうとしている登山家・野口健。彼が世界最高峰・チョモランマに日本で初めて“現役学生登山隊”で挑戦。その模様を３ヶ月にわたって密着取材する。◆この回のアタックは失敗に終わったが、近年で最悪の天候、風速数十メートルの暴風雪、次々と破壊されるテント、各国隊で相次いだ犠牲者、そして従来の山岳番組では紹介されなかったゴミ問題や一部登山隊の「窃盗行為」など、チョモランマでいま何が起きているのかを野口自身が語り、綴り、記録する。自分の心の居場所を山に求め、最高峰に挑みつづけた若きアルピニストの７年間にわたる夢と青春のドキュメント。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、写真家の垂見健吾さん。

ＮＨＫ連続テレビ小説第５６作「あぐり」（１９９７年４月７日～１０月４日放送）の総集編。洋髪理容師で、芥川賞作家の淳之介、理恵、女優・和子の母でもある吉行あぐりをモデルに、明治・大正・昭和を天性の明るさで駆け抜けるヒロインを描く。原作：吉行あぐり「梅桃が実るとき」。（全４回）◆総集編・最終回「素晴らしき日々へ」。東京大空襲で焼け出されたあぐり（田中美里）は、義母や子どもと共に、弟子・とめの実家に疎開。１年後、あぐりは東京に戻り、美容院を再開する。一方、小説を書き始めた淳之介は「婦人現代」を復刊させる。その出版パーティーで出会ったあぐりと新聞記者・林晃（高嶋政伸）は互いにひかれあい、再婚する。全国美容チェーンの社長として日本一の美容師になったあぐりは、ようやく本当の夢に気づく。

１９９７年１０月～１２月に放送された金曜ドラマ「青い鳥」のダイジェスト版。本編の再編集に加え、主人公たちのその後をサイパンロケで描く。◆１９歳になった詩織と再会し、彼女と結婚した理森は、南十字星が見えるサイパンに渡った。そこにたどり着くまで辛酸をなめた二人は、この地でささやかな幸福を得る。女の子も生まれ、詩織のお腹の中には理森の第二子が宿っている。平凡な生活の中で理森と詩織は、人間にとって幸せとは何かを思いめぐらすのだった。

栃木県の各地で、太陽や月を御神体として祀る全国でも珍しい「天祭」が行われている。戦前までは、お天祭、天然仏、天道念仏などと呼ばれ県内各地で行われていた「天祭」も、今ではおよそ２０カ所になった。農村が豊かになるにつれて、「天祭」のシンボルとなる天棚に豪華な彫刻を施したり、郷土芸能を含んだりと、芸能色の濃い行事となってきたが、自然を信仰する祈りは変わることがない。◆天祭